ページの見た目〜小説のちょっとしたコツ
崖っぷち作家のニジマルカです。
小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。
今回は「ページの見た目」です。
見た目を気にする
ページの見た目は漢字の量や改行の数、文の長さなどによって変わります。
見た目が変わると、もちろんページから受ける印象も違ってきます。
ネットで小説を書いている方やアマチュアの方はあまり気にしないかもしれませんが、出版している作家さんはページの見た目をある程度気にしているものです。
ある程度書けるようになったら、最終的な形態が縦書きでも横書きでも、少し見た目も気にしてみるといいと思います。
ページの見た目を整える指針は「そうすることで読みやすく、わかりやすくなるか」です。
気にするポイントは以下程度かなと思います。
1.読点
2.漢字の量、開き
3.改行
4.文の長さ
5.表記のゆれ
それぞれ見ていきましょう。
1.読点
読点については以下の記事でも書きましたが、打ちすぎると見た目がうっとおしくなるとともに意味もわかりにくくなります。
読点を打つ指針は
1.誤解を招くところは必ず打つ
2.読みにくいところは適宜打つ
3.それ以外は打たない
くらいで考えておけばいいです。
「息継ぎするところで打つ」とよく聞きますし、自分もそうやって打っていたこともありますが、これは自分の場合は打ちすぎになる印象です。
作者の体感で打つよりは、まずは最低限の読点を打つことを意識した方がいいでしょう。
2.漢字の量、開き
漢字が多すぎると紙面が黒くなります。
紙面が黒すぎると難しそうに見えるので、読者の読む気を削ぐ場合があります。
想定する読者に合わせて漢字の量は調整した方がいいでしょう。
難しい熟語を使っているなら簡単な表現に直してみるといいです。
同じく漢字の開きも調整するといいですね。
おわかりだと思いますが、漢字表記できるところをひらがなにすることを「漢字を開く」といいます。
たとえば上の文章なら、
お分かり → おわかり
出来る所 → できるところ
言います → いいます
と開いています。
私は熟語を使いがちなのもあり、開けるところは開くことが多いです。
3.改行
改行も想定読者、想定ジャンルによって調整した方がいいでしょう。
下で紹介する「文の長さ」とも関係しますが、私は最近は改行を多めに入れるようにしています。
読みやすさや読みの速度を重視するようにしたからです。
ただ、読みやすさの代償として情報量が減り、雰囲気が失われがちです。
読みやすさと与える雰囲気はトレードオフ(両立するのが難しい関係)になるとわかっておくといいですね。
ネット小説では改行を多めにするのが慣例になっているようです。
セリフの前後を空行で挟んであるのもよく見かけますね。
慣例は理由があって定着していくものです。
ですから、慣例があるなら今までの常識とは違っていても、ひとまずそれに従ってみるのがいいと思います。
4.文の長さ
文の長さも調整が必要です。
ネット小説では一行の文字数内に収めることが多いようです。
つまり、二行に渡らないように文の長さを短くするということですね。
一行の文字数は、縦書きの本でも、横書きのネット小説でも、だいたい30〜40文字でしょう。
同期の作家がネット小説もやっていますが、やはり「一行をできるだけ35文字以内に収める」と言っていました。
縦書きの本ではそこまで徹底しなくてもいいでしょうが、ある程度、気をつけてもいいのかもしれません。
私自身も最近は一行に収まるように調整したりしています。
ですが、これをやると全体的にやや幼い印象を与えるはずです。
ですからこれも、想定読者、想定ジャンルによって違ってきます。
一般寄りの小説では一行をもっと長くした方がいいでしょう。
5.表記のゆれ
表記のゆれとは、同じ意味の言葉なのに表記が異なるものが混在することです。
たとえば「引き継ぎ」「引継ぎ」「引継」などと別々の送り仮名で書いたり、「ミステリ」「ミステリー」と混ぜたり、漢数字とアラビア数字の混在なども表記のゆれです。
最近のワープロソフトなどでは自動的に表記のゆれを修正してくれるものもありますね。
私は表記のゆれは「まああってもいいか」くらいに考えています。
良くない態度かもしれませんが、ときに漢字のままにしたり、ときに漢字を開いたりして、一文の漢字の量などを調整することがあるからです。
この辺りはプロだと校正・校閲を通すので直される場合もあります。
直されたらそれでもいいや、くらいの緩い態度です。
原則的には表記のゆれを無くすのが正しい態度でしょう。
今回のまとめ
小説のちょっとしたコツ「ページの見た目」でした。
1.見た目を整える指標は「読みやすくなるか、わかりやすくなるか」
2.読点は最低限を打つ
3.漢字の量、開きは要調整
4.改行を多くすれば読みやすくなるが、雰囲気はなくなりがち
5.一行の長さは規定文字数内に収めてもいい
6.表記のゆれはアプリに任せるか、校正・校閲に任せてもいい
ネット小説の改行の多さは、横と縦の人間の認識の違いに寄るものかもしれません。
(おそらく左右より上下の方が認識しにくいので、上下を広げる意味で改行しているのではないかと推測しています)
それではまたくまー。