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心の声の書き方〜小説のちょっとしたコツ

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。

今回は「心の声の書き方」です。


心の声とは

心の声とは、話者や視点人物が心の中で考えたり、思ったりしていることです。

内面描写や心情描写と言った方がいいかもしれません。

さまざまな表現の仕方があると思いますが、今回はよく使う3つの方法を見ておきましょう。


大きく直接的か間接的かの2つに分かれ、直接的な方はさらに2つの方法をよく見かけます。

  1. 直接的

    1. 地の文にそのまま書

    2. カッコで囲う

  2. 間接的

    1. 〜と思った、〜と考えた、などで表現する


それぞれ見ていきましょう。


1.地の文にそのまま書く

地の文にそのまま書くのがもっとも簡単で、よく使われる方法だと思います。

わかると思いますが、こんな感じですね。

 タナカは息を呑み、思わず後ずさりした。
 なんてことだ……まさか彼女が犯人だったなんて……

メリットは何と言っても手軽なことでしょう。

セリフのように書けばいいだけなので簡単です。

(ちなみに三点リーダ(……)が行末に来たとき、句点(。)をつけるべきかどうかですが、私はつけていません。本当はルールがあるのかもしれませんが、校閲で直されたことはないです)


一方、デメリットとしては、地の文と区別がつきにくいことが上げられます。

私が書いているのはライトなエンタメ作品なので、説明などを心の声で処理してしまうことも多いのですが、読んだとき、一瞬、地の文なのか心の声なのか判断できないことがあります。

読者はそこまで気にしていないかもしれませんが、できればはっきりわかった方がいいのではないかとも思いますね。

その点を考慮したのが次の方法でしょう。


2.カッコで囲う

地の文にそのまま書くのは変わりませんが、心の声をカッコで囲むことで明確にする方法です。

上の例を持ってくるとこうですね。

 タナカは息を呑み、思わず後ずさりした。
(なんてことだ……まさか彼女が犯人だったなんて……)

これもよく見かけます。

私は使ったことがないので、行頭からカッコを書いていいのかちょっと迷いました。
(たぶんいいのでしょう)


メリットは心の声が明確になる点です。

見ただけですぐにわかるので迷うことはありません。


デメリットはちょっとした違和感でしょうか。

小説でカッコが書かれることはあまりないので、読者によっては戸惑う人もいると思います。

また、安易に記号で処理するので、なんとなく雑に感じる読者もいるかもしれませんね。

余韻や間を1行アケで表現するのと似たような雑さでしょう。


ただ割り切ってしまえば、この方法はわかりやすいと思います。

書くジャンルによって、使うかどうかは検討した方がいいですね。


また、1の「地の文に直接書く方法」と2の「カッコ付きで書く方法」は、基本的には作品内で併用できません。

どちらかに統一しないと読者が混乱するからです。


3.〜と思った、〜と考えた

〜と思った。〜と考えた。などと書いて心の声を書くことも多いと思います。

間接的な方法ですね。

この方法と、直接的な方法は混ぜることができます。

 タナカは息を呑み、思わず後ずさりした。
 なんてことだ……まさか彼女が犯人だったなんて……
 早急に、だが慎重に対処する必要があると彼は思った。

メインの心の声の書き方を決めて、ところどころ変化をつけるために間接的な方法を混ぜるのがいいと思います。

混ぜても混乱はないはずです。


もっとエレガントな方法もあるのでしょうが、このくらい知っておけば、ひとまず困ることはないでしょう。


今回のまとめ

小説のちょっとしたコツ「心の声の書き方」でした。

  1. 心の声とは、話者の思いや考え

  2. 直接的な方法と間接的な方法に分けられる

  3. 直接的な方法には「地の文に直接書く」「カッコで囲う」の2つがある

  4. 間接的な方法は「〜と思った。〜と考えた」などの表現を使う

  5. 直接的な方法は併用できない

  6. 直接的な方法と間接的な方法は併用できる

カッコで囲う方法もやってみたくはありますが、ちょっとお手軽すぎて二の足を踏んでしまいます。

それではまたくまー。

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