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伏線で気をつけること〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。

今回は「伏線で気をつけること」です。


伏線とは

最初に「伏線」とは何か説明しておきます。

簡単に言うと、後の展開のヒントを事前に出しておくことです。

因果関係を明かさずにほのめかすこと、とも言えますね。

伏線が回収されると、「ああ、あれがそうだったのか!」と、驚きとともに納得が起こります。

驚きとは、隠れていたものがあらわになったときに起こる感情で、納得とは理屈が通ったときの感覚です。

ですから伏線の回収とは「隠れていたロジックがあらわになること」を意味しています。


さて、作品で伏線を張ることは多いと思いますが、ちょっと知っておくといいことがあります。

今回は2つほどご紹介しましょう。


はっきりと伏線を張っていい

1つ目は、伏線ははっきり張っていいということです。

伏線なんだから、ぼかさなければならないと考えることはありません。

ぼかすと、ただ伝わらなくなるだけです。

それよりも、はっきりと伏線を書きましょう。

あからさまなくらいに書いても大丈夫です。

ミステリなら気をつけた方がいいかもしれませんが、一般的な小説ではほとんど気にしなくていいです。


なぜかというと、 読者は前の方に書いてあったことをだいたい忘れているからです。

読者は隅から隅まで集中して読んでいるわけではありません。

半分くらいは忘れています。

ですから、ある程度、記憶に残るくらいはっきり書いてもいいのです。


無理に隠そうとしなくて構いません。

ばっちり書いても、ほとんどの読者は素直に読んでくれます。

ぼやかして書くと、よけい疑いを持つものです。

さりげなく、でもはっきりと伏線を書きましょう。


すべてに伏線を張るくらいでいい

2つ目は、すべての出来事に伏線(事前情報)を張るくらいでいいということです。

伏線といっても、なにか大きな謎に関するものばかりではありません。

新しい出来事を起こす前の前振りも、伏線の一種だと考えてみてください。

読者にとって初出の情報で何かが起こることを避け、必ず事前に情報を出しておくのです。

いきなり何かを起こすのではなく、情報を小出しにして、段階を踏んでおくと言ってもいいですね。

図にするとわかりやすいと思います。↓

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だいたいにおいて、作者は、読者が知っている情報を多く見積もりがちです。

なぜかというと、自分は話がどうなるのか知っているからですね。

「書かれていない情報を読者は知りようがない」とはっきりわかっておきましょう。

そのためにも、初出の情報でいきなり何かを起こさないよう気をつけるといいです。

物語とは繊細なもので、雑に扱うとすぐに壊れてしまいます。

ですから、読者がすぐに理解できないようなことは、なるべく書かない方がいいのです。

一つ飛ばしに何かが起こると、読者は、その間にどういうロジックがあったのか考えなければなりません。

すると、没入感が薄れ、読む気が失せるのです。


読者に苦労させるのが物語の目的ではありません。

目的はあくまでも楽しんでもらうことです。

ですから、丁寧に事前情報(これも伏線と捉える)を提示し、理解に要するエネルギーを下げてあげましょう。

理解のためのエネルギーが下げれば、余った分を読み進めるエネルギーとして使ってもらえます。

読者を甘やかせばいいということではありませんが、丁寧に情報を出してあげると、読者はその丁寧さに気づき、作者を信頼し始めます。

少なくとも信頼が得られるまでは、読者を雑な情報で引っ張り回さないことです。

すべての出来事に伏線(事前情報)を張るくらいに考えて、読者を歓待しましょう。

丁寧に扱われて、気分を悪くする人はいません。


今回のまとめ

小説のちょっとしたコツ「伏線で気をつけること」でした。

1.伏線とは後の展開のための事前情報
2.伏線回収とは隠れていたロジックがあらわになり、驚きと納得が起こること
3.伏線ははっきりと張っていい
4.読者は前の方の話を忘れている
5.すべての情報に伏線(事前情報)を張るくらいでいい
6.丁寧に事前情報を出していくと、読者は安心し、作者を信頼する

私も雑に出来事を起こして、担当さんによく注意されています。

丁寧に書くと、読者もそれに応えてくれるものです。

それではまたくまー。


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