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最強の営業フレームワーク! MEDDICを学ぶならこのリアルストーリーを読め


MEDDIC営業の洗礼

「この案件、MEDDICの観点で評価した?」

某イケイケの外資系SaaSベンダーへ転職して間もない頃、青い目の上司のその一言に頭が真っ白になったのを覚えている。営業経験ゼロの私は、B2B営業のフレームワークとして名高いMEDDICの存在すら知らなかった。しかし、ここはMEDDICを空気のように使いこなす会社。このフレームワークを理解しないことには、商談どころか社内会議ですら乗り切れない。

初めての案件と「M」への苦しみ

最初に担当した案件は、ある中堅メーカーへのソリューション提案だった。上司からの指示はシンプル。

「まずはM (Metrics) だ。お前の提案がどれだけの価値を生むか、数値で示せるか?」

ROI、コスト削減、業務効率の向上……簡単に言うけれど、顧客の課題を知らなければ適切な指標なんて出せるはずもない。焦りながら過去の事例を掘り起こし、業界のベンチマークを調査する。しかし、商談でそれをぶつけても、顧客の反応はいまひとつ。

「確かに業界平均はそうかもしれませんが、うちには当てはまらないですね。」

撃沈だった。

焦りを感じた私は、同じチームの先輩に相談した。「どうすれば適切なMetricsを設定できますか?」 先輩は静かに微笑みながら言った。「まず、顧客のKPIを知らないとダメだな。」

それから私は、顧客の社内で使われている評価指標を調べるため、さらにヒアリングを重ねた。営業部門だけでなく、現場担当者、財務担当者にまで話を聞き、彼らがどの数字を重視しているのかを整理した。そして再び商談に臨んだ。「現在のシステムと比較して、導入後の生産性向上率を20%改善できます。」今度は顧客の目の色が変わった。「具体的な数字を示してくれたのはありがたい。もう少し詳しく聞かせてください。」
ようやく、第一関門を突破した。

EとDの壁 - 決裁者と決定基準のリアル

このままではダメだと感じた私は、上司に相談。返ってきた言葉は痛烈だった。

「そもそも、E (Economic Buyer) にアプローチできてるか? お前が話してるのは誰だ?」

そうだった。私は技術担当者とばかり話していたが、最終的に予算を握るのは別の人間だ。そこで改めて決裁者を特定し、ミーティングの機会を作ることにした。

しかし、決裁者とのアポイントを取るのは簡単ではなかった。何度も秘書に断られ、別の担当者に回される。そこで私は、決裁者と親しいと噂される購買部門のリーダーに話を通した。「こういう話があるのですが、決裁者の方にご紹介いただけませんか?」結果、ようやく直接のミーティングが実現した。

さらにD (Decision Criteria) も掘り下げた。競合と比較したとき、顧客が何を基準に選定しているのか? 価格、機能、サポート体制、それともブランド力か? ヒアリングを重ねるうちに、顧客の「決定基準」が明確になっていくのを感じた。

IとCの重要性 - 「味方」がいなければ戦えない

顧客の本当の課題は何か? これを見極めるのがI (Identify Pain) だ。ヒアリングを繰り返す中で、担当者の口から出た「実は……」の一言が突破口になった。

「実は、今のシステムが古くて、社員の不満が溜まってるんです。でも、社内では誰も声を上げられなくて……。」

これこそが「痛み」だった。課題が見えた瞬間、営業としての戦略が一気にクリアになった。

そして、最後のピース、C (Champion)

決裁者に直接アプローチするのは難しくても、社内で影響力を持つ「味方」を作ればいい。私は何度も技術担当者と話し込み、彼を社内での「推進者」に仕立て上げた。彼の推薦が決め手となり、ついに受注が決まった。

商談が進んでいく中で、Championの存在がどれだけ重要かを実感した。彼が社内で私たちの提案の必要性を訴え、決裁者の理解を得る手助けをしてくれたのだ。

振り返って - MEDDICは営業の「武器」

初めての案件を無事にクロージングできたとき、私はようやくMEDDICの本当の価値を理解した。

「MEDDICがなかったら、こんなに論理的に案件を進められなかった。」

営業は「運」や「勘」だけではなく、戦略と論理がモノを言う。それを体系的に実践できるのがMEDDICだ。

今では、どんな案件もMEDDICのフレームワークを意識しながら進めている。そして、新人の頃に上司が投げかけた言葉が、今では自分の口から後輩に向かって出るようになった。

「この案件、MEDDICの観点で評価した?」


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