10/17 ”月9”の呪縛から解き放たれる「嘘解きレトリック」ドラマ寸評
今期の月9「嘘解きレトリック」
主演は鈴鹿央士と松本穂香のW主演
鈴鹿央士はゴールデン帯の連ドラとしては初主演だそうだ
深夜帯のドラマや映画などで主演作が多いのでゴールデン帯とはいえ初というのはちょっと意外
(松本穂香は「この世界の片隅に」(2018)ほか多数あり)
初回を観た感想は
”ライト推理ドラマ”をコメディテイストで味付けした気軽に見られる小気味よいドラマという感じで、原作マンガの世界観も大事にした楽しめる作品だと思いました
主演の二人が若いことやストーリーに深みが少ないことから
”軽すぎる”という批判もあるようだが、この”軽さ”こそがこの作品の魅力なんではないかと感じてます
嘘を聞き分けられる能力のせいで、子供の頃から周りから気持ち悪がれ、孤独を感じていた浦部鹿乃子(松本穂香)の過去話
そして作品全体に流れる”嘘”というモチーフから、ややもすると重くなりがちなストーリーが、主人公2人の若さと軽妙なストーリー展開で、良い感じの”軽さ”を携えた作品に仕上がってる気がします
原作マンガは第1巻しか読んでいませんが、原作でも奥深いストーリーや本格推理モノを目指しているというより、祝 左右馬(鈴鹿央士)と行動を共にすること(いろいろな事件を推理することなど)により鹿乃子の心の中にある自虐的な考えやコンプレックスが徐々に癒やされていくというのがテーマなのでしょう
で、たぶん今後は鹿乃子が左右馬にほのかな恋心を抱き始め…というのも見どころになるのでしょうか?
第2話では早くも恋敵になりそうなご令嬢・千代(片山友希)も登場したことですしね
勝手な推測ですけど…
イメージ的には少女マンガの世界を全方位楽しめるようなエンターテイメント化した秀作なドラマという気がしております
他の出演陣では
左右馬の探偵事務所のお隣さんにある食事処「くら田」
主人が大倉孝二で、その奥さんが磯山さやか
この作品のモチーフである”嘘”という言葉の真逆に位置していそうな、
見るからに誠実そうで正直そうな二人
好キャスティング!です
毎回ここでひと芝居ありそうで、ドラマの小休止になったり、事件解決のヒントを思いついたりするんだろうなと想像が膨らみます
左右馬の親友であり刑事である端崎馨(味方良介)
おそらくレギュラー陣の中では一番の芸達者
舞台中心というイメージでテレビドラマではあまり大きい役に恵まれていない気がします(前クールも「ギークス」や「伝説の頭 翔」に出演)
ですが今回は、活躍の場も多そうでストーリーを引っ張るような役柄やコメディリリーフなど多彩な場面を期待しています
いわゆる名作や大傑作というほど肩に力の入った作品ではなく
クオリティの高い佳作作品といった風情を感じるこのドラマ
こういうドラマは大好きです
ところで巷では”月9”ということでいろいろネットニュースに賛否両論書かれていますが、そもそも”月9”というワードこそ古臭い気がしませんか?
”月9”があーだこーだ騒いでいるのって中年以上のおっさんとおばさんと
新しいキーワードが思いつかないマスコミ、ライターだけでしょう
20代以下の人はもう”月9”の黄金期なんて知らないんですよね
”月9”の黄金期って1988〜1998(諸説あり)あたりですから
「君の瞳に恋してる」から始まり、「東京ラブストーリー」「ひとつ屋根の下」「あすなろ白書」「ロングバケーション」など社会現象となるようなドラマを連発していた時代
2000年以降も「ガリレオ」や「のだめカンタービレ」「HERO」「コードブルー」などの大ヒット作があった為に”月9”神話が継続しているような期待と願望が消えなかったのでしょう
2010年以降になると上記作品のシリーズものがヒット作の中心
もちろん近々でも「ミステリと言う勿れ」や「監察医 朝顔」
「ラジエーションハウス」などのヒット作はありますが、フジテレビで一番力が入っている枠としてはそんなに打率が高いとは言えないでしょう
完全にTBSの日曜劇場にお株を奪われてますよね
まぁそんな”月9”の最新作「嘘解きレトリック」ですが
上記”月9”の大ヒット作と比べられると厳しいですが
”月9なのに”とか”月9だから”などと言わずフラットな気分で見れば
月曜の夜を気分良く過ごせる作品になりそうです