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#60 あの歌とドラマで覚えた日本語【大学院研究生・胡佳鈺さん・中国】2/2

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https://stand.fm/episodes/6677f350cf96493d05744f13

みなさん、こんにちは。『うれしい たのしい 日本語 さいちゃんねる』日本語教師の さいとう あきひと です。この番組は日本語を勉強している人と日本に関わるすべての人にお送りしています。
はい。今回、後半になりますが、前半に引き続いて、今、北海道大学の情報基盤(きばん)センター メディア研究室の研究生で、教育工学を研究しています、胡 佳鈺(コ カギョク)さんに来ていただきました。胡さん、こんにちは。
はい、こんにちは。
前半から引き続き、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ありがとうございます。胡さん、前半のほうでは研究のこと、あと北海道の新生活のことを教えてくれてありがとうございました。
はい。
後半のほうでは、ちょっと時間を戻して、胡さんがどうやって日本語を勉強してきたかっていうことにちょっと深く聞いていきたいなと 思っています。はい。

胡さんが日本に来たのが2023年の1月ですけど、本当はもっと早く来ようと思ってたんですよね?
はい。もとは大学卒業の後、2020年の7月ぐらいに日本へ進学する予定ですけど、やっぱりコロナの影響でなかなかうまくできなかった。
なかなか日本に入れない時間がね、続いてましたもんね。
はい。
そして日本に来る前に、胡さんと私、オンラインで話したの覚えてます?
はい。
そう、あの時…
たぶん私一人だけ。
そうそうそう、だったと思います。
最初は面接のことを聞いたときは、すごく緊張して、面接…
あ、面接って言われたんですか?
はい面接で。私、スーツをちゃんと買った。
胡さん、あの時スーツ着てました?
はい。
あんまり見えてなかった。
はい、ちょっと頭だけの…ぐらいで。
あ、そうですよね。そういうところが胡さんのいいところ。ちゃんとやる、っていう、そういう。あ、そうだったんですね。そうだったんですねって、面接をしたのは私でしたけど。
学校の先生以外、初めて日本人と話すの、この時は。本当に。
そうでしたか。
はい。
こんな私みたいな人で、すいませんでした。
いえいえいえ、さいとう先生が私、よかったです。
あ、本当ですか。
面接の時は。
なんかね 本当、私もびっくりしました。すごく上手な学生 さんだなと思って。
いえいえいえ。
本当に。

で、あの、胡さんが日本語を勉強しようと 思ったきっかけ、どうしてですか?
理由というか最初は まあ、皆さんと同じ感じで、アニメに 興味があるので、私、特に、宮崎(みやざき)駿(はやお)監督(かんとく)の 『千と千尋(ちひろ)』という映画がとても好きで、この 映画の歌を歌えるようになりたいと思い日本語を勉強しようと思い始めました。
あ、そうだったんですね。『千と千尋(ちひろ)の神隠(かみかく)し』?
はい。
あのアニメですか。
はい。
あの歌を歌える ようになりたかったんですか?
はい。
あ、『いつも何度でも』
何度でも、はい。
♪呼んでいる~ ってやつですね。
♪胸のどこか奥で~
へえ。あれを日本語で歌えるようになりたいな、っていうのが日本語に興味を持ったきっかけ。
はい。でもあの時は日本語の塾に通ったわけでもなく、ただ、どうやって…歌えるように、勉強しました。50音ぐらいの、はい、まだ文法などはあの時は全くわからないで。
それ、じゃ、自分で勉強したっていうこと?
はい。
最初。
はい。インターネットで いろいろ日本語の初級者向けの動画を 見つけて、自分で勉強した感じで。はい。
そうですか。じゃ、もちろんその時は「あいうえお」からってこと?そこから スタート?
はい、そうです。
その『千と千尋』の時は 「あいうえお」だったんですね、胡さん。
あ、はい。
それ、何年前ですか?
私、中学生の時 、はい。
じゃ、日本語に興味を持ったのが中学生の時っていうこと?
はい、はい。
そうですか。
本当に少しだけ「歌えるように」の勉強をしました。
ああ、じゃ、「この文字は何て読むのかな?」みたいな。
はい、その感じで。
この意味は何かな?とか?
意味はあまり…
意味はあまり考えてない? おもしろいな。

もっと正式に勉強したことは、やっぱり大学の時。はい。大学の時は私の大学の指導(しどう)の先生は、たぶん15年、20年前のことなんですけど、先生は日本で教育工学のことを やって、私、話すときは、私もともと日本語 に興味があるので、先生に、じゃ、大学卒業の後、日本へ留学することをすすめられました。いろいろな情報を調べて、留学のことを決めた後は、正式に日本語の塾に通って、日本語を勉強し始めます。 そういう感じ。
そこからだったんですね。 じゃ、きちんと勉強を始めたのはその時から?
はい。大学4年生の時。
あ、へえ。じゃ、本当に最近だね、始めたの。
はい、そうです。
言ったら最近でしょ?まあまあ。 日本に来た時にはもう上手になってたよ。
いえいえいえ。中国での勉強は本当に試験のための勉強なんですけど、あんまり話す機会がない。全然。
そうですか。
はい。
でも初めてオンラインで話した時、会話上手だったよ。 それは私、一生懸命練習したので。
そうだったんですね。 そうですか。中国にいる時は会話の勉強っていうのは特にしてないんですか??
はい、してないです。
聞いたりはしてたのかな??
はい、これは自分で。
どういうものを聞いてたんですか?
新聞とか、毎朝のたぶん15分くらいで。
ニュース?
はい、ニュースで。
それを聞いて、わかるぐらいにはなっていたんだよね、じゃ。
それは正直言うと、わからない部分があります。 あの時は本当に日本語が慣れているために聞く、と。
日本語の音とか、言葉に慣れていくために聞いてたんだ。
はい。 聞いてると、わかってくるんですか??
中国では全然分からない、今はだいだいわかりましたけど、 普段あまり聞かなかった言葉が出てくる時は「これは何ですか?」
で、それを調べたりとか?
はい。
そうなんですか。

じゃ、その大学で「日本に留学して、日本語をちゃんと勉強しよう」って思うまで、『 千と千尋』に出会った中学生の時から、大学に入るまでは特に日本語については何も勉強してなかったってこと?
はい、していなかった。 ただ好きな日本語の歌を歌えるように、はい、このぐらいで。
じゃ、それまでのその間は日本のアニメを見たりとか?
高校生の時はアニメがあまり見たことがない。ドラマのほうがちょっと。
日本のドラマですか?
はい、日本のドラマで。
ああ。それで、こう自然に日本語を見たり聞いたりしてた?、っていう。
はい。
でも、やっぱりそうだよね。じゃ、何も日本語とか日本についてしないで、大学で、じゃなくて。
はい。
ずっと何か興味は、ずっと続いてたっていうことですよね?。
はい、そうです。

好きなドラマあるんですか? 胡さんが。
あります。
何ですか?
いちばん好きなのは、あの、『ひしぜん…しぼう』? 
ん?
先生、聞いたことが…
ひ?しぼう?
しぼう。しぜん。
しぜん?日本語のタイトルと違うのかな? 漢字ですか?
漢字が、あの、最初は、「ひ」。あの、「ひ」は…
何の「ひ」?
「非常」の「非」。
「非常」の「非」?
はい。
で?
「非常」の「非」。自然。
自然?「ネイチャー(nature)」の自然?
はい、はい。自然。
え? なになに、これ? 非自然?
しぼう。
死ぬ?
死ぬ。 とても有名なドラマだと思っています。
あ、なんか出てきたぞ。あ、『アンナチュラル』だ。
あ、やっぱり名前がちょっと違う。
これ、中国語でこんな…確かに『アンナチュラル(unnatural)』だから「非自然」だよね。
はい。
で、「死亡」っていうのは付いてないんだけど、日本語のタイトルに。 あ、これ、でも、中国の学生で好きって言ってる学生多い。
はい。
あの、米津玄師(よねづけんし)の『Lemon』が主題歌だったよね。
はい、そうです。
あれもね、すごい中国で…
はい、みんなも好きです。
…みんな知ってるって言ってた。 あ、本当だ。出てきた。ウィキペディアに。 『非自然死亡』。
はい。
これ、中国語の発音だとなんて言うんですか??
『非自然死亡』。
ああ、日本語のタイトルは『アンナチュラル』。
アンナチュラル。
おもしろい。確かに言われてみると、すごいわかりやすいタイトル、意味が。 そうです。 あ、そうなんだ。いいドラマですよね、これ。
はい。ドラマの中で会話みたいな感じがよくありますけど、 話すスピードがちょっとゆっくりで、ちゃんと説明してくれる。 日本語を勉強している人がめっちゃいい勉強のドラマだなって思っています。
そうなんですね。 けっこう、なんか専門用語とかもあって難しそうだけど。
はい。
でも、いいんだ。
はい。 はっきりしゃべってる?
はい。はっきり。
ドラマの人たちが。
はい。あまり話すスピードが速くなかった。
あ、そうですか。
はい。
へえ、そうなんだね。ね、石原(いしはら)さとみさんですよね、これ。
はい。
主演。この『アンナチュラル』の人たちが出る映画が今度あるって言ってましたよ。
はい。
知ってる?胡さん。
はい。知っています。
あの、タイトルは名前は変わるけど、『アンナチュラル』と『MIU404』ってわかる?胡さん。
はい、わかります。
この、同じ脚本家(きゃくほんか)の野木(のぎ)さんが書いてた『MIU404』っていう、これ刑事(けいじ)、警察の話ですけど。
はい。
その人たちと『アンナチュラル』の人たちと今度その映画の人たちが、こう、3つの話が合わさって新しい物語ができる。あれもおもしろそうですけど。 そうですか。

じゃ、胡さんがね、ちょっと話を日本語の勉強のほうに戻して、今まで日本語の勉強をやってきて「この方法良かったな」って思うのありますか?
あります。
例えば?
英語でshadowing。
あ、シャドーイング。
シャドーイング。
日本語だと、カタカナですね。シャドーイング。 ああ。
この方法がめっちゃ良いと思います。 話す時の練習が。ニュースの人と同じ話のスピードで聞きながら自分が話す。これがめっちゃ良い練習だと思っています。
胡さん、やってたんですか、自分で。
はい。
日本語学校の時?
はい。日本語学校の時。朝、ご飯を作る時はちょっと一回聞きながら、自分でちょっと色々な単語と文法を整理して、あとはシャドーイングみたいな感じでやって。
へえ。胡さんが聞いてたものは何なんですか?ニュース?
んー、一番多いのはニュースで。NHKのニュース。
あ、それは、えーと、聞いてるっていうのは音だけ??
はい。インターネットのニュース。文字が時々ありますけど、翻訳みたいな感じ。日本語の文字でついている。聞き(ながら)と見ながら、自分がちょっと練習して。
それ、NHKの普通の日本語のニュースですか?
はい。朝の、たぶん15分くらいのニュースで。天気予報とか、スポーツの情報とか。
はい、はい。じゃ、本当のニュース番組だ。
はい。
へえ、すごい。そうなんですね。やっぱりレベルに合わせて自分がいいなと思うものをシャドーイングすると、すごい良いですよね。
はい。もちろん自分が今勉強しているテキストの中の文をその方法に使ってもいいと思います。
はい、はい。ね、なんか自分が興味がある好きなものを聞くっていうのもいいっていう人もいるので。 胡さんにとってはそれが、ニュースが合ってたっていうことですね。 へえ、すごいな。じゃ、胡さんは毎日、朝のその時間にシャドーイングをやっていたっていうことですね。
はい、そうです。
今も続けてるんですか?
今は…
忙しくなっちゃった?
週3回くらいかな。
ああ、でもそれでもまだ。へえ、あ、そうですか。
今ちょっと忙しくて、あんまり毎日じゃなくて。
うん、うん。でも、やれるときは続けてるってことなんだ。
はい。
では、ぜひぜひ皆さんも日本語を勉強している方はシャドーイング、やってみてください。 はい、ありがとうございます。

じゃあね、胡さん、お話を聞いていると、面白くてあっという間に時間がたってしまうんですけど。 まだまだ聞きたいところではあると思うんですが。じゃ、あの、 後半の最後にゲストの方に聞いている、これ、質問なんですけれども。 胡さんの好きな日本語とか、大切にしている日本語とか、何か教えてください。
はい。
はい。
私、好きな日本語といえば『日々是好日(ひびこれこうじつ)』です。
日々是好日。
はい。 意味が「毎日が良い日」と。
毎日が良い日になる。良い日だ、という意味。
はい。
どうしてこの言葉を選んだんですか?
まあ、それ、私、本当に個人的な理解では、この言葉の中で三つの「日」の漢字があります。 その三つの「日」が日本語での発音が全て異(こと)なるため、これが毎日が特別な日であり、自分が何か迷ったり、ストレスを感じたりした時に自分を励(はげ)ますので、とても良い言葉だと思っています。
へえ、なんか胡さんらしい理由と言葉の選び方だなと思ったんですけど、この三つの読み方が違うっていうのはその「ひ」。
はい。
「ひ」と「び」とってこと。?
はい。 最後は「じつ」で。
じつ。
はい。
なるほど。同じ漢字だけど同じ読み方はないっていう。
はい。
同じような毎日だけど同じ日はない。
はい。
そして良い日になるだろうと。
はい。
素敵です。
はい。
これ、あの、読み方がね、私たち、この録音する前にちょっと調べちゃったりとかしたんですけど、今、胡さんが教えてくれたのが「ひびこれこうじつ」っていう読み方で。
はい。
他にもあったんですよね、これ。
はい。
「にちにちこれこうにち」とか。
はい。
「にちにちこれこうじつ」とか。
はい。
もともとは仏教(ぶっきょう)で使われる言葉で、ね。いろいろな読み方が今はあるっていうことですけど。
はい。
それもなんかね、同じ日はないっていう。
はい。
読み方もいろいろ。私たちの生活もいろいろ。
はい。
えー、そうですか。じゃ、胡さんは今の新しい生活も同じ日はないと感じますか?
はい。
毎日新しいことをやって、毎日が新しい日です。
特に環境が変わったし、場所も変わってやることも変わって。
はい。
それは毎日違いますよね。
はい。
でも、どうですか? 楽しいですか?毎日。
んー、楽しいです。
んー、楽しい。
ちょっと忙しすぎて。でも楽しいです。
そっかそっか。ね、そうですよね。忙しいよね。 そんな忙しい中、この番組にゲストとして来てくれて、ありがとうございました。
私も、ありがとうございます。うれしいです。
こちらこそ。

今、胡さんと私が話した言葉は『note』というウェブサイトに日本語で文字で書いていますので、 日本語を勉強している人は、ぜひそちらも見ながらもう一度聞いてみてください。 そして私のこの番組のインスタグラムでは、この番組の紹介をしていますので、 ぜひそちらも合わせて見てみてください。

では前半と後半、胡さん、本当にいろんなお話ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございます。
ぜひまた来てくださいね。
はい。
修士のことを今度は教えてくださいね。
はい。
じゃ、皆さんに、うれしい・たのしいことがたくさんありますように願っています。 じゃ、皆さんも聞いてくれて、ありがとうございました。
ありがとうございました。
じゃ、皆さん、さようなら。
さようなら。
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