ニケと歩けば quatre-vingt-deux
とても気持ちのいい朝です。もう10月。
だんだんと一年が短くなるといいます。小さなころ夏休みやクリスマス、
お正月を指折り数えて…が今や、もうお盆!もう暮れ?と時の速さや季節の移ろいを見逃しそうになる時もあります。
四季が無くなって洋服も年中使えるようになって、重ねたり脱いだりと合理的です。
小さなころは、祖母や母が、一日がかりで、衣替えをしていました。冬物から、間もの、そして夏物。コートを出す前にもう一回間もの。
丁寧に陰干しをして、虫よけを入れてまた来年。傍で見ている私にとっては
何の意味があるのかわかりませんでした。その都度これは京都に行った時に着た着物、これは○○ちゃんの結婚式の時というふうに思い出までもタンスから一緒に出てというより出してきます。だから作業が延々となる。
日が暮れるころやっと片付いて、お茶を飲む二人は「疲れた~」と言いながらも、楽しそうでした。
母たちの時代までは、断捨離という言葉はなく「、もったいない、いつかは役に立つ」という意識しかなかったように思います。
戦後を生き抜いてきた二人を、今は尊敬しています。
私はどちらかというと「今!」という時を大事にして思い出には感傷的ではありません。
それは前を向くことしか選択肢がなかった40代からさらに強まったように思います。
合理的と言えばかっこいいですが、切羽詰まったという方が当たっているようです。
以前[ニケと歩けばcinquante-quatre]に書きましたが父がくれたオルゴールだけは隅っこにあります。
贈られた時は落胆しましたが、今は父の気持ちがなんとなくわかる年になりました。
はたして子供たちは将来、何を見て私を思い出すのでしょうか?
「思い出?それより散歩!」とニケは言いたそうです。