できるだけ早く作品の魅力を伝える〜小説のちょっとしたコツ
崖っぷち作家のニジマルカです。
小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。
今回は「作品の魅力を伝える」です。
シーンの設計
基本的に長編は本一冊分の分量で設計します。
何度も同じことを書いていますが、以下のようなボリュームですね。
・文字数で :10〜13万文字
・ページ数で:250〜300ページ(1ページ40字×15行くらい)
・原稿用紙で:300〜350枚
この分量の中でシーンを設計していくわけですが、担当さんによく言われるのは、
「作品を象徴するシーンを全体の1/3くらいまでに出してください」
ということです。
どういうことか説明していきましょう。
作品の魅力を伝える
「作品を象徴するシーン」というとちょっとわかりにくいですが、単純に言うと「作品の魅力がよく伝わるシーン」のことです。
印象的なシーンと言ってもいいですし、作品のウリとなるシーンと言ってもいいですね。
たとえば、「主人公の性格が極端」というのが作品の魅力なら、それがよくわかるシーンがそれに当たります。
あるいは「虐げられていた主人公が力に目覚めていく」のが作品の魅力なら、主人公がそういう行動を取るシーンになるでしょう。
「魅力が伝わるシーン」を大きく分けると、以下のようになると思います。
1.主人公の魅力が伝わるシーン
2.物語の魅力が伝わるシーン(主人公が物語で何をするかわかるシーン)
もちろん両方を満たした方がより作品の魅力が伝わります。
こういったシーンを入れることで、読者に
「この作品の魅力はここですよ」
「これはこういうところを楽しむ作品です」
「他の作品と違うところはここです」
と伝えるわけです。
読者は作品は読むとき「これは読む価値があるだろうか」と迷いながら読んでいるものです。
ですから、できるだけ早いうちに作品の魅力を伝え、読み進めてもらえるよう読者にアピールすることが重要です。
作中で3回アピールする
「1/3くらいまでに入れる」というのは、上で書いたとおり、できるだけ早く作品の魅力を伝えるということもありますが、もう一つの理由は、
前半・中半・後半の3回くらいウリとなるシーンを入れるといい
からです。
だいたい作中で3回くらいそういったシーンを入れておけば、読者は飽きずに読み進めることができます。
これも担当さんからよく言われることなので、覚えておくといいですね。
とはいえ、3回入れるのは大変かもしれませんから、まずは全体の1/3までに魅力的なシーンや印象的なシーンを1つ入れるように心がけてみましょう。
後半はあまり意識しなくてもそういったシーンになっていくものですが、前半はついぐだぐだと話を進めてしまうものです。
読者に飽きられないよう「この作品の魅力はこれだ!」というシーンを早めに出すようにしてください。
早い段階で作品の魅力やウリを伝えることで、読者も安心して物語に没頭することができます。
つまり、これは読者への配慮でもあるわけです。
今回のまとめ
小説のちょっとしたコツ「作品の魅力を伝える」でした。
1.全体の1/3くらいまでに作品を象徴するシーンを入れる
2.作品を象徴するシーン=作品の魅力が伝わるシーン=ウリとなるシーン3.主人公の魅力を伝える or 物語の魅力を伝える
4.前半・中半・後半の3回ウリとなるシーンを入れると良い
前半にウリとなるシーンを入れようとすると、だいたい説明は後回しになります。
説明は後でしてもほぼ問題ありません。
最低限の情報だけ提示して、素早くウリとなるシーンを提供しましょう。
それではまたくまー。