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世界の中心にいるはなし
私は私を愛している。
床に積まれた本、椅子の背が着る服、ゴールに嫌われたティッシュ。開かれた雑誌に写る部屋とは似ても似つかない。3日前のシンクを通り過ぎ、出かける。新品の靴べらが玄関の戸を叩き、外に出る。ポケットから出てくるメンソレータム。今日の私は、先日の私に感謝する。運良く座れた座席で気づく色の違う足。何食わぬ顔で色を捲りあげ、流行を嗜む。AirPodsの中身は空だし、改札には弾かれるし、お札にはレシートが挟まってる。もし、身近に私がいたら腹が立つし、呆れる。いつまでも外からの意見に斜に構えるし、背骨は曲がる一方だろう。
ただ、こんな私が好きだ。周りに非難されようが、罵倒されようが、好きだ。自分で自分を愛さないと、悲しくなるからではない。点滅の青を走り渡る自分が、この上なく好きなんだ。