あなたの武器はなにか〜小説のちょっとしたコツ
崖っぷち作家のニジマルカです。
小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。
今回は「あなたの武器はなにか」です。
小説における武器とは
作品とは武器であり、市場やネットは戦場です。
戦場で自分の武器を使い、読者を倒すのが作者の仕事です。
ところで、小説は以下くらいの要素に分解できます。
文章
登場人物
物語
アイデア
テーマ(モチーフ、題材、対象)
これらのうち、どこかに攻撃力がない限り、読者を倒すことはできません。
たまには立ち止まって、「自分の作品の攻撃力はどこにあるだろうか?」と考えてみるといいでしょう。
「文章にはちょっと自信がある」
「物語をひねるのが得意だ」
「キャラは細かく設定している」
など、自分が得意としている要素が思い浮かぶと思います。
ですが……実はこれはちょっと意地悪な質問でした。
上にあげた要素のうち、攻撃力があるのは1つだけだからです。
その1つというのは「アイデア」です。
アイデア以外は、攻撃を当てるための手段にしか過ぎません。
よくわからないと思うので、説明していきましょう。
攻撃力はアイデアにしかない
上で書いたとおり、文章や物語、キャラ、テーマに攻撃力はありません。
それらは「アイデア」という攻撃力を、相手に当てるための道具です。
こんなイメージです。↓
攻撃力があるのは、弾丸であるアイデアだけです。
文章で本体をつくり、テーマで狙い、登場人物で掴み、物語を通して、アイデアという弾丸を相手に当てるのだと考えるとわかりやすいでしょう。
文章が上手いだけでも、物語が得意なだけでも、キャラの設定が詳しいだけでも、相手を倒すことはできません。
銃の性能がいくらよくても、弾がなければどうしようもないからです。
自分の作品に「弾丸」があるのか確認してみるといいですね。
弾がないなら、そもそも戦いにすらなりません。
アイデアだけでも相手に届かない
ここで急いで補足しておくと、アイデアも単体では相手に当たらないことをわかっておきましょう。
弾丸だけあっても、銃がなければ相手に届きません。
アイデアは、文章や物語、キャラ、テーマに乗せることで相手に届きます。
つまり、勝負するには、
アイデアを実現するための文章
アイデアを盛り込んだ物語
アイデアを具現化した登場人物
アイデアのあるテーマ(題材、対象)
が必要なのですね。
まず最初にアイデアがあり、それを実現したり、具体的にした文章、物語、キャラ、テーマがあることで、ようやく相手に届くのです。
銃の性能は上がる
アイデア(弾丸)を重視するのには別の理由もあります。
それは、「銃の性能は年々上がっていく」ということです。
ここで銃というのは、文章、物語、キャラ、テーマのことでしたね。
特に、文章技術、物語技術はノウハウが溜まっているので、ちょっと勉強すれば、皆同じ程度のレベルまで簡単に上がります。
ですから、それぞれが持つ銃には、ほとんど性能の差がありません。
みんな同じレベルの銃で撃ち合っているのですね。
ですので、アイデア(弾丸)の違いが、ますます勝敗を決するようになるのです。
どこにアイデアを乗せるか
どこにアイデアを乗せられるかは、どこで戦うか(戦場)にも寄るのですが、一般的に言って、「文章」や「物語」に乗せるのは難しいとわかっておきましょう。
「物語」のパターンはほぼ出尽くしており、「文章」への工夫はそれほど歓迎されるものではないからです(読みにくくなる)。
ですので、「キャラ」か、「テーマ(題材、対象)」に新しさを入れるのがまずは無難でしょう。
さらに言えば、「キャラ」よりも「テーマ」の方が新しさを導入しやすいはずです。
新しい社会問題はどんどん出てきますし、いままで描かれることのなかった職業や特殊な環境、状況などは、手っ取り早く新しさを付加するのに使えます。
とにかく、攻撃力はアイデアにしか宿りません。
アイデアのない文章、物語、キャラ、テーマで勝負できるとは思わないことです。
弾のない銃を持って戦場に行っても、死体袋に入って帰ってくるだけです。
それほどの威力がなかったとしても、せめて弾を持っているかくらいは確認した方がいいでしょうね。
今回のまとめ
小説のちょっとしたコツ「あなたの武器はなにか」でした。
作者の仕事は作品という武器で読者を倒すこと
アイデアにしか攻撃力はない
文章、物語、キャラ、テーマは、アイデアという弾丸を当てるための銃
銃の性能差はほぼないので、弾丸の良し悪しが勝敗を決する
テーマ(題材、対象)、キャラの順にアイデアを乗せやすい
武器を確認することも大切ですが、それと同じくらい、戦場がどういう場所か調べることも重要です。
それではまたくまー。