2021 山羊座の言葉 森田正馬 ┃善悪をとやかくいわず「あるがまま」を生きる
心理占星術家nicoが選んだ今月の言葉は...
山羊座の言葉
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12サインの旅は山羊座まで歩みを進めた。山羊座は、ホロスコープでいうと一番高い場所、MC=10ハウスに位置するサイン。心理占星術的に言えば、山羊座の段階で本当の意味での自己実現、嘘偽りのない自己の在り方を完成させる。
ここで考えてみたいのは、森田正馬氏が青年時代、神経質症状に悩んでいたということ。氏によると、神経質症状とはとらわれの状態であり、とらわれやすい人々というのは、自然に生じる感情を「かくあらねばならない」と考え、知的に解決しようとする人のことだという。自然に起こる出来事や自然な心身の反応を自分の意識で管理しようとする万能感、支配欲によって、不快な感情を「あってはならないもの」として観念的にやりくりしようとするために、より一層思うようにならない自己(理想の自己と現実の自己とのギャップ)に葛藤が生じるということだ。
「人前ではきちんとしていなければならない」と考えるために、緊張してしまう自分を「ふがいない」と感じ、緊張しないようにと身構える結果、かえってそれにとらわれてしまうということである。
「とらわれ」からの脱出と、本来の欲求=生の欲望を自分らしく発揮できるようになること、氏の言葉で言うと
を目指すことで神経質症状が直っていくという。
これぞまさに山羊座の成長プロセスではないだろうか?
既存の与えられたシステムの中で、土星的(山羊座の支配星)な要求―――かくあらねばならない、人前ではきちんとしていなければならない―――に応えようと常に緊張状態にある。そのような「不自然な自分」を前に、氏は自分の「あるがまま」を徹底的に観察するようになる。
不安も自然な感情の一つ。「そのまま」を生きること、それが「あるがまま」であるという。
わきあがる感情も目の前に起こる出来事も自分の思い通りにはならないものであって、自然なありのままの事実として、そこには「納得」も「受け入れる」姿勢も不要、「そのまま」受けとめる、それが山羊座で手に入れたい一つの真実なのではないか?
なぜなら、それが自分をとりまく「自然=現実」であり、疑いようもない事実であり、今、自分が手にできている限りの飾り気のない、ありのままの私=MCなのではないだろうか?
氏は言う。
生きていればいろいろなことがやってくる。楽しいことばかりは続かず、嫌なことは避けては通れず。私自身もそうだが、コロナウイルスのせいで多くの人たちが生きることに不安を感じ、神経質な心持ちになることが多くなった。見通しの立たない未来、他者との距離感、生きることは本当に大変なのだ。
ならば、難しいことはあれこれ考えず、そこにある社会をそのまま生きようではないか。今、この時代を受け止める、ただ受け止める姿勢で生きてみようではないか。
2021年の山羊座期は、そんな地エレメントの完成を目指し、「今の私の到達点として」、ここ、この自然を生きてみたいと思う。