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「刺さる」ESとはー日本語表現から考える
東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。
複数の大学で、日本語教育、キャリア支援、日本人のアカデミックライティングなども担当しています。
「刺さるジコピー」「刺さるガクチカ」…
どうやったら刺さるのか。
学生時代に起業しました、という人はほんの一握りであって、多くの学生にとって、やっていることなど、そう違うものではありません。
部活、バイト、そして勉強?
似たり寄ったりの中で、どうやって光ることができるのか。
もちろん、似たような経験の中から取り出した、あなたが得たものによって、人事の心を掴むこともあるかもしれません。
けれども、得たものとは、結局のところ社会人基礎力の周辺になりやすいですね。
そうすると、あとは、表現かなあと思うのです。
例えば、看護師さんが「患者さんに寄り添う」と書く。
誰でも「患者さんに寄り添う」と書くのです。おそらくその同じ言葉で。
その時に、単に「寄り添う」と書かずに、ひとりひとりの背景やこれまでの経験に思いをいたす、それぞれに価値観があることについて言及してみる。
そうすることで生きた言葉になります。
「協力してもらった」とあっさり書かずに、「苦境を知ってもらうことで、先輩たちの協力を得ることができた」などと書いてみる。
「苦境を知ってもらう」のは、あなたの努力や工夫であり、コミュニケーション能力です。
「協力を得ることができた」とは、周囲を巻き込む力です。
ありきたりの言葉で片付けないで、自分の経験に沿ったあなただけの表現を見つけましょう。
ありきたりでは、選ばれないのです。
みんなと同じでは選ばれないのです。
発想が月並みだったら、選ばれないのです。
少しの工夫で、ESは生き生きとしたものになります。
脱・月並み。