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全力を出さない〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。

今回は「全力を出さない」です。


全力を出すとどうなるか

「何ごとも全力を出さなければ!」と考えている人も多いと思います。

確かに、全力を出すのは良いことです。

本気で臨まないと、なかなか物事を成し遂げることはできません。


私も全力の姿勢は必要だと考えています。

ですが、作品に全力を込めてはいけません。

全力を出して書くと、その作品は気持ちの悪いものになるからです。


気持ちの悪い作品とは

気持ち悪い作品とは、作者の想いが溢れすぎている作品のことです。

そういう作品は、エネルギーが強すぎて、読み進めるのが辛くなります。

簡単に言えば、読むとすごく疲れるのです。


全力で書くと、どうしても文章にエネルギーが宿ってしまいます。

それが悪いわけでもありませんが、読む人を選ぶ作品になるのは間違いないです。

しかも、力を込めれば込めるほど、実のところ、想いは伝わりにくくなります。

感動的な場面で文章に想いを載せすぎてしまうと、かえって読者が白けることがあるのですね。

泣かせたいシーンで、作者自身が泣いてしまう感じです。

作者に先に泣かれると、読者は興ざめして泣けません。


小説を書いている人はみな変人

何度か同じことを書いていますが、小説を書いている人は、普通の人から見れば変人です。

特に10万字を越える長編を書く人は、かなりの変態なのです。


小説を書いている人の多くは、自分が変人だと気づいていません。

変人が書くものは、変なものに決まっています。

変人が変なものを全力で書くとどうなるか、想像がつきますよね。

普通の人から見ると、どうしても気持ちの悪いものになってしまうのです。


手を抜かずに力を抜く

まずは自分が変人だと自覚しましょう。

変人が全力で書いたものは、必ず気持ち悪い作品になります。

ですから、全力で書くのではなく、力を抜くのです。


力を抜くというと「中途半端なものなんて書けない!」と反発する人もいるかもしれませんが、半端なものを書こうと言っているのではありません。

手は抜かなくていいです。

力だけ抜きましょう。

文章の隅々にまで神経を行き渡らせて構いませんが、心のどこかはふわっとさせておくイメージです。

入れ込みすぎず、どこか冷静でいる感じでしょうか。

やや作品から離れると言ってもいいですね。

想いを込めれば作品がよくなるわけではありません。

逆に、想いを込めれば込めるほど、想いは伝わらず、しかも読む人も減るのです。

手を抜かずに力を抜きましょう。

ほんの少し、力を抜くだけで十分です。

「力を抜こう」と思うだけでもいいかもしれませんね。

すると、文章は落ち着きを取り戻し、読者は余裕を持って作者の想いを味わうことができるのです。


今回のまとめ

小説のちょっとしたコツ「全力を出さない」でした。

1.全力を出すと気持ちの悪い作品になる
2.力を込めれば込めるほど、想いは伝わらない
3.小説を書いている人は自分が変人だと自覚する
4.変人が全力を出すと、必ず気持ち悪いものを書く
5.手を抜かずに力を抜く

エネルギーを込めるところと、込めないところを区別するのも重要です。

ここぞという時だけ力を込めると、緩急もついて、読者も疲れずに済みます。

それではまたくまー。


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