「こんなにたくさん本があるのに自分が書く意味ある?」と思ってしまったら
本屋に行くと無数に本があるので、げんなりしていたことがあります。
「こんなにたくさんの本があるのに、自分が書く意味ってあるんだろうか?」
「私の本なんていらないんじゃない?」
作家志望者だったころは、よくそんな風に考えて落ち込んでいたものです。
今回は、そんな風に思ってしまった人向けのちょっとした考え方のご紹介です。
悩み始める時期
誰しも、小説を書き始めたころは意欲に満ちあふれています。
そういうときは、書く意味など考えません。
「書くのが楽しい!」
「次はどんな作品を書こうか」
そんな気持ちで書いている間は悩んだりしないものです。
ですが、何年も書いて結果が出ないと、次第に気力がなくなってきます。
「一次選考すら通れない……」
「誰にも読んでもらえない」
「才能がないんじゃないか……?」
勢いや気力だけで書き続けられるのは、3年くらいかなと思います。
3年経っても何の結果も出なければ、そろそろ諦めることを考え始めるでしょう。
そんなころに本屋に行くと、上で書いたような状態になりがちです。
「こんなに本があるのに、私が書く意味ってある?」
書く意味を考え始めたら、危険信号です。
急いで次のように考えましょう。
「書くことは世界を豊かにする」
ぜんぜんわからないと思いますので、以下から説明していきます。
作品を発表することの意味
まず、作品を世に出すことの意味を考えてみましょう。
作品を発表すると、どうなるのでしょうか?
結論から言うと、私の考えはこうです。↓
作品を発表する = 世界に価値を増やす
例を出して考えていきましょう。
たとえば本を出版し、その本が大ヒットしたとします。
すると、もちろん作者にもお金が入りますが、その作品に携わった多くの人にもお金が回ります。
出版社、編集部、編集者、デザイナー、イラストレーター、校正の人、印刷屋さん、書店さん……
すべての人や組織が経済的に潤うのですね。
規模が大きくなれば、さらにお金が回ります。
たとえばマンガになればマンガ業界に、アニメや映画、ゲームになれば、またそれぞれの業界にお金が回るのです。
たった1冊の本が、何億、何十億もの経済効果を生み出します。
なぜそうなるかというと、その本が世界に「新しい価値」を持ち込んだからですね。
その価値が、結果としてお金に換算されたわけです。
つまり、作品を発表することは、世界に価値を増やす行為なのです。
ですから私は、作家の仕事は「新しい価値を創り出すこと」だと考えています。
「新しい価値を世界に持ち込むことで、世界全体の価値を上げていく」と表現してもいいでしょう。
書くことは世界を豊かにする
ところで、「価値」とは何でしょうか?
お金になるものが価値でしょうか?
そうではありません。
いままで世界に存在しなかったものは、すべて「新しい価値」だというのが私の考えです。
お金に換算できるかどうかは重要ではありません。
「いままで存在しなかった」という性質こそが価値だからです。
ですから、いままで世界に存在しなかった作品には、必ず新しい価値が含まれています。
つまり、あなたが作品を発表すれば、世界に新しい価値を増やすことになるのです。
このことを、もう少し詩的に表現すれば、こうなるでしょう。↓
書くことは世界を豊かにする
あなたが作品を発表すると、その作品は、世界に、新しい見方、新しい感じ方、新しい解釈、新しい意味を加えることになるでしょう。
すると、世界はより重層的に、より深いものになっていきます。
つまり、世界はより一層豊かになっていくのです。
あなたが作品を書けば、世界にまた一つ、新しい価値が加わります。
もうちょっと踏み込んで言えば、価値の源泉は作品にあるのではなく、あなた自身にあります。
あなたは他の誰とも違うオリジナルな存在であり、その存在自体が価値だからです。
ですから、あなたはその価値を世界に示せばいいだけです。
たくさん書いて、たくさん発表しましょう。
そういえば、「私が書く意味ってある?」などと言っていましたね。
そんなことで悩んでいる場合ではありません。
あなたが書けば書くほど、世界は確実に豊かになっていくのです。
今回のまとめ
「書く意味があるのかと思ってしまったら」という話でした。
結果が出ないと、書く意味を考え始める
作品を発表する=世界に価値を増やす
作家の仕事は「新しい価値を創り出すこと」
価値とは「いままでなかった」という性質
作品を書けば、新しい価値を加えることになる
書くことは世界を豊かにする
くじけそうになったら、この考え方をちょっと思い出してみるといいと思います。
それではまたくまー。