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「会社に行きたくない」と毎日思わずに済む方法

会社に行きたくないなあと思いながら朝起きて準備して出勤するのは、結構疲れませんか?

やらなきゃいけないことは山積み。後からいくらでも増える仕事。
やったことに対しては大した評価もないのに、やらなかったときにだけ苦言を呈される。

私は嫌なことを毎日繰り返し行うということだけで、もうストレスです。

ですが、仕事を楽しく感じられるように洗脳するのもなかなか難しいし、すぐに会社を辞められるかと言えばそうでもありませんよね。

仕事に対する嫌な気持ちを感じずに、穏やかに日々を過ごすにはどうしたらいいのか。

でも、そもそもの問題として、私たちは感情は変えられない。
会社が憂鬱なのはやりがいを感じられないからだし、満員電車での通勤はやっぱり辛い。

しかし、この「特定の事柄に対して特定の感情が生まれる」という捉え方が、最近ではくつがえりつつあるようなんです。

今回は、下記の記事でご紹介したリサ・フェルドマン・バレットの著書『情動はこうしてつくられる』で説明されている、最新の感情に関する研究を元に、感情を変えていく方法を考えていきましょう。

会社に行くときにるんるんで行けるとハッピーですよね。


感情は学ぶもの

まず、この本で説明されていることについて簡単にご紹介します。

バレットの「情動の構成理論」では、感情は生まれつき決まっているものではなく、脳がこれまでの経験や記憶を使って「こうなるかも」と予測しながら作り出すものだと考えています。

たとえば、初めてジェットコースターに乗るときのことを考えてみましょう。

最初は「怖いかも!」と予測して心臓がドキドキし、体が緊張します。このとき、脳はこれまでの経験や「高いところが怖い」という記憶をもとに、恐怖を感じているのです。

でも、実際にジェットコースターが動き出すと「怖いけど楽しいかも?」と感じる瞬間が出てきます。
風を感じたりスピードを楽しんだりする中で、脳は「これ、興奮して楽しんでいるんだ」と状況を解釈し直し、感情が恐怖から興奮に変わっていきます。

すると、次回からジェットコースターに乗ることを想像すると「楽しみ!」「ワクワクする」という感情に変わっていきます。

このように、感情は体の反応や状況に対する脳の予測と解釈で変化していくのです。

朝会社に行く前に「行きたくないな」と思う気持ちは、この予測と密接に関連しています。

予測とは何か?

脳は過去の経験から、会社に行くことで起こりうることを予測します。

例えば、仕事のストレス、面倒なタスク、人間関係の問題など、ネガティブな体験が予測されると、「行きたくない」という感情が生じます。

逆に、楽しい仕事や成功体験が予測される場合には、「行きたい」という感情が生じることもあります。

その後のプロセスとして、脳はいまの状況を観察して、予測が現実と一致しているかを判断します。一致していない場合は、脳は予測を修正します。

例えば、実際に会社に行ってみると予想よりも楽しいことがあった場合、次回は「行きたくない」と感じる度合いが減るかもしれません。

逆に、予測が当たると、次回も同じ予測をするようになり、「行きたくない」という感情が強化されることがあります。

ということは、会社に行くことに対する予測をポジティブに変えていくことが鍵と言えそうですね。

どうすれば予測をポジティブに変えられるか?

予測をポジティブに変えるには、方法は主に2つあります。
1 つ目はポジティブな体験を意識的に増やすこと、もう一つはネガティブな予測の信憑性をもう一度考えることです。

「質の高い」ポジティブな体験が重要

会社での良い経験や楽しい出来事を思い出すことで、脳が予測する内容をポジティブなものに変えることができます。

これは、必ずしも会社の中や仕事の最中でなくとも効果があります。

例えば、
・出勤の時に好きな音楽を聞く
・お昼に美味しいものを食べる
・空き時間に同僚と談する
なども有効です。

これは数の多さだけの問題ではなく、必ずしもポジティブな出来事がネガティブな出来事の数を上回る必要はありません。

重要なのは、ポジティブな経験の頻度、質(=心理的な重み)です。

頻度
ポジティブな出来事が頻繁にあると、脳はその出来事を予測しやすくなり、「行きたくない」という気持ちが軽減される可能性があります。

心理的な重み
一つの強く印象に残るポジティブな出来事が、いくつかのネガティブな出来事を打ち消すことがあります。

たとえば、上司や同僚から感謝されたら、これまでの努力が報われ多様な感覚になり、「また
頑張ろう」と思えますよね。

大きな達成感を得られるような経験が重要ですね。

これはネガティブな要素も同様で、その心理的な影響の強さが問題です。

一つの大きなストレス要因が、小さなポジティブ要素を打ち消すことがあります。
そのため、数ではなく、感じるストレスの重みをどう減らすかがポイントです。

ポジティブな出来事を増やす方法

一日の中で少しでも楽しいことやリラックスできる瞬間を意識的に見つけることで、脳がポジティブな予測をしやすくなります。

小さな達成感を増やす

会社に行くことの意味や目的を見つけ、達成感を得ることで、予測がポジティブな方向に修正されることがあります。

ポジティブな出来事の期待

仕事中に楽しみにできる小さな出来事(例えば、同僚とのランチやお気に入りの業務など)を意識的に探しましょう。そしてそれを意識的に思い浮かべ、楽しみな気持ちを強く感じるようにします。

成功体験の記憶

過去に仕事で達成した成功体験を思い出し、それに焦点を当ててみることも簡単にできて効果的です。

デスク周りの改善

デスクを自分の好きなもの(写真、植物、モチベーションを上げる小物)で飾り、快適な空間を作ることも有効です。

仕事のやり方の工夫

自分が得意な作業を先に行うなど、仕事の進め方を工夫して達成感を得やすい状態を作ります。

ポジティブな出来事を増やすと起こる嬉しい効果

ポジティブな余韻の効果

脳は、ポジティブな感情を感じた後に、次の行動や体験をポジティブに解釈しやすくなります。

つまり、ポジティブな体験の余韻が残ることで、その後の仕事の取り組み方が変わることがあります。

: 楽しいランチの後に、難しいタスクにも前向きに取り組む意欲が湧くことがあります。

自己効力感の向上

仕事以外のポジティブな体験を持つことで、自己効力感(自分が何かを達成できるという感覚)が高まり、仕事にもその影響が波及することがあります。

ポジティブな気持ちが、間接的に仕事のパフォーマンスを向上させることもあります。

: 仕事外の趣味やスキルを活かして同僚を助けたりすると、自信がつき、それが仕事のモチベーション向上につながることがあります。

ネガティブな要素を小さくする工夫

例えば、ストレスの原因となるタスクを小さく分けて取り組む、休憩をしっかり取るなど、ネガティブな要素の影響を軽減する方法を見つけることも有効です。

認知の偏りを修正

脳は時にネガティブな要素に偏って注目することがあります。

この場合、ポジティブな要素を意識的に探すことで、予測が変わり、感情のバランスが取れるようになります。

ネガティブな予測の認識と再評価

まず、自分が会社に行く前にどのようなネガティブな予測をしているかを認識し、それを再評価する練習をします。

①記録と反省
毎朝、会社に行く前に感じるネガティブな思考を記録し、その理由を考えます。その後、それが本当に現実的な予測かどうかを評価します。

②代替的な視点を探す
「今日も嫌なことがあるだろう」と思う代わりに、「今日は何か新しいことを学べるかもしれない」といったポジティブな可能性に目を向ける練習をします。

いかがだったでしょうか?

今回は、自分の感情を変える方法について考えてみました。

会社に行くことに対するネガティブな予測をポジティブに変えるためには、自分の思考を再評価し、ポジティブな視点を意識的に育てることが重要です。

これには、日々の小さな習慣や工夫、そして時には外部のサポートも役立ちます。

情動構成主義では、感情は脳が未来の出来事を予測し、その予測に基づいて身体の反応を準備することで構成されるとされています。

もし皆さんがなにかネガティブな感情を変えたいと思っているなら、ぜひ今回の内容を試してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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