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リハビリでの嬉しい出来事

自費の作業療法士さんにお世話になって半年ほどが過ぎました。
行く度、作業療法の幅広さに驚かされます。

回復期では作業療法の時間もひたすら筋トレで重いボールを持ち上げたり足に錘を付けて歩いたりするばかりだったので、こちらに通って初めて作業療法というものに触れた気がしています。

通院で高次脳機能障害のリハビリを受けたこともありますが、そこではひたすらプリントをするばかりでした。最寄駅から遠く通うのが大変だったこともありますが、単調なリハビリと一向に生活の質の向上に結びつかないことからやめてしまいました。

その点、こちらでは色々なリハビリを行って頂いています。

左手の感覚障害や巧緻運動障害についてのリハビリと高次脳機能障害のリハビリ。どこからどこまでがどの障害ということではなくどれもが密接に関わっているようで、高次脳機能障害を理解した上じゃないと身体のリハビリは正しく出来ないものかもしれないと感じています。

今回のリハビリではとても嬉しいことがありました。それは先生が音訳で使うアクセント辞典を用意して下さっていたことです。

回復期から通院のリハビリまで、ずっと
「音訳ボランティアを続けたい」
と話して来ました。

ブログでも触れてきましたが、10年以上やって来たボランティアであること。また、急性期で目が見えない体験をした私にとっては、視覚障害者のための音訳はくも膜下出血を起こす前以上に重要な存在となっていました。

けれども、仕事ではなくボランティアという位置付けであったためか、どこへ行っても真剣に取り合ってもらえませんでした。

回復期では「文章が上手く読めない」と言っても「ちゃんと読めてますよ」で終わりました。

高次脳機能障害があるとわかってからの通院リハビリでも言語聴覚士さんに「音訳に復帰したい」と話しても「注意障害もあるから無理でしょうね」とあっさり言われてしまいました。

これまで「音訳に復帰したい」という私の想いに向き合ってくれたのは、自費の理学療法士さん1人でしたが、ここに通うようになってもう1人真剣に考えてくれる方が加わって下さりとても嬉しいです。

音訳という作業には実はとてもたくさんの工程があります。
文章を読んで録音することはもちろんですが、その下準備で表やグラフ、写真の説明の仕方を考えたり、地名や人名の読み方を調べたりします。

それから地方出身の私にとってはアクセントも大きな課題の一つになります。音訳をするまでは気にも留めませんでしたが、数字や月日のアクセントさえ訛っていました。そのため十数年経った今でもかなりの量の単語のアクセントを調べています。

その上、動詞や形容詞に助詞や助動詞がつくとアクセントが変化します。一応法則は表になっていますが、どれに対応するのかを調べる作業が大変なことを辞書を持参して相談していました。

通院のリハビリの作業療法士さんにも相談したことはあったのですが、「かなり複雑な作業なので難しいですね」ということを指摘されただけで終わってしまっていました。

なので、今回その特殊なアクセント辞典を施設に用意して下さっていたことは本当に嬉しかったです。

良い方法があるかどうかという結果ではなく、良い方法を探そうとして下さっている姿勢がただただ嬉しいと思いました。

回復期で担当の療法士さんに
「後遺症であれも出来ないこれも出来ないって患者さんは言うけれどそれって違うと思うんだよ」
と言われたことがあります。

でもそんなことを言われてもじゃあどうすればいいの?と思いました。
あなたは違うと思うかもしれないけれど、私はそう思えない。心の中で反発していました。

今は、出来ないことはあるけれど出来ることもあると思っています。
でもそう思うようになったのは、思わせてくれたのは私がやりたいと思うことに真剣に向き合ってくれる療法士さんの姿だと思っています。

改めて患者を前に向かせるのは、常套句ではなく支援者の姿勢なのだと感じた出来事であり嬉しい出来事でした。