文末の処理〜小説のちょっとしたコツ
崖っぷち作家のニジマルカです。
小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。
今回は「文末の処理」です。
文末のバリエーションは少ない
日本語は文末に動詞が来ることが一般的なので、文末のバリエーションは少ないです。
小説の地の文で使える文末は、おおまかに言うと2種類しかありません。
1.〜するの現在形
2.〜したの過去形
またほとんどの場合、「ですます」調ではなく、「である」調になるはずです。
「ですます」調の地の文もあり得ますが、少し特殊な印象を与えると思います。
(誰かの語りのように感じられます)
いずれにせよ、文末のバリエーションは極端に少ないので、気をつけるのは同じ文末表現を続けすぎないようにすることです。
文末をバラけさせる
小説を書いている方はおわかりのとおり、ずっと同じ文末だと韻を踏んだようになっておかしな印象を与えます。
私はコップを手に取った。蛇口をひねった。コップに水を入れた。それから私は歯を磨いた。
〜した。〜した。〜した。と過去形が並んでいるのもありますが、単文が並ぶのも変な感じになります。
適宜、現在形を混ぜたり、この場合なら重文にするなどして表現をバラけさせると自然になります。
私はコップを手に取った。蛇口をひねり、水を入れる。それから私は歯を磨き始めた。
体言止め
〜するの現在形、〜したの過去形の他には体言止めがあります。
文末を名詞で終えるのが体言止めです。
そこには見上げるような大きな女がいた。彼女の名はハナコ。このクラブの女用心棒である。
過去形、体言止め、現在形で文末を処理しました。
体言止めは印象が強くなるので、あまり多用するとおかしくなります。
ほどほどにした方がいいでしょう。
どのくらい使うかは、ジャンルや物語の雰囲気にもよります。
印象ではリアル寄りの話ではあまり使わず、作り物っぽいエンタメ話ではわりと使っていい感じでしょう。
繰り返さない
文末表現に限らずですが、文章における基本的な考え方の1つは「繰り返さない」ことです。
同じ表現が続くと、読者は違和感を覚えます。
意図どおりならいいかもしれませんが、何の意図もないなら繰り返しは避けましょう。
繰り返すと不要な意味が生まれると考えてもいいですね。
私たちは繰り返されるものに何か意味があると思ってしまうものです。
ですが、繰り返しによって生じる意味は、話の内容とは関係ないただのノイズです。
そういったノイズは極力出さない方がいいでしょう。
そのためには、文章にある種のランダム性を取り入れる必要があります。
ランダムとはでたらめのことです。
つまり、文末表現をバラけさせたり、同じ音の単語を連続して使わないなどの工夫は、繰り返しを避け、文章を自然に感じさせるためにしていることなのです。
おかしい文章に気づくには
文章がおかしくないかどうか気づくには、音読するのが一番です。
というより、音読は必ずやるべき作業です。
音読していないならすぐにやった方がいいでしょう。
文章を書く人の常識です。
音読して引っかかるところを直すだけで、文章は格段に上手くなります。
今回のまとめ
「文末の処理」という話でした。
1.地の文の文末はほぼ「する」の現在形か「した」の過去形しかない
2.体言止めもあるが多用は禁物
3.繰り返さないのが文章の基本の一つ
4.必ず音読する
文章を書いている人は文末をかなり気にするものですが、実は読者はそれほど気にしていません。
ですからほどほどにバラけさせればそれでいいとも言えますね。
それではまたくまー。