「面白い」の反対は「よくわからない」〜小説のちょっとしたコツ
崖っぷち作家のニジマルカです。
小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。
今回は「『面白い』の反対は『よくわからない』」です。
「面白い」の反対
誰でも、面白い(興味深い、感動する、ためになる、なども含めて)小説を書こうとしています。
ですが、面白くしようと考える前にやっておくべきことがあります。
それは「わかりやすくする」ことです。
わかりにくいものは絶対に面白くなりません。
ヒット作品を考えてみればわかると思います。
ヒット作はすべてわかりやすいのですね。
どんな話でもわかりやすくさえあれば、好き嫌いはあっても、つまらなくて読めないほどではありません。
読むのが辛いのは「なんだかよくわからない」作品です。
「面白い」の反対は「つまらない」ではなく、「よくわからない」だと知っておきましょう。
「わかりやすさ」のチェックポイント
さて、あなたの作品はわかりやすいでしょうか?
作品がわかりやすいかどうかは、以下くらいをチェックしてみるといいです。
1.物語を一言でいえるか?
2.キャラクターの行動原理がはっきりしているか?
3.その行動原理を最後まで貫いているか?
それぞれ見ていきましょう。
1.物語を一言でいえるか?
物語を一言にするには、まず5W1Hに分解してみるといいでしょう。
5W1Hはこうですね。↓
・誰が? (who)
・どこで? (where)
・いつ? (when)
・どんな理由で? (why)
・どういう手段で? (how)
・何をする話? (what)
たとえば鬼滅の刃を例にすると、
・誰が? :家族と暮らしていた主人公が
・どこで? :日本で
・いつ? :大正時代に
・どんな理由で? :鬼に家族を殺されたため
・どういう手段で?:さまざまな技と仲間の協力で
・何をする話? :鬼を討ち、妹を人間に戻す話
になります。
重要な要素を一言にまとめれば、
鬼に家族を殺された主人公が、仲間と協力して鬼を討つ話
となるでしょう。
物語を一言にできないなら、そもそも話になっていない可能性があります。
2.キャラクターの行動原理がはっきりしているか?
行動原理とはキャラクターの言動のルールです。
キャラは常に自身の行動原理に従ってしゃべり、動きます。
行動原理はキャラの動機と理由を合わせたものだと考えておけばいいでしょう。
動機:〜したい
理由:なぜなら〜
主人公の行動原理は、物語を一言にしたときにだいたい出てくると思います。
上の例でいうと、鬼滅の刃の炭治郎の行動原理は、
動機:鬼を倒したい
理由:なぜなら家族を殺されたから
ですね。
シンプルで強く、納得できる行動原理が望ましいです。
行動原理を強くするには、理由を強くするのが簡単です。
「その理由ならそうするのは当然だよね」と感じるような動機と理由のセットにすれば、行動原理は強く、納得できるものになります。
主人公だけでなく、主要なキャラクターがはっきりとした行動原理を持っているかも確認しておきましょう。
3.行動原理を最後まで貫いているか?
キャラクターは最後まで自身の行動原理を貫きます。
物語の途中で行動原理が変わると、話は途端にわからなくなります。
なぜそうなったのか、読者は理解できないからです。
もし行動原理が変わるなら、変わるほどの大事件を起こし、読者に納得してもらうしかありません。
読者が、キャラの言動すべてに納得できるかどうかが、物語のわかりやすさに直結しています。
もし、ある場面でだけ、いつもの行動原理と違う言動を取るなら、理由を書いて、読者を納得させる手順を踏みましょう。
わかりにくい部分を減らしていく
物語によっては、複雑な設定がある場合もあります。
そういった設定がわかりにくいなら、本当に必要なのか考えてみるといいです。
もっとシンプルな設定にできるかもしれませんし、そもそもなくても物語の進行には影響がない場合もあります。
わかりにくい部分はシンプルにしたり、減らしたり、消していくと考えましょう。
それは設定だけでなく、キャラクターの性格や感情、セリフの意味などでも同じです。
よくわからない部分を消していくほど、作品の形がはっきりしてきます。
合言葉は「わかりにくいものは面白くならない」です。
読者がわかることで、初めて面白くなるのです。
今回のまとめ
小説のちょっとしたコツ「『面白い』の反対は『よくわからない』」でした。
1.わかりにくいものは面白くならない
2.面白いの反対は「つまらない」ではなく「よくわからない」
3.作品がわかりやすいかチェックしてみる
4.わかりにくい部分を減らしたり、消していく
5.わかって初めて面白くなる
わかることが大前提です。
特別なことが起こらない話もありますが、そういう場合でも「何を楽しめばいいのか」ははっきりとわかってもらう必要があるでしょう。
それではまたくまー。