「良い上司」とは何か
異動前に、上司が
「管理職っていうのは、部下が相談する隙をうかがえないほど、いつも忙しくしてちゃいけない」
というようなことを言っていた。
総務課に異動して「定例業務を引き受けまくり抱え込んでしまっていつも必死な課長」の下について二年目。
勝手が違い上手くやれず、よく思い返している。ついつい、彼女にこそソレを聞いてほしいと考えてしまう言葉だ。
直属の上司が頼れる人じゃない場合、どうしたら良いか。
同じフロアの後輩二人に、私もいろいろ教える事があるけど、化学工学が専科だった私は、システムエンジニアの二人に教えられる事の方が、多いかも知れない。
二人は同時に入社したが、一人の方がシステムエンジニア歴が長く、役席にも就いる。今日日こういう書き方には非難が寄せられるかも知れないけど、男同士、私が入らない方が、時に同僚・時に教師と生徒、時に友達という感じで、伸び伸びと働けるかも知れないと、様子を見ている。
そこで、ほとんど反射的に同じ対応を取ってしまっていることに気付いた。
SE歴の長い方をAさん、Aさんほどの業務経験、知識は無いけど、若くて素直さが強みな社員をBさんとする。
三人で進めているプロジェクト、その中のあるタスクをチェック中、私がミスを発見して、Bさんに修正するよう頼むとする。
管理職に就く直属の上司は、正直全然「管理」が手が回っていないので、Aさん、Bさん、私は、誰が誰の部下という関係では無くても、お互いがお互いの管理をせざるを得ない。加えて私は社歴が長くても、息子の事があり残業できない。けれどそんな環境でも、AさんはBさんの進捗チェックを逐一してくれているようで、すごく助かっている。
さて、私が「つい、やってしまうこと」は、何かのミスが発覚して、Aさんが「ホラ、言うたやんか!」とBさんに突っ込む時、ついBさんを庇う方へ回ってしまうことだ。
それはもう様式美だと思われていても仕方が無いほど、自然に庇ってる。
「私も、今まで気付きませんでした」
「ここは要注意ですね」
「誰しも起こり得ることですよね」等々。
AさんがBさんに突っ込みを入れる事は、先に書いたように、男同士のノリみたいなものだと思うけど、ひょっとして私は、Bさんを庇うよりもむしろAさんをもっと称賛すべきなのでは、と思い始めた。
子育ての事、家事の事、それに、人手不足の煽りを受けるガツンと受ける職場では自分の業務知識を未熟に感じて、後輩に迷惑をかけているのかもと思うと、つい目の前の事を消化するのに必死になってしまう。けど、出来るだけ本音を語ってもらえるように「隙を見せる」というのは、役席関係なく大事に育んだ方が良い「能力」の一つのようだ。