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王さまの本棚 38冊目

『ムギと王さま』

エリナー・ファージョン作/Edward Ardizzone絵/石井桃子訳/岩波少年文庫

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本を読む姿勢の悪い子どもでした。
椅子に背もたれがあればもたれる、程度なら上等な方で、そこからだんだん崩れて行って床にへたり込み、体を押し曲げて隙間に入り込んで落ち着く場所を探しながらも、読むことに没頭し続けるという器用なことをしていたように思います。
講談社の、世界の名作図書館を愛読していたからでしょうか、大きくて重い本を支える筋力がなかったから、そういう癖がついたのでしょうか。
岩波少年文庫や図書館で借りた本たちもかなり読んだはずなのですが、読書の原体験はあの、好きな隙間に潜り込んで不自然な姿勢で没頭する、というものです。

この本の序文にはそういう子どもの姿が描かれています。そう、表紙の子どもたちのように。日に透けた金の埃が舞い、陰に染まる銀のクモの巣をまとった、大人向け子ども向け、ごちゃまぜの本の部屋で。
わたしに与えられた本棚は子ども向けの本で埋まっていたし、わたしもわたしでいい子ちゃんだったので、
(今思えばなんであんなに親の言うことを聞いていたんでしょう、無気力で不真面目でこすい不器用なくせにゴマするし友だちの少ないというひでえ子どもだったけど、めちゃいい子ちゃんでした、本に関しては)
親の本には手を出さず、その年齢なりに「おもしろい本ない?」と母に尋ねては出してもらうということをしていました。いい子やな!

本編は古風な短編集でそれも良いのだけど、原題が『The Little Bookroom』というので、作者にとっても序文がメインのようなものなのでしょう。

絵はなんとかっていうたぶんイギリスの人なんですけど、読めません、Ardizzone氏。アーディゾーニ……?ってうっすら聞いたことがある気がするけど、その方かな?

追記
アーディゾーニ氏で合っていました!読めるか!!

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