2024/11/26 決意の夜明け
20世紀の終盤に生まれた。高校に入学したときには、ほとんどの同級生がスマホを持っていた。自分も親に懇願して買ってもらった記憶がある。それ以来スマホは家族や友人よりもずっと身近な存在だったと思う。受験生になると、いかにスマホを遠ざけるかが鍵だった。学生時代には友人との連絡には必須のアイテムだった。社会人になってもスマホはそばにあった。日中仕事に忙殺されて帰宅したあと、部屋で現実から目を逸らすようにスクロール。寝落ちして翌朝慌てて家を出ることなんてしょっちゅうあった。
いつからか自分はスマホに依存していると感じるようになった。『スマホ脳』という本が書店に並んだとき思わず手に取った。デジタルデトックスに関する本を読んだこともある。スマホやSNSへの依存に警鐘鳴らすドキュメンタリーを見たこともある。「このままじゃダメだな」そう思っても続かなかった。スマホを家以外のところに置くことで、何日かスマホを手放したときもあった。しかし数日すると元通りの生活をしていた。こんな生活が嫌だった。
今日もいつものように、帰宅後にスマホをスクロールしていたら日付が変わっていた。湯船に浸かりながらYouTubeを見ていたらあっという間に時間が過ぎていた。スマホを手にしながら冷め切った湯船から出たとき、もう一度、この生活から脱したいと思った。このスマホという自分に最も近い存在と、もう一度、向き合うのだ。もう夜明けだ。