樋勝朋巳『わたしのかみがた』原画展【12/1~12/27】
ニジノ絵本屋、2021年最後の絵本原画展は、樋勝朋巳さんの『わたしのかみがた』(ブロンズ新社)の原画展です。
ニジノ絵本屋の店内がキュートなことに!
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表紙に描かれているのは、赤い帽子をかぶった女の子。
「わたしのかみがたに ついて おはなしします。ぼうしを とると こういう かみがたなの。びっくりした?」
帽子をとると、あら、たしかにちょっと変わった髪形。
でも、この髪形には、理由があるみたいですよ。
この本のテーマは「わたしがわたしらしくいるために」。
髪形を変えるのは楽しいし、切っても伸ばしても変身したような気分にもなる。
一方で、前髪を切り過ぎたり、パーマに失敗したような経験のある人も多いかもしれません。
この本は、髪形の絵本だけど、おしゃれな髪形を見つけるための絵本ではなくて、「わたし」の一見妙な髪形が、実は「わたし」らしい魅力になっているということが、読んでいくうちに分かってきます。
自分のためではなく、ある「おともだち」のための髪形だったんですね。
樋勝さんは『きょうはマラカスのひ』や、『フワフワさんはけいとやさん』(以上、福音館書店)、『ペロのおしごと』(小学館)など、6冊の絵本を出されていますが、どの絵本も、出てくる人がちょっとへんてこでやさしいんです。
失敗しても、やさしくしたり、されたりする。ちゃんと受け入れられているという安心感が、そこには共通しています。
この本の「わたし」も、それを大事にする人。
だから、この髪形もとても似合って魅力的。
人と比べなくても、強い何かを主張できなくても。
「あなたがあなたですてきよ」というやさしい目線をもらって、自分の「好き」を信じてもらいたい、そんな絵本です。
そして、この絵本のもう一つの魅力は、銅版画で描かれていること。
絵本の制作だけでなく、銅版画家としても活躍されている樋勝さんの絵は、銅版の腐食で生まれる独特な線で描かれ、その上から彩色されています。
版画なので、絵が反転するという工程もあるため、最終的に刷ってみるまで分からない、という感覚を楽しみつつ、目の表情や首のかしげ方など、微妙な「いとおしさ」を出すために、納得するまで何度も下描きして、版を作るそうですよ。
そうした味わいも、原画でこそ、より感じていただけるかもしれません。
《プロフィール》
樋勝朋巳(ひかつ ともみ)
1969年、長野県生まれ。
多摩美術大学卒業後、デザイン会社を経て銅版画の制作を始める。
1998年、ボローニャ国際絵本原画展入選。
『きょうはマラカスのひ』(福音館書店)で第19回日本絵本賞大賞受賞。小さな心の機微をユーモラスに醸しだす作品で人気。
他の絵本に、『フワフワさんはけいとやさん』『きょうはパーティのひ』『たいこ』(以上福音館書店)、『ペロのおしごと』『おさるちゃんのおしごと』(以上小学館)などがある。
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『わたしのかみがた』原画展
会期:2021年12月1日(水)〜12月27日(月)
会場 ニジノ絵本屋
時間 12:00~18:00 ※火曜定休
会場アクセス 東京都目黒区平町1-23-20(東急東横線都立大学駅徒歩3分)
TEL. 03-6421-3105
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