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情報提示の基本〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。

今回は「情報提示の基本」です。


シーンにおける情報提示

小説は、読者に情報を示す → 理解してもらう → 次の情報を示す……と情報を提示しながら進むものです。

小説における情報提示は、全体的な物語のレベルから文章レベルまでいろいろありますが、まずはシーンにおける情報提示について押さえておきましょう。

知っておくといいことをご紹介していきます。


基本の考え方

最初に、情報提示の基本的な考え方を知っておきましょう。

基本は

・読者が欲しい情報が
・欲しいタイミングで
・欲しい量だけ書いてある

ことです。

たとえば、読者が「誰がしゃべっているんだろう?」と思ったときに人物の描写があり、読者が「どこでしゃべっているんだ?」と感じたときに場所の説明があるということですね。

作者の都合で情報を押しつけるのではなく、読者が欲しい情報を出していくと考えると、説明しすぎたり、描写しすぎたりせずに済みます。


情報の提示がうまくいくと、読者は何も考えずに読み進めることができます。

知りたいことが過不足なく、適切に書いてあるからですね。

これが理想的な状態です。

こういう状態にするのは難しいのですが、理想の状態があると知っておくだけでも違ってくると思います。


文章の種類と提示できる情報

これも基本的なことですが、文章の種類と提示できる情報を知っておきましょう。

簡単に言うと、小説における文章には以下の3種類があります。

1.描写
2.説明
3.セリフ 

それぞれの文章でどのような情報を提示できるかというと、こんな感じです。↓

1.描写
風景や場所・建物、人物の服装・外見、起こる出来事、人物の行動や内面など

2.説明
描写で表現すると長くなる情報を示す
描写を圧縮すると考えてもいい

3.セリフ
発言、独り言、内面の言葉(思い)

これらを適宜使い分けながら情報を提示していくわけですが、どれか1つを長く続けないのがコツです。

ずっと描写が続く、ずっと説明が続く、ずっと思いが綴られる、ずっとセリフが続く、といった状態にしないということです。

ですから、描写したら説明を入れ、表情を書いたら次は内面を書き、セリフの間に行動を挟み……といった風に表現をバラけさせるといいです。


同じ表現での情報提示が許される量は、ジャンルや読者層によって異なります。

逆に言うと、そのジャンルの読者が使って欲しい情報提示のやり方(文章の種類)があるのですね。

狙っているジャンルの作品を読んで、だいたいの感覚を掴んでおくのがいいです。

強引に考えると、こんな感じになるかもしれません。↓

一般寄りの小説
描写 :できれば描写で多くを伝える
説明 :できれば短く
セリフ:あまり多くしない
思い :わりとあってもいい?

ライトなエンタメ小説
描写 :あまり長くしない
説明 :けっこう長くてもいい(たぶん)
セリフ:長く続いてもいいし、セリフで説明してもいい。
思い :かなりあってもいい


シーンの最低限の情報

あるシーンにおいて、最低限示しておきたい情報は以下です。

1.場所(where)
2.視点人物(who)
3.行動・出来事・発言(what)

3はシーンで起こる出来事そのものですから考えなくていいです。

1の場所は、できるだけ早く描写と説明で書いておきましょう。

描写のカメラは、「遠くから→近くへ」と「近くから→遠くへ」の2種類があると考えておけばいいです。

・遠くから→近くへ
大きな状況から中景を経て、視点人物の行動などにカメラが寄っていく。

・近くから→遠くへ
目の前の行動から中景を経て、大きな状況へとカメラが引いていく。

いずれの場合でも、遠くからいきなり近く、近くからいきなり遠く、といった風に書くと不自然な感じになるので、中景を混ぜて滑らかに繋いだ方がいいです。

2の視点人物は、そのシーンの主役です。

初出のときに、外見の描写とともに、どういう人物なのか説明しておけばいいです。

イラストのある小説を出版する場合は、目の色、髪の長さ・色、雰囲気などもある程度描写する必要があります。

あとでキャラクターのデザイン指定をするからです。

とにかくシーンにおいては、最低限、場所と人物を描写+説明で情報提示しておけば問題ありません。

あとは気にせず、出来事を書けばいいだけです。


そのほかの注意

シーンによって、視点人物を変えるときがありますよね。

視点人物が変わる場合はもちろんのこと、主人公が視点人物でも、できるだけ早く主語を書きましょう。

つまり視点人物がタロウなら、いろいろ描写する前に「タロウは〜」といった主語のある文章を入れて、誰が視点人物なのかを示すのです。

よくアマチュア小説で、シーンが変わったときに「■□■□タロウ■□■□」などと書いて視点人物が変わったことを示す場合がありますが、そういう場合でもできるだけ早く主語を書いた方がいいでしょう。

そういった表記を読み飛ばすことも多いからです。

一人称の場合でも名前を呼ばせるなどして、視点人物を可能な限り早く伝えるといいです。

その人物が誰かわからずに文章を読むほど、苦痛なことはありません。

手早く人物を提示し、読者が安心して読めるようにしてください。


今回のまとめ

小説のちょっとしたコツ「情報提示の基本」でした。

1.「読者が欲しい情報が、欲しいタイミングで、欲しい量だけ書いてある」のが理想
2.文章の種類と提示できる情報を知っておく
3.ジャンルによって読者が情報提示に使って欲しいやり方がある
4.シーンの最低限の情報は場所と人物
5.できるだけ早く視点人物が誰か伝える

あまり体系的な説明になりませんでしたが、多少のコツが伝わればいいなと思います。

それではまたくまー。


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