【支援事例】 パーキンソン病50代女性「気軽に何度も話しかけれるので喋り相手になり、発話の練習にもなりました」
今回取材したのは、新潟県に在住のパーキンソン病を患うAさん(50代女性)。
Aさんは、理学療法士として働いている娘さんを通じて、スマートスピーカーとスマートリモコンの無料貸出の支援を受けることになりました。
支援前は、機器が自分にとって役立つのか疑問を感じていたものの、実際に使い始めてみると、声で照明を点ける操作により暗い場所でリモコンを探す手間が省け、安全性が向上し、特に便利だと感じたそうです。
この記事を通じて、詳しくご紹介していきます。
概要
支援者情報
支援当時の身体状況
支援内容
機器利用中の生活の変化
支援終了後
取材内容
支援を受けることになったきっかけ
ー まずは、スマートスピーカーやスマートリモコンといった身近なICT機器を、約1ヶ月間無料で活用いただく今回の支援を受けた経緯について教えて下さい。
Aさん:
理学療法士をしている娘からこの支援のことを教えてもらったことがきっかけです。新聞かチラシかなんかで見たんだと思います。保健所の人に聞いたら、すぐに機器を持ってきてくれて、それで使い始めました。
ー 元々こうした機器の存在は知っていましたか?
Aさん:
いや、全く知りませんでした。最初はどういう風に使うんだろうっていう風に思いました。私が使ってもいいのかなっていうのがありました。
ー どうしてそのように思われたのですか?
Aさん:
自分には役に立たないかもしれないと思ったからです。あまりテレビも見てないし、照明を点けることくらいしか使い道がなかったから。私が借りてもいいかなって思いました。
ー 使用用途が合わないんじゃないか、と。
Aさん:
そうですね。今は自分で歩けるから、もっと動けないで困ってる人がいるなら、そういう人たちに教えてあげた方がいいんじゃないかなと思いました。
ただ、設定や設置を含めて、無料で1ヶ月間ほど貸していただけるとのことだったので、とりあえず試してみることにしました。
使用していた機器の機能と使用感
ー 無料貸出期間中に使用していた主な機能は何ですか?
Aさん:
ラジオとか占いとか、あとは音楽を聴いていました。それと、照明、テレビ、エアコンを音声で操作していました。特に照明の操作は一番使っていました。
また、自分の滑舌があまり良くない時に話しかけると、「すいません。わかりません。」って言ってくれるのが面白かったです。子供に同じことばかり聞くと怒られるんですが、スマートスピーカーだと怒らないので。気軽に何度も話しかけれるから、それがある意味リハビリになるっていうか、発話の練習にもなりました。
家族からの反応と生活の質の変化
ー 機器の無料貸出期間中、ご家族からの反応はどうでしたか?
Aさん:
声で照明のON/OFFができるようになったのが一番良かったと言ってました。
今までは夕方とかは真っ暗で、リモコンを探すのが大変でした。ただ、スマートスピーカーとスマートリモコンを利用し始めてからは、わざわざリモコンを探さなくても声で操作できるので、危なくないし、それが良かったんだと思います。
ー 機器を導入してみて、生活の質が上がったと感じましたか?
Aさん:
そうですね。楽しかったです。喋り相手が増えたり、暗い中でリモコンを探さなくてよくなったり、音楽も聞けましたし。
ー 使ってみて良かったなと思いましたか?
Aさん:
はい、良かったです。家電を声で動かせる機器があると知れて、実際に試すことができたので、生活する上で安心感が増しました。
購入に至らなかった理由
ー 無料貸出期間が終了した後、機器を継続して使わない判断されました。理由は何ですか?
Aさん:
まだ動けるから、今はいらないかなって。でも、便利だなとは思いました。
ー 将来的には使う可能性はあるかもしれないけど、今はまだ必要ない、と。
Aさん:
そうですね。今から使うのは早いかなと思いました。声の操作に慣れてしまうと、体を動かせるのにサボってるみたいに思うのも嫌だなっていう感じもありましたし。
ずっと寝てばっかりいるのも嫌だから、動けるうちはリハビリみたいなイメージで少しでも動こうと思って。
動きにくいときは、理学療法士の娘に「ちょっと手伝って」って言ったりしますが、娘はすぐ「リハビリだよ」って言うんです。それを言われると返す言葉がないんですよ。
ー なるほど。
Aさん:
無理やりでも動かした方がいいって。動かなくなるとダメだからって。でも、いざとなったらあの機器があるからと、安心材料として頭の片隅に入れておくことができたので、今回支援を受けて本当に良かったです。
※以前支援させていただいた、脊髄小脳変性症の妻と暮らす70代の男性の方も、同じようなことを仰っていました
難病患者やそのご家族へのメッセージ
ー 最後に、Aさんと同じような難病を患う方々やそのご家族に向けてメッセージはありますか?
Aさん:
とにかく、使えるものは今のうちから全部使えるようにした方がいいと思います。特にこの支援は最初にいろんな使い方を教えてもらえますし、わからないことはすぐに聞ける環境もあるので。
ー ありがとうございます。取材は以上になります。
お問い合わせ
私は現在、難病患者様の身体状況や生活環境に合わせて、身近なICT機器を一定期間無料で貸し出し、難病患者様の生活の質の向上と専門機器移行への準備を進め、ご家族の負担を軽減することを目標に、日々活動しています。
この支援に関するご質問や疑問点、支援依頼等ございましたら、こちらからご連絡ください。
また、地域の力で難病患者を支えるこの活動を継続するために、機器提供やサービス提供等でご協力いただける企業様・団体様からのお問い合わせもこちらからお待ちしております。
いただいたサポートは、新潟県地域おこし協力隊の任期後も難病支援を続けるための『活動資金』として活用させていただきます。