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『日本式 vs ハリウッド式』脚本の違いは?

今週のJōZU Reviewsは生配信!ご参加いただいたみなさまありがとうございます。生配信では「オッペンハイマー」の脚本をちょっぴり紹介しました。日本では最近公開されたので「もう読めるのか!」と正直ビックリしましたが、そういえばアメリカでは昨年の夏に公開されていましたね(笑)読んでみたい!という方はこの記事の一番下にPDFリンクを貼り付けたので是非チェックしてください。

日本の脚本を手に取ったことがある方は、オッペンハイマーの脚本を見て驚いたかもしれません。というのも、日本式の脚本とハリウッド式の脚本の作り方が全く違うんです。今回は脚本の違いをご紹介いたしましょう。

まず、日本式の脚本の例がこちら

日本式の脚本は基本的に縦書きです。長方形に数字、場所、必要なときには時間が書かれているのは「柱」と呼ばれています。どんな場所で撮影をするのか、またどのシーンなのかを瞬時に見分けることができるようになっています。

例では登場人物である「老 人」「右 手」の下に鉤括弧がついています。鉤括弧内がセリフです。

そして鉤括弧に入っていない、ちょっと低い位置から始まっている文章を「ト書き」と言います。ここでは映像に出てくる俳優の表情や動き、モノについて指示するものを書きます。日本式脚本では基本、カメラに映っているものを淡々と書きます。

ちなみにこれは私が書いた短編映画の脚本です。ダークモードであるのはそのためです。いつか映像化したい…。

続いてはハリウッド式脚本!「オッペンハイマー」の一部を見てみましょう

英語なので、横書きとなります。ハリウッド式はマージン(用紙の上下左右の端に設定する余白)がとても細かく定められていて、少しでも間違えると素人扱いされ、プロデューサーにポイっと台本を捨てられちゃうほど厳しいんです。

マージンは厳しいですが、よく見ると柱らしきものがないように見えますね。ハリウッド式脚本においての「柱」は上記画像の「INT. RAD LAB, BERKELEY – DAY」の部分です。

建物の中か外かを明記、続いて場所、そして時間をDAYかNIGHTで記します。全て大文字で書く必要があります。

セリフはキャラクター名の下に、こじんまりとまとまった感じで綴られます。微妙に真ん中じゃないのが気になりますが、それはご愛嬌ということで…。セリフ内のカッコは改行して書きます。

最後に注目すべきポイントはハリウッド式脚本の「ト書き」です。日本式脚本と一緒で具体的にカメラに写っているものの動作などを説明すると同時に、登場人物の心情を細かく書き出します。抽象的な表現もOKとされ、小説風に書かれていることが多いです。

私は日本で芸能活動をしているため日本式脚本に触れることが多いです。柱でシーンの見分けがしやすく、本の上半分が空白になっていることが多いのでメモが取りやすいです。反対にハリウッド式脚本はシーンが見分けづらいですがト書きが細かく本として読みやすいー演出の意図も汲み取りやすいです。想像の余白を増やす見やすい脚本をとるか、ビジョンがはっきりしているがちょっと見づらい脚本をとるか、状況に合わせて選ぶのが最適だと私は思います。


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いかがでしたか?

今年のゴールデングローブ賞でも『SHOGUN 将軍』が見事受賞しました✨嬉しい限りですね。
さて、今回掲載の無料記事は2024年4月14日に配信されたものの一部です。『日本語JōZUですね!』ポッドキャストのパトレオン有料会員向けに毎週日曜日にニュースレターを配信!気になる方は是非パトレオンをチェックしてください♪

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