割った

叩け!叩け割れや!

春風の様に、

真冬に眠る西の影の谷は静寂すぎる

重きーー呼吸できないほどに

春に吹く威虎(ヰこ)、

陽射しの影より曙光の待つ地平線へ

焼けた黄金と真黒き碧の区別のない蒼天

歩く大地を割って割って島国を生もう

海の澱みより浮き上がって、

転がる泡色の金平糖。

波でも割ってあの塩の荒原を鎮もう。

光る塩は振る歳積月の雪様に甘い飴を溶けるだろう。

叩けや!その大地を叩け!

その黒い土に眠る東の大地の精霊たちを

叩き起こせろ!岩の三角のローレライ、

東にいる運命の三姉妹、鴉天狗の黒い
(三人は一つなる心の象ーーー「迷宮」という。
私に対してはその人の運命の「迷宮」は
一つの解読法しか存在する。)

羽を身にまとうモリガン!命の死骸の頭上に浮く

ゆかり色の煙雲、宵暮れの天蓋の大空

迷いながら、血まみれの川を渡る

さび付いた鋼色の鉄の刃を捨てよう。

女へ求愛するためにあれは血生臭いすぎる!

彼岸の花畑から一環の花を取れ

マンジュシャゲでもなく、アヘンの花でもなく

虎の赤らみが映るひまわりだ

(Helianthus Annuus)

年中太陽を知る三途の川は、

もう陰影すら忘れ、年中快楽で歌う

シャボン玉でいっぱいな碧い川になった

少年しか知る詩的死を予示する秋空。

川辺で彼女へ歌おう。

騎士道と快楽な科学を知った、

アキバ育ちの現代東洋人の恋唄を

あの日の輪を彼女へ捧げ、花の環を投げよう!

宙に浮くとき、「タケコプター」の原理で

西洋のアフロディーテのバブルズに化し

虎の皮(私の!)で出来たスカートを履いた

角が生えてた

曙光の如くゆかり色だけに染まった彼女が

手を伸ばして、それを受けようとすると

幻想の詩句は私と彼女の間にいる、

真実と妄想の無限の距離によって

その泡が弾けて消えるだろう

幻想への憧れは物質としては破滅地獄(perdition)だ

しかし、亜麻色の髪の彼女が

私の虎頭をナデナデして、

そして三途の川より

水中で浚渫する

誰かの忘れもの亀の甲羅を見つけた

上岸し、猫の様にフルフルと黄土と忘却の水を振り払って

それを私へ渡す

その間にいる真黒い無限の虚空という時間を渡るまで

甲羅は乾燥した、色は沈み、黒い空に染まれ

私が手にいる時には、ひょんな亀裂は何故か生じていた

「嗚呼、そういうことだ」

私の歌う唄を、彼女が記して。

そして返信付きの文を私へ渡す。

私と宇宙の存在いる時空を超えた超長距離通信だ。

その亀の甲羅の上にいる亀裂は、

彼女の筆跡、墨染にして、
私の描く詩と死になる。

そうでなければ、甲卜をするアホもなければ

想像にいる鬼への一方通信のラブレターを書くアホもこの世にいないだろう。


*1 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%A9%E3%82%A4

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