春の雪景色;岩木山
そういえば、
3月の半ばに、春の雪山に登ってきた。
連れて行ってくださったのは西目屋村のエコツアー社、マタギ舎の方だ。去年からたくさんお世話になっている上に、その時にはプライベートのお散歩に誘ってくださった。
めっっっっっちゃ楽しかった。
何が?ではない。山が、だ。
とにかく積雪の上を歩くこと、雪質による浮き沈み、
当日の快晴と、積雪とかぶる雲の白さと、冬名残の冷たい空気。
芽吹こうとしている木々の若芽、小鳥の群れ、
雪の上のたくさんの足跡。
生物が生きていることの痕跡だらけ。
私のように、「野生動物が生きているという事実だけで幸せ」という人は、雪上の動物の足跡トレッキングがとてもおすすめ。
本格的なトラッキング(追跡)はしなくていい、そこまで追わなくとも、森のそこら中に野生動物の痕跡は残っている。
さて、これは何の足跡か?
実はこの時教わって、私も初めて知った。
ニホンリスの足跡だ。
(『くらべてわかる哺乳類』山と渓谷社)
この子は実は、北海道にいるエゾリスと遺伝的に異なる、本州以南の固有種だ。
この足跡が、とても可愛い。
この長靴は、24cmの大きさだ。
体の大きさがどのくらいかを想像してもらえると思う。
ササッと走り、たまに立ち止まり、
周囲を見渡すか考え事をするかして、
体長の何倍にもなる距離を跳び跳ねて移動する。
木の根もとで一旦止まって、勢いをつけて、
シャシャッと木に登っていく。
リスという生物は、
自分が冬眠に入る前に、秋のどんぐりを地中に埋めておく習性を持つ。冬眠空け、春が芽吹く前の備蓄食糧のようなものだ。必要な時はそれを掘り返すが、どこに埋めたかをすべて覚えている訳でもないという。
リスに地中埋められ、そのままにされたどんぐりは、
環境条件が良ければ発芽し、大きくなり、新しいどんぐりを提供する。
リスの行う貯蓄活動は、自分の生きる森を豊かにする。
森林生態系の、重要な要素をこなしているキーパーソンだ。
そんな彼らが今、生きている。
人間と比べて短い寿命を、そうとは知らず、一生懸命生きている。この必死さを見習いたい。そして愛らしいと思って欲しい。
サバイバルの中に生きているからこその尊さを、
その痕跡から感じて欲しい。
それが、野生動物の痕跡を見つけることの、醍醐味だ。
2021.3.27