プロジェクト提案のコツ
仕事って常に何らかのプロジェクトをしていますよね。
外部に対してでなくとも上司に対する提案も含めると、常にプロジェクトって何かを提案していると思います。
いま一度ふりかえってみると、プロジェクト提案には 3つのポイントがあると思いますので、その事について書いてみます。
そもそもプロジェクトって何?
pro (前へ) と ject (投げる) から構成され 「未来へ向かって投げる」 というのが project 本来のイメージです。
あらためてプロジェクトは何をするものかと考えれば、有限なるリソース (ヒト / モノ / カネ / トキ) を投下してリターン (利益) を得るものです。
未来へ向けて資源を投じ利益を得る、まさに 「投資」 こそがプロジェクトの本質を表しています。
判断のために知りたいこと
プロジェクトの本質が投資なので、実施可否や条件の判断に際しては、株式投資や不動産投資と同じく多面的な確認が必要です。
いかなる投資でも最低限確認すべき判断軸は下記の 3点に集約されます。
効果はあるのか
実現できるのか
リスクはなにか
私が決裁を仰ぐ上では、いつもこの観点を持って資料を作成しています。社内向け資料は当然ですし、コンペやプロポーザルといった競争がある場合にこそ重要な訴求ポイントだと思います。
ある年、建築プロジェクトのプロポーザルに12件取り組み5案受注しました。この観点を持つ前よりも明らかに勝率があがり、実に勝率は 4割を超え、プロジェクトの本質を投資と捉えることの重要さを実感しました。
表現は適宜変えて用いるのですが、経営目線でのシンプルな問いかけにすると下記になります。
儲かる?
できる?
勝てる?
今では、儲かる / できる / 勝てる の頭文字をとって 「モデカ」 を提案のフレームワークにしています。
投資の動機やリターンにはさまざまあります。
得られるものが毎回金銭的な利益とは限りません。たとえば、社会やクライアントに貢献したい、自らの成長のために取り組みたいなども動機です。
こういう動機であれば、リターンはクライアントや社会に喜ばれることだったり、経験や知識の蓄積やスキルの向上といったことになります。
ただしこの場合は、評価のための定量化が難しいです。
これを定量化するためには、プロジェクトのゴールやリターンが何かをプロジェクト開始前に明確に定義づけ、プロジェクト完了時には目標の達成度をみるというのが 1つの方法になります。
それにプロジェクトは 「目的」 を達成するために行うもなので、そのためには共感を呼ぶビジョンや、それを実現するための強いコンセプトも重要というのは大前提です。
ビジョンとコンセプトに共感を持ってもらってこそ判断する段階、モデカの話に進みます。
投資の判断軸
判断軸 1: 効果はあるのか
平たく言えば 「儲かるのか」 です。
単純化すると 「効果=収益を生むのか」 になりますが、獲得したい経験や知識が蓄積されることだったり、営業ための実績づくりなどもプロジェクトで得られる 「効果」 と言えます。
場合によっては、収益性が低くても営業上の実績獲得の観点や、人財教育の観点から取り組むべきプロジェクトもあります。
いずれにせよ、何も得られないプロジェクトには誰も取り組みません。
まずは何が得られるのか。それは投下する以上のものなのか。
これが第一に知りたいことです。
判断軸 2: 実現できるのか
平たく言えば 「できるのか」 です。
いくら効果があるプロジェクトであっても、経験や知識を有していなかったり、リソース不足の状況であればプロジェクトに取り組めません。
効果があると分かったら次に知りたいのは、それを実現できるのか否かです。
クライアントの要望を正しく掴み、それを実現するためにどのようなスキルや知識が必要かを洗い出し、それに適したプロジェクトチームを編成できるかが実現可能かの判断で重要になります。
判断軸 3: リスクはなにか
平たく言えば 「勝てるのか」 です。
効果が得られる見込みがあり、経験や知識にも工数的にも支障がないとなっても、プロジェクト判断にはまだ情報が不足しています。
たとえば、プロポーザルやコンペのように複数の競合がある場合だと、至極当然ですが競争に勝たなければ受注できません。失注のリスクがあります。
もし提案 3案に対して 1件受注できる傾向がある場合では、2度の空振りに投じる費用も 1件のプロジェクトで回収できるだけの利益を見込まないと、トータルでは赤字に陥ります。
何にせよ受注しない限りは営業経費だけ赤字となりますので、勝てる見込みがどれだけあるのかは、判断軸には必要不可欠です。
上記の他にもリスクはあります。
事業が途中で頓挫することや、支払いが予定通り行われないこともリスクですし、業務委託先が倒産するといったこともリスクです。
儲かる・できる・勝てる 「見込み」 が揃って初めて検討の俎上にあがります。
モデカの1点でも検討材料から欠落していると満足に判断できないわけですから、まず良い結果にはなりにくいです。
余談ですが……
モデカの根っこにある3つの本質的な判断軸 (効果はあるのか / 実現できるのか / リスクはなにか) は、プロジェクトの受注側よりも桁違いに多額な投資を行う発注側ではさらに重要な視点です。
コンペやプロポーザルで勝った提案書を見ていると、表現は変えても上記の3点に触れられています。
事業者に提案する際にどうまとめたらよいのかを迷われている方はぜひ 「モデカ: 儲かる / できる / 勝てる」 を意識してもらえればと思います。
くり返しになりますが、この根底にあるのは 「効果はあるのか / 実現できるのか / リスクはなにか」 の 3つです。
以上。
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