キャラクターが変人になってしまう問題〜小説のちょっとしたコツ
小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。
今回は「キャラクターが変人になってしまう問題」です。
変人になってしまう
特にエンタメ系作品を書いているときに起こりがちだと思いますが、キャラクターに特徴をつけようとして、ただの変人になってしまうことがあります。
これは私もよくやりました。
だいたいは言動がおかしすぎて扱いが難しく、書いている本人にも違和感しか残らないのです。
ほとんどの場合、そういうエキセントリックなキャラはそこまで必要ないものですが、おかしなキャラを出したいこともあるでしょう。
今回はキャラを変人にしないための対処法を2つほどご紹介します。
バックストーリーを作る
物語に貢献させる
それぞれ見ていきましょう。
1.バックストーリーを作る
1つ目はバックストーリーを作ることです。
バックストーリーとは、キャラクターの言動や性格の起源となるような過去の出来事のことです。
生育歴みたいなものですね。
そのキャラクターはどうしてそのような性格になったのでしょうか?
そこには必ず理由や原因があります。
その理由をきちんと考え、もしその理由が重要なら、どこかの時点でその人物の過去を説明するといいでしょう。
キャラが普通から離れれば離れるほど、説明が必要になります。
(キャラだけではなく、設定や舞台なども同じです)
図にするとわかりやすいでしょう。
縦軸は変人度(普通からの距離)、横軸はそれぞれのキャラです。
普通のキャラは説明がいりません。
誰にでも分かるからです。
これがやや変人になると、説明を要します。
普通からは距離があるからですね。
やや変人のキャラを読者が理解するには、そのキャラの情報が必要になります。
「キャラのところまで説明のハシゴを掛けて理解してもらう」と考えるとわかりやすいでしょう。
さらに、かなりの変人になると、ハシゴの高さも幅も大きくしなければ上まで登れません。
ですから説明の量、つまりこの場合ならバックストーリーが多くないと、読者にとっては理解できないただの変人キャラになってしまうのです。
どう育ったらこういう性格になるのか、少しでもいいので考えてみましょう。
そして、その情報を適宜出していけば、そのキャラの説得力を上げることができます。
2.物語に貢献させる
2つ目は物語に貢献させることです。
物語の中で変人キャラが妙に浮いてしまうのは、その変人キャラが物語と密接に関係していないからです。
その変人キャラがいなければ、その話は成立しないようになっているでしょうか?
もしその変人キャラがいなくても問題ないなら、そのキャラは不要でしょう。
そもそも出す意味がありません。
ストーリーとキャラクターを分離させないよう意識するといいです。
両者はがっちりとかみ合って、一体になっていなければなりません。
そうしないと、強い物語にならないからです。
すべてのキャラクターに言えることですが、登場するなら、登場するに足る理由が必要です。
その変人キャラに登場する理由はありますか?
即答できないなら、そのキャラが本当に必要かどうか検討するか、あるいは、変人キャラの変人っぷりがちゃんとストーリーに絡むよう設計し直しましょう。
「この変人キャラがいなければ、この話にならない」とはっきり言えるまで修正すればいいです。
ストーリーとキャラクターががっちりとかみ合ったとき、変人キャラには物語に存在する理由が与えられ、ただの変人として浮いてしまう存在ではなくなります。
理由をつくる
上の2つは結局のところ「理由をつくろう」と言っているに過ぎません。
つまり、
そのキャラがそうなった理由をつくる
そのキャラが物語に登場する理由をつくる
ということですね。
当然ですが、物語は現実ではありません。
現実の世界は、理由のないもの、原因がわからないもので溢れていますが、物語の世界では、理由のないものは存在できません。
キャラにはそうなった理由があり、物語に登場する理由があるのです。
物語に偶然はない、と考えておくと簡単でしょう。
物語内ではすべてが必然的に起こります。
明確な理由や原因があって起こるのですね。
もちろんたまには偶然を起こしてもいいですが、偶然を起こしすぎれば、いい加減な話だと読者に見限られてしまうでしょう。
読者は物語に、現実世界のようないい加減さを求めていないのです。
すべてに理由をつくりましょう。
それさえ守れれば、変人キャラを作ってしまうこともありませんし、物語が破綻することもありません。
今回のまとめ
小説のちょっとしたコツ「キャラクターが変人になってしまう問題」でした。
特徴をつけすぎて変人になってしまう
変人キャラを作らないコツ
バックストーリーをつくる
変人キャラがそのようになった過去のいきさつをつくる物語に貢献させる
変人キャラの変人っぷりが物語に密接に関係するようにする
すべてに理由をつくる
現実世界は理由や原因のないものが溢れている
物語の中では理由のないものは存在できない
物語は自由なものではなく、理由や原因でがんじがらめになった窮屈な構築物だと考えた方がすっきりするかもしれませんね。
それではまたくまー。