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一杯のカフェラテと、心にしみる温かさ


つい先日、どうしてもアップルパイが食べたくて、娘をベビーカーに乗せて近所のスタバを訪れた。スタバは、読書や勉強をしている人が多い印象があって、赤ちゃん連れで行くのは少しドキドキ。混雑していたら諦めようと思っていたけど、幸い店内が空いていたのでそのまま注文へ。

なるべく迷惑はかけないようにと「他のお客さんの邪魔にならないようにしたいんですが、どの席がいいですか?」とスタッフさんに聞いたら、真っ直ぐ目を見て前のめりに「邪魔じゃないです!!!お好きな席で大丈夫です!」と言ってくれて、少し気後れしていた気持ちがホッとした。

アップルパイを食べている途中、ベビーカーに座らせたままの娘が少し退屈だったのか不機嫌そうな顔をした。抱っこしようかなと思っていた時、ふと私の後ろ側を見て笑い出した。どうしようか迷って振り返れなかったが、きっとあの時私の見えないところで娘をあやしてくれた人がいた。声をかけるわけではなく、適度な距離感で見守ってもらっていることに胸が温かくなった。

温めてもらったパイは、林檎とカスタードがトロけて甘さが口いっぱいに広がる。カフェラテをひと口飲んで、柔らかい苦味で甘さの余韻を味わう。じわーっと体の中に温かさが広がっていって、気が張っていた体の緊張が解けていく。

以前からこうやって目一杯コーヒーを楽しむことが好きだっけど、娘が生まれて気軽にカフェに寄れなくなってからは、より幸せに感じるようになった。体の中に温かさが溶けていくのを感じる時、心もほどけていって「娘が一緒でも、外に温かいコーヒーを飲みにいけるんだ」「私、いつも頑張ってる」と じわっと泣きそうになってしまう。

娘が生まれてこれ以上ない幸せが増えた反面、私の世界は少し狭くなった。夏の暑い日、雨が降ってる日…赤ちゃん連れでは外に出にくい日も沢山ある。電車に乗るのも一苦労で、自宅近くの限られた場所にしか行くことができない。
出産前は何気なかった日常が、とてもハードルが高くなってしまって途方に暮れるときもあるけど、優しくしてくれる人たちのおかげで、私は今日も外でコーヒーが飲める。この一握りの幸せが、また明日から頑張るためのエネルギーになる。

私も、他の誰かが小さな幸せを感じる手助けをしていきたい。

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