担当さんからダメ出しされること3つ
作家になってから数年経ちますが、まだまだ担当さんにダメ出しされることは多いです。
今回はよくダメ出しされる点をいくつかご紹介します。
やや上級者向けの記事になるかもしれません。
ダメ出しされること
よく注意される点には以下のようなものがありますね。
アイデア部門 :そもそも戦えないアイデア
ストーリー部門 :読者の期待に応えていない
キャラクター部門 :何を考えているかはっきりしない
それぞれ簡単に見ていきましょう。
1.アイデア部門:そもそも戦えないアイデア
1つ目はそもそも戦えないアイデアを出している点です。
担当さんと新しい企画を考える場合、だいたいは最初にアイデアを投げて、感触を探ることから始まると思います。
最初に投げるアイデアというのは、
「○○が××して△△する話」
といった程度の2,3行のアイデアのことです。
最初のアイデアがダメだと、その後の企画書づくりに進めません。
作家仲間と話していると、けっこう、この段階でつまずいている方も多いですね。
私もアイデアを出すのが苦手な方なので、アイデアを突き返されて、足踏みしてしまうこともしばしばです。
アイデアが通らない場合は以下を1つずつチェックするといいでしょう。
新しさがあるか? ウリがあるか?
新規性のないアイデアは通らないレーベルカラーに合っているか?
レーベルにそぐわないアイデアは通らない地雷を踏んでいないか?
読者が嫌う要素(地雷)が含まれていると通らない過去に似た作品が売れたことがあるか?
過去に実績がないと通らない
たいていの場合、アイデアが通らないのは、1の新しさがないせいです。
新規性がないアイデアはほぼ通りませんし、通っても、たぶん売れません。
また、過去の作品を調べ、地雷要素(あるジャンルにおいて読者が敬遠する題材)や過去に類似の作品が売れたかどうかなどは確認しておくといいですね。
地雷要素も、売り上げ実績も、半年ほどオリコンなどのデータを追えばわかってくると思います。
何年か同じジャンルで作家をやっていれば、2、3、4をクリアすることは簡単です。
やはりシンプルに1の新規性を出すのが難しいですね。
一番望まれる新規性は、
読者がまだ気づいていない欲望をワードで表現すること
です。
これができれば、もちろん企画も通りますし、おそらくヒットします。
2.ストーリー部門:読者の期待に応えていない
2つ目は読者の期待に応えていない点です。
「読者の期待に応える」というのはふわっとした話ではなく、
読者の期待するシーンを出す
そのシーンを最善の状態で提供する
の2点を満足させることだと考えるといいでしょう。
読者は何かの期待を抱いて本を読んでいます。
たとえば「スカッとしたい」とか「ほっこりしたい」とかそういった感情を味わうために本を読むのですね。
(そもそも小説は「こういう感情を味わえますよ」という部分を前面に押し出して売るものです)
作者の仕事は小説を通して、読者にその感情を味わってもらうことです。
そのために、1「読者の期待するシーンを出す」はもちろんマストです。
たとえば「泣ける恋愛作品」を書くなら(泣ける作品として売り出すなら)、当然ですが、泣けるシーンは必ず出さなければなりません。
そういったシーンがなければ、読者は騙されたと感じるでしょう。
読者は騙されたことを覚えています。
技術がなくて不本意ながらそうなることはありますが、可能な限り、読者を騙してはいけません。
騙したら次はない(次の作品は読んでくれない)、くらいに考えておくといいですね。
また、2「読者が期待するシーンを最善の状態で提供する」ことも、とても重要です。
そのシーンに至る過程を、よくよく吟味する必要があります。
読者に我慢させてフラストレーションを目一杯ためてから、そのシーンを出すのが最善なのか、それとも、そういったもたもたした展開はせずに最短でシーンを出した方がいいのかは、小説のジャンルや期待されるシーンによって異なります。
いずれにせよ、読者の視点に立って考えなければなりません。
たとえば、私が失敗した例としては、
ヒロインがある場所で捕まっていると知る
主人公が助けに行く
その場所にたどり着く前に敵が立ち塞がる
3の敵を倒し、捕まっている場所にたどり着く
そこにいた黒幕とバトル
といった展開において、3でもたもたしすぎた、というのがあります。
私はバトルシーンを書くのが好きなので、どうしても長くなってしまうのですが、この場合、長くなればなるほど、読者には意味のないフラストレーションが溜まることになりました。
そのフラストレーションを経ることで、後の黒幕とのバトルが盛り上がるわけではなかったからです。
(あまり関連性のないバトルでした)
また、どうせ黒幕と戦うことになるのですから、3の敵は瞬殺してさっさと次に進むべきでした。
なぜなら読者は1の時点で、「早く助けに行ってくれ!」と願っているので、それを叶えた方が「主人公超つええ、かっこいい!」と気分を上げて黒幕とのバトルに突入できるからです。
このように、読者にとっての読書体験が最善になるよう、シーンも展開も設計する必要があります。
読者が何を期待していて、それをどう満足させるのが最善か。
そのためにはどう展開させ、シーンはどのように配置すればいいか。
そこまで考えられるようになるのが理想ですね。
3.キャラクター部門:何を考えているかはっきりしない
3つ目はキャラクターが何を考えているかわからない点です。
もちろんキャラクターのセリフや行動でだいたいの考えは伝わるのですが、もっとはっきり伝えた方がいいとよく指摘されます。
キャラの考えがはっきりすると、物語の方向性もはっきりします。
どうすればキャラクターの考えをはっきりさせられるでしょうか?
担当さんおすすめの手軽な方法は、話し合いをさせることです。
たとえば主人公とヒロインに二人きりの時間を与え、そこできちんと話をさせれば、お互いの考えや思い、方針などがすぐに伝わります。
簡単な方法なので、すぐに取り入れることができるでしょう。
私は、早く展開させないと読者が飽きるのではないかと心配しがちで、キャラクターたちが話をするだけの時間をたっぷり取るのは躊躇していました。
ですが、意識的に話し合いの時間を作ってみると、キャラクターの思いがはっきりするだけでなく、読者にとっても一息つく時間になって、一石二鳥だとわかりました。
試しに一度キャラクターが話し合うシーンを入れてみるといいです。
話し合いを書いてみると、作者も把握していなかったキャラクターの本音がわかったりして、物語の方向性が急に明快になることもありますよ。
今回のまとめ
「担当さんからダメ出しされること」でした。
ダメ出しされること3点
アイデア:そもそも戦えないアイデアを出す
ストーリー:読者の期待に応えていない
キャラクター:何を考えているかはっきりしない
そもそも戦えないアイデア
新しさがなければほぼ通らない
過去作を調べ、引っかかりがちなところは潰しておく
読者の期待に応えていない
読者が期待しているシーンを出す
読者が何を期待しているか、あるいは、何を期待するように作品を打ち出すか把握しておくそのシーンを最善の形で提供する
読者の期待を最も叶える形で展開を設計する
何を考えているかはっきりしない
簡単なのは話し合いをさせること
物語上で時間を作り、話すだけのシーンを入れてみる
今回はちょっと難しい話になってしまいました。
上級者か新人作家さん向けの記事になったかもしれません。
それではまたくまー。
(2023.10.24追記)
やったー!
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