ゴールデンタイム
おいしいブランデーケーキをいただいた。
おいしい珈琲がほしくなる。
でも、お店の珈琲に慣れてしまうと、家で入れる珈琲は何と味気ないのか。
こんなおいしいケーキには、おいしい珈琲とそれを出す薄暗い喫茶店のソファ、40Wの柔らかな電球の灯り、そして好きな本があれば…。
好きな作家の名前を五人だけ挙げるとする。
すると、吉田篤弘さんは確実に入る。
つむじ風食堂の夜、78、月とコーヒー、針がとぶ…。
私の中で吉田さんはプレミアムな作家である。
新刊が出たら、金曜日の夜、お気に入りの店でおいしい珈琲とおいしいケーキをお供にその世界に浸る。
この人の作品には贅沢に、万全の態勢で臨みたいのだ。
吉田さんの本の中でも、とりわけ好きなのが「金曜日の本」。
何て最高なタイトルなんだろう。
まさに私はあなたの本を金曜日の夜に、最高の状態で読んでいるのだから。
この本は小説ではなく、吉田さんご自身の少年時代のエッセイである。
帯の言葉にも心を射抜かれた。
「さぁ何を読もう!」
「本はいつも同じ声で 同じ話を 同じように語ってくれた。
そんな安心なことが 他にあるだろうかー。」
おいしい珈琲がますますほしくなってしまった。
ああ、喫茶店が恋しい。
最高の金曜日、次はいったいいつ来るの。
降り注ぐように神懸った、私だけのゴールデンタイム。
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*今回の記事の写真は、札幌市大通にある喫茶ロアの入り口階段前。
自分にとっては土曜日に訪れるお店ですが、ここは大きめのコーヒーカップ並々においしい珈琲が飲めます。店舗奥側の薄暗さがたまらない。