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ゲームのお話 唯遊論 09/18

話題が尽きないゲーミング業界、と世界情勢
が、果たしてそうでしょうか?

Internet is not Cool

  とある大手広告業者はインタビューで我々の使命は宇宙を広告で埋め尽くすの旨を語っていた。90年代にインターネットの普及が伝統メディアのテレビや、発刊物などに甚大なダメージを与えた。当時「最後の処女地」と称されるネットの世界はそれなり相応の知識がなくてはどこにもたどり着けないほどの荒地。スターフィールドじゃないがその荒野に進んで邁進したフロンティアたちは誰しも好奇心と能動的な愛好、そして多少なりとも反骨精神を背負っていた。テレビでは本当のことは報道されない、広告が洗脳マシンの代わりに電波を汚染し、誰かに閲覧され了承を貰えたコンテンツのみが放送される。そんな受動的に豚の飼育みたいな情報の受け方が嫌でネットに飛び立った若者が多かった。しかし僅か2、30年の時間で俗に「ホットマネー」と呼ばれる巨大資本の介入によって今のネットはもはや自由がなく、便利と引き換えに情報が全て受動的になっている。媒体としてはテレビ以下にもなりかねない勢いだ。テレビが従来の紙媒体を勝ち取った後、如何に低俗になり得たかはまだ覚えているでしょうか。今のインターネットはどうだ。3秒ごとにエロ広告とエンカウントする仕様はPS1随一のダメシステムRPG『神来-カムライ』ですら劣る。そしてそんな土壌汚染の中で産み落とされた魑魅魍魎がYoutuberだったりインフルエンサーだったり。後追いするメディアはもちろん、地に這いつくばって蠢く政治家ですら熟練にこの廃土を使いこなしている。紙媒体の時は時間がかかる為ひとつの報道が大衆の耳に入るよりも前に変化が訪れていたかもしれない。テレビ時代だとリアルタイムという認識が広まっていた。9.11事件の生中継などは印象的だったはず。でもネットはリアルタイムを超えた超速度で話題を呼んでいる。9月にはニンダイがある。とYoutuberやインフルエンサーらが一斉に世論を誘導すればそれがもはや事実と化してしまう。大衆の関心があるかどうかこの場合は関係ない。いつも見てる政党支持率のやつは正にそうだ。たかが数百人の誰も知らないサンプルあるいはフォロワーが壁となって狭い世界を構築してしまう。ペルソナ2の嘘を千回すれば本当のこととなる社会はここに存在する。ペルソナ2では主人公の摩耶ちゃんや達哉くんがインフルエンサーらしきNPCに支払うことで装備品の価格からサブクエストの出現まであらゆるものを誰かの意志で操作できてしまう。言うまでもないがこのゲームの時代はYoutubeどころかググれカスって単語すらなかった。狙ったどおりに出来なければどういう理屈か実現させてくれない方が悪者とされる。Youtubeで溢れんばかりの炎上系のデカデカ煽り文句と人を喰おうとする誇張極まりないナルシスト顔サムネ。「衝撃!超絶悲報!」「絶対これが発表される!」「賛否両論でガチ炎上!」つまり既成概念の上乗り、言い換えれば洗脳そのものと全く同じ理屈でしかない。北朝鮮のミサイルは絶対に来る、ただの一発でも軍事施設どころか街中も近海にすら落ちていない真実があるにもかかわらず、来てもらわないと困るのだ。要はテレビや新聞の"若者の𓏸𓏸離れ"みたいなものがそのままネットでも継承されたように。本当に離れなきゃいけないのはこの淀んだ汚水の方だ。巨大資本はいついかなる時も触れた物全てを汚染する。オーウェルも1949年に書いた物が2000年代のベストセラーになるとは思っていないはず。

"オピニオン"という名の免罪符

 「それってあなたの感想ですよね」いつの間にかmemeとなった無意味な戯言。空洞で内容のない戯言はまるであたりまえ体操のネタのようなペラペラなセリフに悪意だけはぎっしり詰まった塊。内容がない為に勝った負けたとかこれもまた虚しすぎるほどネットの文化が形成されていく。1+1=2、それは決められた条件の下、数字を言語化にして表される定理である。そして定理は正しいと事実、主張を数学的に証明されている。人の言語は数字のように厳密で出来てない、だから数学は神の言語と言われる始末。コンピュータが人の言葉ではなく数字の言語しか分からないのも厳密性の為。そんな中、ネットであふれる"My brutal honest review"あるいは「忖度なし!40時間クリア本音レビュー」など様々なタイトルをつけてあたかも"良心"や"本当"のことを教えようみたいなアピールはネズミ講でも宗教でも散々使い古した手法。細心な人は気づいているでしょうけど、ふと気がつくとメディアでは"社論"と題したコラムがこれでもかってくらい増えて今はニュース報道という物よりもそっちがメディアの主旋律となっている。オピニオンは個人の物だから、弊社の責任ではないと、言い訳を手に入れた組織は全ての責任とリスクを守るべき個人に任せて代わりに注目と利益を全部いただく。競争というプロパガンダの下で、大衆の視線と時間と脳細胞をできるだけ独占する仁義なき戦いが何故か個体と個体の間に勃発。会社という架空の組織は何もせず高みの見物。その仕組みはまるで古代ローマのコロシアム。ルール無用の殺し合い、金持ち層の娯楽、敗者の運命は観客の感情の昂り次第、そんなインぺリアリズムの壁の外では帝国が文化的にも経済的にも環境問題的にも沈まれていくばかりに気づかない。「テレビの出演者がユーチューバーみたい」人が変わったでも時代が変わったわけでもない、仕組みがそうさせたに過ぎない。アルゴリズムの暴力を駆使して鹿を指して馬となす。今無きTwitterは言論自由どころか真っ逆のことに全力を注いでいる。悪名高いブルーマークをリプライの頂辺に固定することによって世論でもなんでもない論を意のままのように操作し始めている。まるで集会の場で自分のゴロツキどもだけに拡声器を用意してあげた地上げ屋、はたまた"暴徒"というレッテルを上の意のままに貼る警察、それとも口開けば神ゲークソゲー、ゲーマーという架空の組織の代弁者となったつもりで広告収入とメンバーシップしか考えてないインフルエンサーか。

Unity騒動と本当の敵

  最近ゲーム業界に最もインパクトをもたらした話題は他ならぬUnityである。それでも決して多くの声が聞こえてこないのはネットの現状を表す証拠でもある。知らない人の為にざっくり説明するとUnityはEpic社のアンリアルエンジンと並んでゲーム業界最大手のエンジン。エンジンはゲームを作る時に使うソフトウェア。絵を描く時のキャンバスのようなもの。元々ゲームエンジンっていうのは各ゲーム会社が独自で開発するものだった。有名なのはBFシリーズのフロストバイトとかFFXVのルミナスエンジンとか色々、それこそゲームシリーズの数だけに存在した。しかしアンリアルエンジンとユニティエンジンなど基本無料のフリーエンジンが誕生して以来、各社が自作エンジンはコスパが悪いという観点から積極的にその2つのエンジンを頼るようにシフトした。特に超人気タイトル例えばフォートナイトのような巨大コンテンツの出現によって益々火をつけ、瞬く間に今のゲーム業界はUE4、5に席捲されている。一方、Unityはスマホゲーム市場で大成功を収め、基本料金無料のF2PゲームはほとんどUnityで制作、ロイヤリティが低いの利点で多くのインディー開発者に使用されてきた。誰でも知っているタイトルも多数、例えば君がインポーターなんでしょの『Among Us』、あと30分だけ!の『Vampire Survivor』、PSの金の成る木『原神』等々。ただ2つのエンジンがほぼ市場を独占している。そんなUnityが"Runtime fee"の新たな料金システムを突如に発表した。それはエンドユーザーのインストール回数によって賃金が発生する仕組みとなっている。元々開発者がUnityに対してソフトウェアの使用料を支払えば済むだけだったに対して変更後はUnityが寄生虫のように開発側はゲームが売れば売るほど、インストールが発生し無限の手数料が取られる。しかもことあろうことか、開発者側は全くコントロール不能の要素は幾らでもある。ユーザーによる再インストールも、販売と関係しない海賊版の使用も、はたまた体験版やパッチ、ストリーミング配信…考えうる全ての"インストール"に料金が発生する。言わばpixivがサービスを利用する絵師に絵の観覧回数で料金を支払え、あるいはボーカロイドがPに曲の再生回数で支払えと言ってるようなもの。法律的にどうなのはさておき、ムカつかない? 当然ムカつくよね。平均開発期間が6年と言われる今のゲーム業界、制作途中でエンジンは変更できない、そもそも今まで培った経験がパーになる。クリエイターじゃなくてもエンドユーザーが影響を受けるのは当たり前、値上げに作品の減少に産業の後退にこれら氷山の一角。どれだけの人がゲームを購入したあとにEULA、つまりソフトウェア使用受諾契約を読んだことがあるでしょうか。多くのEULAでは明確に全ての権利がパブリッシャー側にあると書いてある。つまり購入のつもりで金銭の取引があったにもかかわらず買ったのは"レンタル"権でしかない。セーブデータも課金で購入した装備品も、何一つプレイヤーの所有品がない。最低賃金の時もLGBTの時も散々言われる生産性のやつ、政治家は明らかに強欲のせいで生産性降下の時はどこで何をしているのやら。無論インディーゲームの開発者たちはすぐさま行動に出た。かわいい羊教祖で話題となった『Cult of the Lamb』は既に来年一日に発売終了とアナウンス。様々のスタジオがSNSで抗議する声明を上げた。Unityゲームをインストールしないと呼び込むユーザーも連帯。では一体何故?と聞きたい人は…いないでしょう。テレビじゃあるまいし。開発者は自分らがサインした契約の詳細すら曖昧でどうやってインストール回数をモニターできるのかも公示せず誰も分からない。百歩譲ってどんな苦し紛れに言い訳を見つけたとしても億万長者らの行動によって死活問題と直面する人にとってはどうでもいいこと。Unityはごく最近上場を果たし今のCEOはかつてEAに在籍した時に株主総会でこんなビジネスプランを披露した: "バトルフィールドのようなFPSゲームにおいてプレイヤーを一番頭に血が上る状態に仕上げて財布の紐を考えられない時に彼らに提供するのだ。1ドルを支払ってリロードするチャンスを。" 実は回りくどい仮の例を使わなくとも、洞察力のある人は既にわかるだろう。Unityの仕組みはYoutubeの仕組みと全く同じということを。雇用もせず人を死ぬまで搾取する寄生虫。パイを作り、配りせず、代わりに巨大な蠱毒を実行する。潰された虫は努力が足りないの烙印を押されすぐさま別の虫に取って代わる。虫が虫をことごとく憎む。フードデリバリーはどうして信号無視するのか、サービス残業は何故成立するのか。ウーバー然り、派遣会社然り。例え儀式を終えて、究極の蠱毒一匹になれたとしてもその運命は人を呪い、暗殺するしか使い道が用意されていない。気づかれないように毒を盛って人を害する。そんなシステムの上に成り立つ社会では幾ら幸せを問うどころで答えがあるはずもない。

来週のトッピクスとクリアしたゲーム

  ニンダイとState of Playが去年に続いて同じ日で共演。任天堂はTGSを含めてゲームショウへの不参加は伝統であり、ビジネスショーよりもメディア露出の方を重んじる。一方、今年のソニーは平常運転から大きく逸れてほぼ全てのゲームイベントに参加しなかった。それも仕方のないことかもしれない。ニンダイの自家製ソフトラッシュと比べてState of Playはもはやスクエニのショーケースと言っても過言ではない。実に今年どのイベントでもソニーが頼れるのはスパイダーマン2とFF7リメイクだけだった。TGSと言えば、来週のXBOXデジタルブロードキャストがありどんなサプライズが来るかが楽しみ。

21日の午後6時

ニンダイで発表されたアトラスxヴァニラウェア完全新作SRPG『ユニコーン オーバーロード』がXBOX初のヴァニラウェア作品となる。何気にStingの作風に似てると思ったがヴァニラウェアの名前しかなかった。PSPの『ユグドラ・ユニオン』とか『グングニル』とかが懐かしい。嬉しいことにゲームパス対応のペルソナ5タクティクスもあるのでアトラスはSRPGの復興に一役買っている。ゲームパスなら日本のメーカーもリスクを取りやすくなる。この調子で名作SRPG『ラングリッサー』シリーズも復活させて欲しい。

ユニコーン オーバーロード

その他、延期していた『百英雄伝』の発売日も来年4月に決まった。XBOXゲームパスのデイワンタイトルなのでKickstarterバッカーのコードはどうしよう。今年の引き続きで来年も日本のゲームは当たり年になりそう。25年度には既にワイルドアームズとシャドウハーツのそれぞれ生みの親による精神的新作が待っている。金持ち層レベルの貪欲さが世界を牛耳ってなければ誰でも安心してゲームを楽しめるというのに。

Sea of Stars

『Sea of Stars』クリアした。全実績解除は50何時間ほど。とても親切で難易度控えめなので誰でもチャレンジできる。グラフィックから音楽まではもちろん、何よりもゲーム体験は黄金期JRPGへの究極のリスペクト。もしクロノトリガーを最後まで遊んだプレイヤーならこのゲームのシークレットにきっと微笑むでしょう。今年は何と言っても稀に見ないシングルプレイ用RPGが躍進の年。たくさんの超大作の中でも光るのがSea of Starsだと思う。史上初の発売とともにXBOXゲームパスとPSplusエクストラ入りにも関わらず、一週間で25万本以上の売上は決して容易に達成できるものではない。しかしここまで読んでくれたら、最後のひねりはもうわかるだろう。そう、この今年を代表するRPGの使用エンジンは何でしょう。答えはもうわかっている。

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