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格闘技における『パワー』と『力』の違い

「パワー」と「力」はスポーツの中では単なる英語と日本語の違いではなく、もっと大切な意味と違いがあります。
これを理解できるとより大きな力量を生み出すことができます。
階級スポーツであるキックボクシングの世界ではとても重要な意味を持ちます。

【パワーとは】
スポーツの中でパワーというのは筋力が出る力量を指します。
そのため筋トレなどバルクアップをするためのトレーニングを行い、パワーを増強させます。
格闘技をするうえでパワーがあれば有利に戦えるため、ドーピングをしてまでパワーアップさせようとする選手もいます。
しかしメリットばかりではありません。
パワーだけにたよれば大きなデメリットも生じてきます。
関節の可動域が狭くなったり、怪我が増えたり、体重が増えたり、競技にもよりますがマイナスになる場合が多いです。
元プロ野球のトップクラスの選手でも筋肉で体を大きくしたためにホームラン数や打率が下がったり、速い球が投げられなくなったり、選手生命にかかわる状態に陥った選手もいます。
元メジャーリーガーのイチロー選手はいくら筋肉をつけても骨や腱まで太くなるわけではないし、人間としてバランスの良い体を作ることが大切と言っています。
イチロー選手の体は細かったですが、メジャーリーグでの日本人ホームラン記録は松井秀喜選手に続く3位です。
パワーだけが結果に繋がるのではないという証です。

【力とは】
「力」とは体の使い方から出る力量を指します。
決められた体重で戦うキックボクシングにおいて「力」というのは非常に重要なものになります。
力の出し方にはいろいろな方法がありますが、今回は「テコの原理」を使った体の使い方のひとつを紹介します。
右ストレートを打つ場合に腕力で打つのではなく、テコを使い小さな力で大きな力を生み出します。
テコの原理とは支点、力点、作用点によって大きな力を加える原理です。
まず「支点」は体軸になります。
格闘技で軸はとても大切です。
次に「力点」は骨盤になります。
右ストレートを打つ際にお尻の右後ろを押し出すように骨盤を回します。
最後に「作用点」は右の拳になります。
他にも骨盤のポジション、前足の体重を乗せる位置、体幹の使い方、左手の使い方、など意識しなければいけないポイントは他にもたくさんあります。
これはまたテクニック編にて紹介します。
例えば目の前に100㎏の荷物があるとします。
これを腕力で持ち上げた場合とテコを使って持ち上げた場合のどちらが力を使わなくて済むかを考えればわかると思います。
他にも体の可動域、柔軟性、バネなども力に影響を及ばせます。

上記で述べた内容は「パワー」を否定するものではありません。
格闘技をするうえで一般的な人よりも強いフィジカルは絶対的に必要です。
大切なのは「力」を上手に使うということです。
キックボクシングでは「脱力」というものが大きなテーマになります。
「パワー」に頼れば当然ですが脱力はできません。
「力」を使うことで無駄な力も使わずに戦うことができるようになります。
そのため正しい体の使い方を理解しながら練習する必要があります。
キックボクシングジムエリアスでは石坂トレーナーへお声掛け頂ければ、「力」の使い方についても指導致します。

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