【続】昨日のAクラス

今年度の弊校の卒業式が3月10日月曜日に決まった。
また今年度から、卒業式の後に、卒業生達が各クラスで演し物をすることになった。
それで、年明け1発目のAクラスの授業の後半に、演し物について何をするか聞いてみた。

私:「他の卒業クラスは歌を歌うらしいから、Aクラスも歌にしようか。皆さん、卒業式に合った歌を何か紹介してもらえますか?」

学生A:「先生、劇がしたいです。私が監督をやりますから、白雪姫をしましょう!」

学生Aの発言後、瞬時にクラスの空気が変わった。

学生B:「じゃ、誰が白雪姫をしますか?」
学生C:「私は、悪い王妃様の役がしたい!」

休み時間を除き、いつも物静かな雰囲気の中で授業をすることの多いAクラスで『劇』が提案されることなど、予想だにしなかった。
しかも、監督を買って出た、その中国の学生が言い出した演目は、とてもクラシカルな『白雪姫』だ。

彼はクラス内で、元い、校内で今年度、最も学業優秀だと思われる学生である。
希望する大学院からは既に合格を得ているが、たしか、他の大学院にも挑戦したいと話していたはず…
いったい何を思い、劇を演ろうと言い出したのかはわからないが、ここは学生たちの自主性を重んじるべきである。

自分たちの卒業式を素晴らしいものにするために、せっかく演るからには、観る者全てに感動をもたらす作品に仕上げて欲しいと伝えた。
その一方で、予定していたその日のJLPT文法N1の対策授業ができなかったどころか、今後の劇の稽古時間を設けるために、卒業式までのクラス内カリキュラムを見直すこととなり、『また仕事が増えてしまった』と心の中で嘆くもう一人の私がいた。

私:「私の時間に稽古時間を入れますが、その分、文法のテキストが最後まで終わりません。それでも良いですか?」

学生all:「当分N1を受けませんし、家で勉強しますから、大丈夫です!」

私:『さては…勉強時間を減らしたいがために、劇を提案したのでは?!』

学生たちは、その件について全否定。
もう仕方ない(笑)

ふだんは全く能動的でも積極的でもなかったクラスが、自分たち自らの力で、日本語学校を卒業するまでの間に、率先して『できる』を増やそうと試みる。
クラス担任として、楽しみと期待が増した1日となった。


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