空間をインターフェース化する技術:UT-AIZ(ユーティー・アイズ)を企画・開発しました
廣田 喜昭
日建設計 コーポレート部門
アソシエイト
ジェスチャーで機器を操作することができたら、とても便利だと思いませんか?例えば合図で空調や外装をコントロール。まるで夢物語のような話ですが、そのコントロールを実現するのが、今回ご紹介する『UT-AIZ』® です。空間の大半がインターフェース化していく未来の想定を前提に、ジェスチャーコントロールエンジン(UT-AIZ)を(株)シーエーシーと共同開発しました。
このUT-AIZは、日建設計の新規事業開発提案制度“峰コンペ”で採択された「安心安全なスマートシティをつくる」プロジェクトの一環として、日建設計総合研究所内に設置されたラボにおいて企画・開発したものです。
「UT-AIZ」は昨年2021年11月末に日建設計総合研究所のWEBページで公表しました。
そのユースケースとして「アシスト・スイング UT-AIZ」というプロトタイプモデルも同時に企画しています。
ありそうでなかった、人に合わせて開け方を変えるドア
開け方は、あなた次第
いつもどおりに手で開けたい人は、レバーハンドルで
DXで生まれる新しいユニバーサルデザインの提案
今年(2022年)になって空間ジェスチャーコントロールは社会に浸透しはじめました。Apple社のiPhone(iOS 15.4 以降)が、マスク着用時に視線でロック解除できるのも空間ジェスチャーコントロールの一種です。これまでの物理スイッチ(押す・引く・触れる・赤外線センサーなど)に加えて、UT-AIZ(空間ジェスチャーコントロールスイッチ)が普及するにつれて、空間・都市・建築の使われ方も徐々に変容するようなユニバーサルデザインの新しい提案として、この企画を行いまし た。
「アシスト・スイング UT-AIZ」は、UT-AIZ(ジェスチャーコントロールエンジン)を使って通常の手動開き戸をコントロールするプロトタイプ企画です。セン サーやスマホを使って開戸を開閉するシステムはすでにありますので、世の中が画期的に便利になる仕組みではないのですが、このプロトタイプには、次のような革新的なユニバーサルデザインのコンセプトが込められています。
人に合わせて変容するユニバーサルデザイン
これまで、ユニバーサルデザイン製品は、便利で使いやすく、人に優しく、人を幸せにしてきた歴史があります。「アシスト・スイング UT-AIZ」が提唱するコンセプトは、人の特性や要望に合わせて最適なソフトウエアが適用され、機器を挙動させることです。この発想のユニバーサルデザインは建築プロダクトでは例が少な く、今後UT-AIZを応用したユニバーサルデザイン製品が各メーカーなどから数多く開発されていくことが期待されます。
例えば、「暑い、暑い」という子供の声、暑そうな大人の身振りなどを敷地全体で総合的に判断・分析し、外装・内装ルーバーや空調の位置を特定し、部分的に稼働する。そして応用方法によっては更なる安全性や快適性を図る建築も可能になるのではないでしょうか。
そしてユニバーサルデザインの7原則の一つである「Size and space for approach and use / 接近や利用のためのサイズと空間」の可能性を拡張していきます。
確立された既存の技術を組合せて、新たな技術をつくる
日建設計総合研究所は、建築と都市のライフスタイル全般にかけて調査・企画・コンサルティングサービスを提供している日建グループのシンクタンクです。製造部門はありません。
今回の「アシスト・スイング UT-AIZ」は、既存の複数の技術を組合せて企画しました。「素晴らしい技術だが、まだまだ応用の可能性のある技 術」・「転用可能なコア技術」を組み合わせて息を吹き込みました。
ユニバーサルスルー® がもたらすもの
スマートシティにおいて、安心・安全性は重要です。ユニバーサルスルーはDX時代の新たな技術で、誰もが平等に都市を謳歌することをコンセプトとして提唱しました。
廣田 喜昭
日建設計 コーポレート部門
アソシエイト
2020年10月~2021年3月 グループ会社である日建設計総合研究所に出向し、UT- AIZを企画・開発
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