【就活生向け】就活の歩き方
この前書いた「採用活動で感じた自己矛盾について」は、企業の採用担当者に向けたものです。自分が採用担当者だった頃に感じたことを伝えつつ、思い悩みをなんとか乗りこなしていってもらいたいなぁと思い。
採用活動で感じる自己矛盾について
ただ、その一方で、就活生のみなさんにも、企業がどんな意図で動いているのか、それとどう対峙すればいいのか、をちゃんと知っておいてもらいたいとも思っています。
僕は本業である企業の採用支援の傍ら、半分は自社の採用のため、半分は学生の就活支援にと、Matcherも日常的にやっています。
今日は就活生との面談のときに伝えていることを書いてみようと思います。
就活は騙し合い?
挑発的なことを言いますが、この「就活は騙し合い」というフレーズはけっこう昔から聞かれているように思います。
みなさんはどう思われますか。
採用コミュニケーションは恋愛のそれと同じ。だから初期段階ではポジティブ情報で惹きつけるのだ、ということを前述のブログで書いています。
コンパでは「良い人」を演じるよね、ということです。
就活サイトや合同企業説明会、個社説明会の場で、企業は「すごい会社」、「やりがいのある仕事」、「ステキな仲間」を、全面に押し出し就活生にアピールします。
その一方で就活生のみなさんも同じように振舞っているはずです。
グループディスカッションでは積極的に活発に、それでいてチームメンバーにも傾聴し、リーダーシップやフォロワーシップを演出しているはずです。
面接時の服装や表情、しぐさ、振る舞い、話し方も、さまざまな努力や工夫をしているはずです。
「素の自分を見て欲しい」という気持ちは分かります。でも、人気企業ともなると一つの会社に数千人のエントリーがあるわけです。
「素のあなたを知る前に、ある程度の選考母集団(時間的・人的制約上、素の人柄まで深く知り、きちんと選考できる上限人数)まで絞り込まなくてはならないんです」というのが企業の本音です。
実は企業側(上述のような人気企業以外の、日本中に数多ある中小企業の話ですが)も「素の自社を見て欲しい」と思っています。
ただ、学生のみなさんも忙しい中で、どの会社の選考を受けるべきか、自分の活動許容量と相談しながら活動していると思います。
まずは一次審査を通過しないと、素の自分、素の自社を見てもらうことすらできない。
そこはまず理解いただきたいところです。
就活で学生の目に映る企業は「メジャーリーグのスタジアム」である
みなさんが、合同企業説明会や就活サイト、会社ホームページで見る企業の姿について、僕はこう表現しています。
就活で学生の目に映る企業は「メジャーリーグのスタジアム」である
華やかなオフィス、キラキラに輝く先輩社員、仲間との協働……。
最近は採用動画も増えてきましたので、それらがことのほか目立つようになってきたかもしれません。
その姿に嘘はないと思います。
いえ、ひょっとすると嘘をついている企業もあるかもしれませんが、僕はあまりそう思いたくありません。
採用は、とても高い倫理観が必要な仕事だと思っています。
ですが、嘘ではないが一部分に過ぎない、ということは知っておいてください。
就活生の目に映る企業の姿は、一軍のスタープレーヤーが躍動するスタジアムです。
華やかな球場で、熱狂する観衆に囲まれてプレーする選手たち。
常人では考えられない豪速球を投げ、見事な弧を描くビッグフライを打ち、鮮やかなフィールディングで捌く。
観客の目に、その姿はとてもキラキラと輝いて映るはずです。
そのスタープレーヤーは確かに実在するし、スタジアムも本物です。
なので、決して騙しているわけではない。
ただ、すぐさまスタープレーヤーになれるわけではないのです。
就活生のみなさんに注意して欲しいのは、
●スタープレーヤーになるためにどのくらいの期間を要するのか
●どんな理論の学習やトレーニングが必要なのか
●その学習やトレーニングはすべて提供されるのか
●自主トレはするのか、どのぐらいするのか
●成長の過程でどんなつまずき、壁、心的負荷があるのか
そんなことを、きちんと確認するということ。
その確認のプロセスをサボってしまうと、「入社してすぐにマウンドに立てると思ってたのに!」とか、「ホームラン20本なんてぜんぜん打てないじゃないかぁ……」というミスマッチが起こります。
中には、入社即マウンドに立たせてくれる企業もあるにはあります。
3Aとか2Aではあるものの、実践を通してメジャーリーガーに育てようという企業です。
でも、そういう企業って数で言うと0.00数%ぐらいなもので、大半はまずは「理論を学ぶこと」、「走り込むこと」、「素振りをすること」から始まります。
メジャーリーガーを志向しつつも、その道すがらにはそれ相応の苦労が必要だということを忘れないでください。
大学生にとっての就職活動も、企業にとっての新卒採用活動も、もっともっと合理的であればという気持ちも分かります。
けど、人と企業も、やっぱり直接会って、話して聴いてのプロセスがあって、お互いが納得のいくマッチングができるのだと思うのです。
AIが就活を効率化する世界って、乱暴な考え方かもしれないですが、「あなたのこれまでの人生、学業成績から類推するに、これらの企業群にはエントリーしても合格できませんよ」と突きつけられる世界なんじゃないかと思うのです。
もちろんその逆に、「貴社の事業内容、従業員規模、立地ではそのクラスの学生さんが来てくれるはずないですよ」と、企業に対してもAIが言ってくる世界です。
そんなのは寂しいよなぁと思っています。
で。
昨日とても残念なニュースが流れてきました。
リクナビが就活生の「内定辞退予測」を企業に提供、ネットで物議 運営元は「合否判定には未使用」と説明
https://www.itmedia.co.jp/news/spv/1908/02/news086_0.html
思うに、「企業にとっても学生にとっても、できるだけ合理的で効率的な世界」を志向する中で、開発されたものなんじゃないかと思っています。
今回のことも糧にして、リクルートさんには就活生と企業とが幸せに巡り会えるプロダクトを、社会に提供して欲しいと切に願っております。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?