発表した作品が思ったほど上手くいかなかったら
「なんかぜんぜん読まれないな……」
「予想よりまったく売れない……」
ネット小説サイトに作品を公開したとき、またプロ作家なら出版したとき(特にデビュー作)、予想していたほどの結果が出ないことがあります。
そういう場合の対処法はいろいろあるのですが、今回はちょっと厳しめの考え方をご紹介しましょう。
「そういう考え方もあるのか……」くらいで読んでもらえればと思います。
読者は必ずいるが……
最初にこのことを分かっておきましょう。
どんな作品でも、「その作品を待っていた!」という読者は必ずいます。
奇妙なこだわりのある作品や、読後感のよくないバッドエンド作品だとしても、熱心に読んでくれる読者は必ず存在します。
ですから、あなたの作品を読んでくれる読者も必ずいるのですね。
そこは心配しなくていいのですが、問題は、そういった読者が多いか少ないかです。
要するに数の問題ですね。
「読者が少なくても熱心に読んでくれればそれでいい」という人もいると思いますが、書いたからにはやはり「多くの人に読んでもらいたい」というのが本音でしょう。
ですから、ここで「うまくいかない」と言っているのは、
読者はいるが、数が少ない
ということを指しています。
なぜ多くの人に読まれないのか
では、あなたの作品はどうして多くの人に読んでもらえないのでしょうか?
当たり前のことを言えば、
多くの人が好まない作品を書いている
からです。
読者の分布を見れば、すぐに分かるでしょう。
縦軸は読者数、横軸はこだわり度(マニア度)のようなものです。
まったくこだわらない人も、ものすごくこだわる人も多くはありません。
多いのは常に「まったくこだわらないわけじゃないけど、そこまでこだわらない」という中間的な人です。
つまり普通の人ですね。
だいたいにおいて、あなたの作品は、こだわり度が高いところに位置するでしょう。
分布を見れば分かるとおり、読者は確実にいます。
ですが、こだわり度の高い読者は少ないのですね。
したがって、あなたの作品を読む読者も、必然的に少なくなるというわけです。
ですから、多くの人に読まれたいなら、こだわり度を薄め、作品を普通の人向けにデチューン(性能を落とす)する必要があります。
多くの読者がいる方向に作品をずらす、と言ってもいいでしょう。
その際、一つの考え方として、思いきってこう考えるのもいいと思います。
いままで作品を読んでくれていたファンを捨てる
ファンを捨てる
いままで作品を読んでくれていた「こだわり度の高い読者」に向けて作品を書いている限り、あなたの作品が多くの人に読まれることはありません。
上でも書いたとおり、こだわり度の高い読者はそもそも少ないからです。
それでもいいという人は、それでまったく問題ありません。
選択は自由です。
ですが、もしあなたが「もっと多くの人に読まれたい」と思うなら、いままであなたの作品を読んでくれた読者を捨てることを考えてみましょう。
その人たちに向けて書いても、多くの人には届かないからです。
このことを、もっと強めに言えばこうなります。
既存のファンを裏切る作品を書く
極端に言えば、既存のファンががっかりするような作品を書かなければ、多くの人に読まれる作品にはならないでしょう。
中には、既存のファンも大事にし、しかも多くの読者に届くように書ける人もいるかもしれませんが、そこまで器用な人は少ないと思います。
そういった器用なことが自分にできそうかどうか、考えてみるといいですね。
私のデビュー作は、私のこだわりが詰まった作品でしたが、まったく売れませんでした。
ですので、2作目はまったく毛色の違う作品を書くことを選択しました。
上で書いたように、既存の読者を裏切ることにしたのです。
おそらくデビュー作を気に入ってくれた読者もいたでしょう。
ですが、私は意識して、そういう読者を捨てることにしました。
その2作目が売れたため、私はいまもこうして作家業を続けられているというわけです。
既存の読者を捨てられない方も多いと思います。
ですが、一般的に言っても、上を目指すなら、いずれは何かを手放さなければならないようです。
「どうも上手くいかない……」「いまひとつ結果が出ない」と悩んでいるなら、思いきって、いまの読者を捨てることを考えてみてください。
仮に考えてみるだけでもいいでしょう。
もし既存の読者を裏切る作品を書くとしたら、どういった作品になるでしょうか?
ちょっと過激な考え方ですが、捨てないと得られないものがある、というのも真実のようです。
今回のまとめ
「発表した作品が手くいかなかったら」でした。
どんな作品にも読者はいる
問題はそういった読者が多いか少ないか多くの読者に読まれないのは、多くの読者向けの作品ではないから
少ない読者向けに書く限り、多くの読者には読まれない
普通の読者向けにデチューンする必要がある既存のファンを捨てる意識で次作を書く
「何かを変える」ということは、「何かを捨てる」ことだと考えてもいいかもしれませんね。
それではまたくまー。
(2023.7.18追記)
やったー!
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