2023 射手座の言葉┃吉本隆明 ~「利を得ると同時に、毒もまた得る」優柔不断とよばれる中にある可能性
心理占星術家nicoが選んだ今月の竪琴
射手座・太陽の言葉は…
9番目のサイン射手座は、支配星の木星の影響からなのか、神話の由来にもなっている半身半獣のケンタウルスの影響なのか、なかなかアンビバレンス*な特徴を持っている。
明―暗、正義―悪、正直―欺瞞、純粋―不純、誠実―不誠実など、相反する欲求を抱きつつ、葛藤する。どちらが自分にとって正解なのか、どちらが自分にとって喜びなのかを自問自答し、揺れ動きつつ、目の前の現実を生きていく。
いや、人によっては、どちらか一方(多くの場合、社会的報酬が多い方)の態度を選択することになるだろう。周囲に浮かない生き方を、人の期待に応える生き方を、収入が多い生き方を、易きに流れる生き方を、その時々で選び取っていく。
いつの日か、ふと我に返り、もう一方の可能性があったことを忘れていたことに気づくのだろうか。
ああ、自分ももう少し違う生き方ができそうだ。いつまでも優等生をやらなくてもいいのだ。明るい娘をやめてもいいのだ。物分かりのいい人間なんか飽き飽きだ。会社の言いなりなんてまっぴらだ。ものを知らなくてもいい。男を立てるのは金輪際お断りだ。いつまでもお調子者なんてやってられない。人のために生きているわけじゃない。
そう。射手座=木星で言われている可能性とは、つまりまだ生きていない自分を発見すること。自分を見出す冒険、これが射手座=木星の可能性のひとつだともいえる。
占星術的に説明すると、7番目のサイン天秤座、8番目のサイン蠍座の歩みの中で他者と出会う。そこで体験される葛藤――精神分析家のビオンの言う「ふたつのパーソナリティが出会うとき、そこに情緒の嵐が生まれる」――を通して内なる自分の欲望、もう一つの可能性に気づき、そして射手座へと向かっていく。
自分が良しとしていた生き方、こだわり続けた考え方、自分が憧れ続けた生活、信じてやまなかった理想が天秤座、蠍座、射手座の歩みの中で大きく揺さぶられ、打ち砕かれ、そしてやがて発見される。この痛み、この失望に堪えられた者、乗り越えられた者だけが、自己を救済できるのだ。
吉本隆明は著書『真贋』において、様々な語り口で二元論の限界について書き綴っている。
射手座のモダリティ(活動様式)は柔軟サイン。柔軟サインとは環境との調和という意味があるが、それは上記のような対立した概念を絶対的とするのではなく、一つの行為に両方の側面が内在しているという相対的な概念をとらえていく、そういった脱構築、可能性と可能性の間を揺れ動き続けることを目標とするということ。それがいわゆる「優柔不断」と言われることの多い柔軟サインのカラクリということになる。
また、同じく射手座の哲学者・千葉雅也も著書『勉強の哲学 来るべきバカのために』の中で同じようなことを伝えようとしている。「ツッコミ=アイロニー(根拠を疑う)とボケ=ユーモア(見方を変える)で思考し、環境から自由になろう」「ナンセンス=無意味を徹底して行おう」という。
このように自分自身に揺さぶりをかけて、未知の自分と出会い続けるということだ。
そこで冒頭の吉本隆明の言葉を見てみたい。いじめっ子ーいじめられっ子という図式、いじめられっ子という固定された役割から解放されるプロセスであり、見事に抜け出しているのがわかるだろう。
こうした他者の介在による天秤座―蠍座的体験、そこから得られた大きな気づき。私たちは人生の中でどれだけ自分を知る可能性に恵まれていることだろう。けれど、どれだけこの目覚めの機会に無知であることか!
下駄で頭を殴られることがなかったら、「いじめっ子」のプライドにこだわっていたら、もしかしたらその後の人生で「ものを考える仕事」へと向かうことはなかったかもしれない。この「好機」に気づけるかどうかが個人の内的成長に大きくかかわってくる。
ここまで読んでもらった皆さんなら、きっと占いでまかり通っている「木星は幸運、好機の星」の「幸運、好機」のイメージから脱することができるだろう。「幸運、好機」とは、つまり「下駄で頭を殴られること」、まさに「乞食の格好をした神」に他ならないのだ。
2023年射手座期は、ぜひ下駄で頭を殴られ、そしていじめっ子からいじめられっ子へと、またはその逆、下駄で頭を殴り、そしていじめられっ子からいじめっ子へと向かい、硬直化した、または過剰となった姿勢に揺さぶりをかけてみること。利と毒の双方の理解を深め、内的精神のバランスを整えること。そんなことを意識して過ごしてみてほしい。
これまでの太陽・射手座の言葉
お知らせ
太陽でも月でもない
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2022年5月に牡羊座からスタートした火星は、現在、9番目のサイン・射手座を進行中。ここからサイクルの仕上げに入っていきます。
占星術における火星は、個人の生きる力、何もないところから「わたし」という存在をつくりあげていくエネルギーをもつ天体ですが、年齢を重ねるごとに発揮しにくくなっていきます。
『変化が苦手』
『自分の魅力に自信が持てない』
『すぐヤル気をなくしてしまう』
『わかってもらえないと凹む』
『人と何かを共有するのは苦手』
『うまくいかない理由を探すばかりで、やるための工夫はしない』…..
こんな思いがあるのなら、まさに火星の力が弱っている証拠かもしれません。
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