短編の鋭いオチをつくるには 【基礎編】
先日、久しぶりに短編を書いたのですが、やはり最後のオチで全体的なクオリティが決まってしまうなと感じました。
鋭いオチが必要ない話もありますが、オチをつくる方法は知っておいて損はないでしょう。
今回はオチをつくる基本的な考え方をご紹介します。
オチとは何か
本題に入る前に、まずオチとは何か知っておきましょう。
オチることで話は終わるので、話が終わるには何が必要か考えれば、それがオチの正体になります。
話が終わるのに必要なものはなんでしょうか?
ごく単純に言えば、以下の2つが必要です。
「え!」という驚き
「なるほど!」という納得
読者は話の最後で「え!」と驚き、「なるほど!」と納得したいのです。
逆に言うと、この2つが起こることで、読者は安心して「話が終わったな」と感じることができます。
ですからオチとは、
オチ = 驚き + 納得
だと理解しておけばいいでしょう。
驚きと納得は両方必要
さて、驚きと納得についてもう少し深掘りしておきます。
まず、この2つは両方必要で、片方だけではオチとして機能せず、話ははっきりしない終わり方になります。
片方ずつ考えてみましょう。
たとえば「驚き」単体を起こすことは簡単です。
恋愛話だと思っていたのに、告白の場面で巨大隕石が降ってきて人類が滅亡すれば、きっと読者は驚くでしょう。
ですが、これはただ驚くだけで、読者としては「なんだこれ……」と落胆したり、場合によっては怒りだしてしまうかもしれません。
同じように「納得」単体もすぐに起こすことができます。
納得とは理屈が通ったときの腑に落ちる感覚ですから、因果関係(原因と結果の関係)にはすべて納得感が伴います。
ですが、ただ因果関係を見せられても、読者は「……それで?」という反応しかできません。
あるいは「えっと……これで終わり?」となるのも想像できますね。
このように、驚きも納得も片方だけではオチになりません。
両方使わなければ、話は適切に終わらないのです。
驚きと納得が起こるとき
さて、驚きと納得は両方起こさない限り、オチにはならない(=話が終わらない)ことが分かったと思います。
では次に、驚きと納得がどういう時に起こるかを確認しておきましょう。
以下のようになります。
驚き = 隠されていたものが露わになったとき
納得 = 理屈が通ったとき
図にするとわかりやすいでしょう。
驚きとは、見えていなかったものや隠れていたものが、急に目の前に現れたときに起こる身体的反応です。
また、納得とは、主に物事の因果関係(原因と結果)が連鎖的に成立したときに起こる腑に落ちた感覚です。
さて、以上のことが分かれば、オチを作り出す方法も簡単に分かるはずです。
オチとは驚き+納得でしたね。
ですから、その2つを同時に成立させればいいだけです。
つまりこうなります。
隠しておいた理屈を最後に明らかにする
理屈を隠し、最後に示す
理屈を隠しておいて最後に示せば、驚きと納得が同時に起こります。
隠されていたものが露わになることで → 驚きが起こり
理屈が明らかになることで → 納得が起こる
難しいと感じるかもしれませんが、いわゆる伏線回収も、驚き+納得で構成されています。
伏線 = 隠された理屈につながるヒント
伏線回収 = ヒントから、隠された理屈が明らかになる
例で示しておきましょう。
たとえばこんな感じです。
「逆鱗が弱点」というのが隠されていた理屈ですね。
その理屈が最後に明らかになることで、読者に驚きとともに納得が起こり、話は適切に終わるのです。
さて、ここまでで、オチを作るための基本的な考え方は理解できたと思います。
ですが、オチを作るだけでは足りません。
鋭いオチを作るのが目的だからです。
次回は例を示しながら、「オチの鋭さ」をどう作るかを考えていきましょう。
今回のまとめ
「短編の鋭いオチをつくるには・基礎編」でした。
オチとは驚き+納得
驚き = 「え!?」
納得 = 「なるほど!」
驚きと納得は両方必要
どちらか一つ起こしてもオチにはならない驚きと納得が起こるとき
驚き:隠されていたものが露わになったとき
納得:因果関係が成立したとき
驚き+納得を作るには
理屈を隠しておいて最後に明らかにする
伏線を回収することと同じ
「どうも話がうまく終わらないな……」と思っている方は、この驚き+納得を意識すると、かなり満足いく終わり方になると思います。
次回はオチの例も示しながら、オチに「鋭さ」を加える方法を見ていく予定です。
ところで、創作に関するお悩み、ご質問などをゆるゆると募集しています。
記事で回答するなどしますので、お気軽にメールなどでお知らせくださいね。
それではまたくまー。
(2024.1.29追記)
わーい。