王さまの本棚 23冊目
『風にのってきたメアリー・ポピンズ/
帰ってきたメアリー・ポピンズ』
『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』
『公園のメアリー・ポピンズ』
P.L.トラヴァース作/林容吉訳/岩波書店
本棚の中での位置はここ。
この本を前にして思うのは、「空想の、自分だけの、ありえない感覚を掴め」ということ。
たとえば、ぽきりと折った指の砂糖菓子。つまり、指の形の砂糖菓子ではなく、指をぽきりと折ったら、それが砂糖菓子そのものだったのです。
たとえば、ぎゅっと噛むと染み出す砂糖と油を感じるジンジャーパン。
作品は違えど、ナルニア国物語『ライオンと魔女』に出てくる、手づかみで食べられるふわふわの、プリン。
そういう不思議な感覚を文字で追い、感覚感触食感そして味を想像し、自分のものとすること。それは、例えば情景描写を想像するのとはまた違った、実感を伴う空想です。
その空想こそ、本を読んでこそ養われるものであり、その後の人生の糧となるものであり、時には生きていく上での指標という星になるものなのです。わたしは、いつかそういう物語を書きたいと思っています。
本について語り合うとき、その空想を共有するには、心を許す必要があります。なぜなら、空想とはそのひとの根に通ずるから。根ごと受け入れてくれる人と語り合うことは、なんと楽しいことでしょう。
わたしはブックトークオフというオフ会によく顔を出していたのですが、そういったわけで、ひとの話を聞くことと、自分の紹介した本についてひとがいろんな話を広げてくださるのは好きだったのですが、自分が本を紹介する順番になると、ちょっと逃げだしたくなったものでした。ブックトークとは……
とにかく、主催の方々が普段から人前で喋るお仕事をされているので、とてもバランスが良いのですよね。ブックトークオフ、今はオンラインに移行していますが、たまに顔を出しています。
(なんせ、夫のひととの出会いがブックトークオフで、主催の方々には結婚式にも来ていただいたので……!ありがたやーありがたやー!)