主人公より敵を考えよう〜小説のちょっとしたコツ
崖っぷち作家のニジマルカです。
小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。
今回は「主人公より敵を考えよう」です。
敵を出そう
エンタメ小説では敵がいる方がわかりやすいですし、話も盛り上がります。
もし敵のいない小説を書いているなら、なにかしら主人公を邪魔する存在を出した方がいいです。
単純に言うと、敵とは、主人公の動機と正反対の動機を持つ人物のことです。
正反対の動機を持つので、必ず衝突するのですね。
人物と書いたのは、目に見える存在にした方がいいからです。
目に見えない敵というのは、たとえば「実力主義の弊害」とか「SNSの同調圧力」とか「思考停止する大衆」とか、そういったものです。
そういう見えない敵と戦うのはそもそも難しく、読者にとってもよくわからないものになりがちです。
「見えない敵」を相手にしたいなら、それを象徴する人物を出すといいでしょう。
たとえば「SNSの同調圧力」を敵にしたいなら、それを仕掛けている人物とか煽っている人物を敵として出すということです。
エンタメ小説を書いているなら、まずは自分の作品に明確な「敵」がいるか確認してみるといいですね。
敵がはっきりすると、物語も鮮やかになります。
敵は適当に設定しがち
作品に敵を出すのはいい考えです。
ですが、たいていの場合、敵はかなり適当に設定してしまいがちです。
作者はやはり主人公を書きたいので、どうしても主人公サイドの設定ばかりが厚くなるのですね。
すると、敵はだいたい古典的な悪者になるか、ただのバカになるか、支離滅裂な人になってしまいます。
古典的な悪者というのは、世界征服とかそういった野望を持っている人物のことです。
すぐに「世界を征服してどうするの?」「どういう状態を征服というの?」といったツッコミが入ることでしょう。
いまさら単純な悪者を書くのは、なかなか難しいです。
ただのバカというのは、主人公の邪魔をするためだけに出てくる人物です。
また、物語の都合で突然バカになることもあります。
今までかなり用意周到だったのに、いざというときになると信じられないようなヘマをしたり、急に頭が悪くなるのですね。
「そうはならんやろ」「今までの行動は何だったの?」といったツッコミが入ります。
支離滅裂な人は、行動原理がないまま、主人公の邪魔をする人物です。
いろいろな場面で黒幕的な行動を取り、主人公を陰から邪魔したりするのですが、それらの行動に一貫性がなく、いきあたりばったりで動いているように見えます。
「この人いろんなところに出てくるけど、何のために動いてるの?」「もっと効率よく動けるでしょ?」「なんで主人公を生かしてるの?」といったツッコミが入ったりします。
敵のことをもっと考えよう
主人公はどうせ詳しく設定することになるので、むしろ敵のことをもっと考えた方がいいです。
自分が敵ならどうするか考えてみましょう。
そもそも、なぜ主人公が邪魔なのか。
主人公を排除するには、どういう方法があるか。
効率的に計画を進めるには、どうすればいか。
当たり前ですが、少なくとも、敵の動機とその理由ははっきりさせておきましょう。
動機:〜したい
理由:なぜなら〜
敵だけではないですが、これらがはっきりしないまま書いてしまうと、言動に理屈が通らなくなるので、だいたいは後で書き直すことになります。
作業効率も悪くなるので、最低限、動機と理由ははっきりと決めた方がいいです。
敵もいろいろ考えて行動しています。
敵が突然バカになったり、支離滅裂な行動をしないためにも、敵にもっと意識を向けてみましょう。
むしろ敵から考えるくらいでちょうどいいのかもしれませんね。
今回のまとめ
小説のちょっとしたコツ「主人公より敵を考えよう」でした。
1.敵がいないなら明確な敵を出す
2.敵とは主人公と反対の動機を持つ人物
3.見えない敵の場合は代表となる人物を出す
4.敵は適当に設定しがち
5.主人公よりもむしろ敵のことを考える
自分もついつい敵を適当に行動させてしまって、担当さんにツッコまれています。
あとで辻褄を合わせるのは大変なので、当たり前ですが、最初からちゃんと考えておいた方がいいです。
それではまたくまー。