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小説でよくやりがちな失敗 【文章編】

小説でやりがちな失敗をご紹介するシリーズ。

今回は文章編です。

前回はこちら。↓



文章でやりがちな失敗3つ

文章表現での失敗はいろいろありますが、初歩的な失敗(文意が伝わらないなど)を除けば、大きくまとめると3つくらいになるのかなと思います。

  1. 繰り返しが多い

  2. バランスが悪い

  3. 想定読者とのズレ


それぞれ簡単に見ていきましょう。


1.繰り返しが多い

1つ目の失敗は「繰り返しが多い」です。

繰り返しというのは、例えば以下のような要素が繰り返されることです。

  • 同じ文末

  • 同じ単語

  • 同じ表現

  • 同じ音

  • 同じ文章構造


小説の文章では、基本的に繰り返しは避けましょう。

繰り返されると、読者はそこに違和感を覚えます。

あるいは、意味を見いだそうとする場合もありますね。


違和感を覚えさせることも、意味があるように思わせることも、いずれにせよ、読者に余計な負担を負わせているだけです。

なぜなら、文章表現における繰り返しはただのミスであり、ほとんどの場合、そこに意味はないからです。
(なにか意図があるなら別ですが)


意味のない繰り返しは、読者にとってはノイズでしかありません。

それらのノイズは物語への没入を妨げるものであり、できるだけ取り除く必要があります。

読者に、物語以外のことを気に掛けさせてはいけないのです。


文章にノイズが混ざることに敏感になりましょう。

単語や言い回しは類語辞典を引き、文末は現在形と過去形を適宜混ぜ、音読して同じ音が続くことを避けるのです。

ノイズ(繰り返し)が混ざれば混ざるほど、読者はそちらに気を取られ、物語を楽しめなくなるのだと分かっておくといいですね。


2.バランスが悪い

2つ目の失敗は「バランスが悪い」です。

ここで言うバランスとは、

  • 描写

  • 説明

  • セリフ

の配合のことです。


まずは、それぞれが多くなりすぎるとどうなるか、ざっくりと知っておきましょう。

  • 描写が多すぎると

    • 展開が遅くなる

    • 読者が疲れる

  • 説明が多すぎると

    • 物語の時間が止まる

    • 感情が動かない

  • セリフが多すぎると

    • 軽い印象になる

    • 説明ゼリフになりがち


だいたいにおいて、初心者のころは描写が多くなるはずです。

描写することが小説を書くことだと、なんとなく思っているからでしょうね。


描写が多いと1シーンが長くなるので、展開は必然的に遅くなります。

それで良い場合もありますから一概には言えませんが、話が進まなければ、普通はつまらなくなりますし、読者も疲れます。

どこまで描写すべきかは常に意識する必要があるでしょう。


説明は、描写を圧縮したものだと考えるといいです。

圧縮すれば情報量は増えますが、同時に物語の時間も止まります。
(説明している間は物語は進みません)

読者は物語が展開すること(運動)を楽しむのですから、できるだけ時間を止めずに情報を伝えていかなければなりません。


そこで、セリフで説明するという工夫をする場合もあるでしょうね。

地の文を読まない人もいるので、その方がいいこともありますが、説明ゼリフは常に不自然なものなので多用は禁物です。


つまり、描写、説明、セリフは適宜使い分け、読者にとって快適な読書体験になるよう調整する必要があるということです。


また、ジャンルによって、描写、説明、セリフのバランスは異なることも知っておくといいでしょう。

単純に言うと、以下のような感じでしょうか。

  • 純文学寄り

    • 描写>>>>>>説明>>>セリフ

  • ライトエンタメ寄り

    • セリフ>>>説明>>描写


自分が書いているジャンルの作品を読んで、だいたいのバランスを分かっておくといいですね。


3.想定読者とのズレ

3つ目の失敗は「想定読者とのズレ」です。

上で書いたジャンルとも似ていますが、想定読者によって、どういう文章を書くべきかは違ってきます。


文章の特性は、ざっくりと以下くらいに分解できると思います。

  • 一文の長さ

  • 段落の長さ

  • 改行の量

  • 句読点の量

  • 漢字の難易度

  • 漢字の量

  • 文の構造の難易度

  • 言い回しの難易度

  • レトリックの難易度


これらを調整して、想定する読者に合った文章を書くことを意識するといいでしょう。

例えば想定読者が、本をよく読んでいて、いろんな知識に精通しているようなら、一文は長く、漢字は難しめ、改行は少なく、言い回しは難しめ、などと調整することになります。

それぞれの読者が求めている文章のレベルというものがあるのです。


想定読者が求めている文章と、自分が書いている文章が合わなければ、それは読者にとっては読みにくい文章となり、読み進めてもらうのは難しくなります。

例えば私が書いているのはライトエンタメ作品なので、一文は短めで、漢字はかなり開き、改行は多めに調整しています。

ですが、私がライト文芸やミステリーなどを書くとしたら、もう少し難しめな文章に調整するでしょう。

それらのジャンルの想定読者は、ライトエンタメ作品の読者より、一般的に読書経験が豊富でしょうから、易しすぎる文章では満足しないのです。


かっこいい文章や頭の良さそうな文章を書いても仕方がありません。

その文章が、読者の求めているものと合っているかどうかが重要です。

たまに自分の文章を見直して、「読者とマッチしているか?」と考えてみるといいですね。


今回のまとめ

「小説でよくやりがちな失敗・文章編」でした。

  1. 文章でやりがちな失敗3つ

    1. 繰り返しが多い

    2. バランスが悪い

    3. 想定読者とのズレ

  2. 繰り返しが多い

    1. 繰り返されると違和感が生まれ、また意味がありそうに見える

    2. 繰り返しは読者にとってはただのノイズ

    3. ノイズを極力省いて、物語への没入を妨げない

  3. バランスが悪い

    1. 描写、説明、セリフの最適なバランスがある

    2. バランスが崩れると弊害が起こる

    3. ジャンルによってバランスが異なることを知っておく

  4. 想定読者とのズレ

    1. 読者によって求めている文章のレベルは異なる

    2. 一文の長さや漢字の量などを調整し、読者に合わせる

    3. 読者に合わせれば合わせるほど、読みやすく感じられる

まずは繰り返しを避けることから始めるといいでしょう。

個人的には、読後に、文章は記憶に残らず、物語だけが記憶に残っている状態になるといいかなと考えています。

それではまたくまー。

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