ポプラ社✖noteコンテストの大賞作品を読んで絶望した。
ポプラ社とnoteのコラボ企画で小学生向けの物語を募集したコンテストが2020年7月〜8月に開かれた。
テーマは #こんな学校あったらいいな
全国から3364件もの応募があった。筆者も応募した。
審査員は久住昌之さん、ポプラ社こどもの本編集部、noteディレクターの教育カテゴリ担当が共同で務めた。
栄えある大賞作品は以下の作品だ。
これを受けて、思わず声を漏らした。
「そら大賞とるわ…。」
審査員コメントによると、
第一回ということもあるでしょうが、今回のコンテストの審査はとても難しかったです。
「こんな学校あったらいいな」というのは、本当におおらかで、夢のあるテーマだと思いました。なので、それにこたえて書かれた話も「それはいいなぁ、あははは」というものがたくさん来るのかなと思っていました。でも多くの文章は、ことのほか現実的でした。リアルな現代(あるいは未来)の学校生活の中に、何か非日常なことが起こる、というワンアイデアものが多かったです。だから、テーマのままに気軽に読み始めたボクは、正直、途中からとても疲れてきました。状況説明が多く、読んでいるうちに、何がテーマだったか、わからなくなるのです。
そんな中で、わんたろさんの作品は、一行一行が「こんな学校あったらいいな」という夢への、自由でまっすぐ楽しさにあふれていて、先へ先へと読みたくなりました。突然「ガザミ」なんてのが登場するのも面白い。それが何かということより前に、「ガザミ」という言葉の持つ面白さが、読み手を引き込みます。言葉にはそういう力もあるのです。
わんたろさんの文章は、子供の文章をお母さんが書き表したものです。でもボクは、ここには文章の面白さの原石がゴロゴロある、と感じました。読んでいて、いろいろな風景や場面や色彩が頭に浮かび、読んだ後も余韻が残りました。いい文章は、必ずなにか余韻が残ります。そして、それこそが読者の心を、長い時間とらえて離さないのです。
わんたろさんの言葉を的確にとらえて書き止め、このような形で代理投稿したお母さんのセンスもすばらしい。今回の受賞は母子二人の力だと思います。ただひとつ惜しいのは、最後の一行が、大人っぽいまとめになっていることかな(笑)
いやあね、それは勝てませんよ。
筆者含め多くの参加者は、子どもが読んで楽しい夢のような物語を創作した。
そう、我々は「こんな学校あったらいいな」を“創作”したのだ。
ところが、大賞作品はどうだろう。
「こんな学校あったらいいな」というまっすぐな願い、まっすぐでキラキラした子どもの願いが作品に込められていた。
それは“本物”であった。
人の心を打つ作品というのは決まって作者の人生ごとが盛り込まれ、その人の本質的な素直さを感じるものである。
これには勝てないな。そう思った。