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ハンコになった黒水牛

ハンコがなくなるかもしれないと聞いて、さらに便利な世の中になるなぁと思うわけだが、改めて象牙だったり水牛だったり、そのつややかな動物性の結晶を手に取ると、なんともいえない気分になる。
ハンコになった牙。
それは引っこ抜かれた野心のようでもありながら、触り心地やその見た目からは、この世を生き抜く逞しさのようでもある。
触り心地やその見た目ら、それらが牙であったことを結びつけない。
牙の野性味が職人によって磨かれ煌めき艶やかに変貌し、自然物でありながらも人工的であるというような魅惑の二面性となり立ち上がる。
ああ、こんな大人になれたらと思う。




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