自宅で台湾の味を再現!お土産にもオススメ・台湾のスーパーで買えるイチオシ調味料①
皆さん、特に料理好きな方が台湾に行ったらぜひ一度は足を運んでほしいのが地元のスーパーです。スーパーの調味料コーナーには、台湾ならではの食材や調味料が手頃な価格で売られているので、自分用としてはもちろん、お土産として買って帰るのにもおすすめです。台湾のお土産の定番と言えばパイナップルケーキなどのお菓子があがりますが、実は調味料もお土産にぴったりなのです。
今回紹介するのは、台湾のスーパーやコンビニで手軽に購入できる、私の一押しの台湾調味料と食材です。どれも私が台湾に在住していた頃に愛用していた、台湾人の台所には欠かせない調味料ばかりです。今年台湾から日本へ帰国する際に、地元のスーパーで購入してスーツケースに入れて持って帰ってきたものを紹介します。これを揃えておけば、日本でもいつでも台湾の本場の味が楽しめて、料理の幅もぐっと広がります!
1. 豆腐乳
まず紹介する一つ目の調味料は、豆腐と麹を一緒にして塩水で発酵させた中華食材、豆腐乳です。作るのに使われる麹の種類によって、白麹を使用した白腐乳や紅麹を使用した紅腐乳などがあります。最も伝統的で頻繁に使われるのは、まろやかな味の白色の甜酒豆腐乳で、辛みの強い紅麴豆腐乳も比較的よく使われます。また同じ赤色でも、辣豆腐乳は赤唐辛子をふんだんに使用しているため、かなりスパイシーです。その他にも、油を加えて作られた麻油辣腐乳、梅と合わせて作られた梅子豆腐乳やパイナップルやバナナなどを加えて作られた独自の豆腐乳などもあります。
豆腐乳は少し発酵食品独特の臭いがありますが、豆腐を発酵しているだけあって、味は豆腐のコクを麹が引き立てて凝縮されているため、とても美味しいです。味は作り方や種類によってかなり塩辛いものもあれば、そのまま食べられるような塩辛くないものもあります。ちょっとだけ塊を削って舐めてみると、少しクセはありますが、コクの強いチーズのようなねっとりとした食感です。お酒が好きな方は、おつまみとしてこれをちびちび食べながらお酒を飲むのもツウな楽しみです。ブルーチーズなどのクセのあるチーズを食べる人なら間違いなく好きになりそうです。
豆腐乳は直感的に味噌と同じような味です。それもそのはず、日本の味噌の原材料は大豆と麹と塩、台湾の豆腐乳の原材料は豆腐と麹と塩水、豆腐の原材料は大豆ですので、実際には原材料はほとんど同じものです。つまり作り方の違いで、麹の種類と発酵の方法が異なるだけなのです。豆腐乳の塩気と、発酵によって生まれたアミノ酸の濃い旨味がご飯にぴったりで、これだけでも思わずご飯が進みます。
食材としても、台湾の豆腐乳も日本の味噌も同じようなポジションになります。料理を作る時に調味料として使う場合と、そのまま食卓に並ぶ場合もあります。調味料として使う場合は、野菜やお肉の炒め物に豆腐乳を使うと、コクのある料理が美味しくできます。日本では味噌を料理に使うとコクが増すのと同じように、台湾でも豆腐乳を使うと料理の味に深みが増します。豆腐乳の種類によって風味は少しずつ違いますが、味噌のような味わいに仕上がります。また、台湾では冬になると「羊肉爐」というヤギ肉を使った鍋料理を頻繁に食べるのですが、羊肉爐を作る時の調味料として豆腐乳を使う習慣があります。私も台湾滞在中は、よく羊肉爐の専門店で、ベースのスープと羊肉を外帶(テイクアウト)して家で食べていましたが、その時は必ず豆腐乳を小皿に出して、少しずつ付けながら食べました。
また、台湾の伝統的な朝食としてお粥を食べる家庭も多いですが、お粥のおかず兼味付け代わりに豆腐乳を食べることも多いです。その他にも、シンプルな饅頭に付けて食べても(饅頭について詳しくは台湾のおすすめ朝ごはん➂ふかふか蒸し立ての饅頭【吉発饅頭店】で紹介しています)、炊き立ての白ご飯に乗せて食べても美味しいです。私は新鮮なキュウリに付けて、もろきゅうにして食べるのが好きです。このように、豆腐乳は日本で言えば味噌のような食材で、台湾料理にはなくてはならない食材の一つで、どんな料理にも調味料として使える万能食材です。
赤く見える豆腐乳の中には、白腐乳を唐辛子で辛く味付けしたこちらの「麻油辣腐乳」もあります。このように様々に味付けした豆腐乳があるのも、豆腐乳の世界を奥深いものにしています。豆腐乳を初めて使う方に一番おすすめなのがこの「麻油辣腐乳」です。唐辛子のピリッとした辛さで、独特の味と発酵食品の香りがやや抑えられているので、豆腐乳初心者でも比較的受け入れやすいと思います。炒め物に入れたり、ちょっとした野菜の和え物にも私は活用しています。個人的には最初の写真の甜酒豆腐乳が一番好きです(もう使い切ってしまったので、また台湾に行く時に買わないと!)。
2. 豆豉
豆豉とは、黒豆に塩や麹、酵母などを加えて発酵させて作る中華調味料です。発酵調味料ならではの旨味や香りを持ち、強い塩気があるので、台湾では炒め物や蒸し料理などに使用されます。台湾でも一般的な炒め物には日本と同じように塩や醤油や味噌などを使用しますが、豆豉をほんの少し加えるだけで料理のコクと風味が格段にアップします。料理に深みのあるコクを加える優秀な調味料なので、常備しておけばいつでも本格的な中華料理を作ることができます。特に麻婆豆腐に豆豉を使用すると、一気に本格的な味わいに仕上がります。
豆豉はそのままではとても塩辛いので、細かく刻んで少量を料理に加えて使うのが一般的です。中でも油との相性が良く、炒め物などに使うといつもの料理がワンランクアップします。豆豉は乾燥して硬くなっているので、使う前に少量の水に浸して柔らかくしておくことがポイントです。柔らかく戻ったら、包丁で軽く潰してみじん切りにします。豆豉の風味を最大限に生かすためには、まず最初に香味野菜と一緒に豆豉を炒めます。他の調味料のように仕上げに加えるのではなく、豆豉は最初に油でしっかりと炒めることで、より風味を引き出すことができるからです。加熱して豆豉の香りがしっかりと出てきたら、具材を加えて炒め合わせます。最後に他の調味料で味を調えたら炒め物の完成です。
私は魚と野菜の蒸し料理を作る時には、塩や醤油の代わりに豆豉をぱらりと加えます。特に鱈などの淡白な白身魚と、大根やカブや玉ねぎやジャガイモなどの根菜類を圧力鍋で一気に蒸し煮にする時は、他の調味料は使わずにシンプルに豆豉だけを加えます。あっさりした食材に、豆豉が程よい塩気とコクを足してくれるので、ちょうど良くバランスの取れた味わいに仕上がります。冷蔵庫のポケットに豆豉を入れておき、料理にちょっとコクが欲しい時にいつでもささっと使えるようにしてあります。
逆に、レシピの中に豆豉が出てきた時に豆豉の代用品として使えるのが味噌です。豆豉と同様に、味噌も大豆から作られる発酵食品なので、旨味や香りや塩気などを料理に生かすことができます。より豆豉の味わいに近づけたいという場合は、大豆の粒が残っているもの、原料が大豆と塩だけのものを使うと良いです。また、大豆と塩だけで醸造されるたまり醤油も代用品となります。小麦粉を使わず大豆の使用量が多いので、一般的な醤油に比べてとろりと濃厚な食感と深いコクを併せ持つのが特徴です。豆豉の代用として使う場合は、鍋肌で醤油を少し焦がして使うことがポイントです。加熱することでより風味が引き立ち、料理の旨味をアップしてくれます。
また最近では、日本でもカルディや成城石井の中華調味料コーナーで見かけることの多い豆豉ですが、名前が似た調味料に「豆豉醤」があります。豆豉醤は同じく黒豆を原料にしたもので、ペーストにした豆豉に唐辛子やニンニクなどを加えた中華調味料です。こちらは味噌のようにそのまま料理に加えて使用することができます。豆豉醤も常備しておくと様々な料理に活用できます。
3. 八角
八角とは、正式にはトウシキミという樹からできる果実を乾燥させたもので、別名でスターアニスとも言われています。主な産地は中国南部、インド、東南アジアなどで、これら地域では香辛料として利用されることが多いです。台湾のコンビニに行った日本人はよく「薬や漢方のような独特のスパイスの香りがする」と言いますが、台湾のコンビニには「茶葉蛋」という八角で煮込んだ煮卵が売られています(詳しくは台湾のコンビニ紹介②・生ビールサーバーがあるコンビニ【茶葉蛋・關東煮・熱狗】で紹介しています)。コンビニ内はこの香りで充満しているため、行ったことがある方は分かるでしょう。
台湾では豚の角煮などの煮込み料理に使われることが多いです。独特の強い臭いがある八角を料理に使う理由は、豚肉独特の臭味を緩和するため、あるいは消化を良くするなどの薬効の効用があるからではないかとされています。他のスパイスと混ぜ合わせた「五香粉」という調味料も有名です。また、ヨーロッパではスターアニスという名前で、赤ワインに入れて煮込んだり、シナモンなど他のスパイスと一緒に焼き菓子やコンポートの甘いデザートに使われることが多いです。いずれにせよ日本料理に使うことはないため、日本人には馴染みがないかと思います。私は味のアクセントが少し欲しい時に、一欠片を手で一粒ずつ剥いて加えます。一欠片だけではそこまで香りが強く出ないので、ちょっとした遊び感覚で煮込み料理に加えるぐらいの気軽さです。
台湾では角煮と茶葉蛋の他にも、魯肉飯(ルーローハン)、牛肉麺、肉粽(肉入り台湾ちまき)、滷味(台湾風煮物)、黒い煮汁の煮込み系料理、台鐵便當(台湾鉄路管理局が駅および列車内で販売している駅弁)など、様々な代表的な台湾料理に使われています。漢方のような独特の香りのするスパイスの八角ですが、どの料理も牛肉など香りの強い食材と一緒に調理されているため、八角の香りはそこまで強烈ではなく、わずかにスパイスの風味がする程度です。日本でもたまに見かける魯肉飯ですが、日本人の好みにアレンジして八角が使われていないことが多いので、ぜひ台湾に来たらほんのり八角の香る本場の味を体験してみてください。
4. 壺底蔭瓜
台湾のコンビニやスーパーに行くと、缶詰や瓶入りの食品が売られていて、その中にはご飯のお供的な位置付けの商品もたくさんあります。中でも私の一押しの瓶詰め商品がこの「壺底蔭瓜」です。白瓜を砂糖や醤油や出汁などの調味料で甘く煮込んだもので、ぶつ切りの白瓜と甘い煮汁が入っています。白瓜と言えば、日本では奈良漬けが真っ先に思い浮かぶかと思いますが、台湾だと壺底蔭瓜です。こちらの商品は原材料には、砂糖、塩、黒豆醤油、香菇原汁(シイタケ出汁)、昆布原汁(昆布出汁)などが記載されています。煮汁に出し汁が使われていて、いかにも美味しそうです。
使い方はとても簡単です。粗く刻んでお肉の炒め物に加えるとお肉がふっくら柔らかく仕上がり、煮込み料理に甘みを足したい時の味付けとして使うのにも便利です。また、食欲のない時にお粥に加えて食べるのも定番です。台湾では苦瓜排骨湯という、白苦瓜(白ゴーヤ)と排骨(骨ごとブツ切りのスペアリブ)の煮込みスープを作る時にいつも活用していました。苦瓜排骨湯は夏の時期の定番の、台湾の家庭料理の一つです。白苦瓜は日本ではあまり売られていないですが、綠苦瓜(緑ゴーヤ)よりもフルーティーで食べやすく、でもゴーヤならではの心地よい苦みもある、夏になると市場に並ぶ人気の夏野菜です。ゴーヤのスープだなんて苦そうと思いがちですが、濃厚な豚肉と骨の旨味がゴーヤのほろ苦さを包み込んでくれるので、両者の味が非常によく合うのです。ここに更に壺底蔭瓜を足すと、更に程よい甘味が加わって絶品のスープに仕上がります。
ちなみにおすすめのブランドは「愛之味」です。1971年創業の老舗食品加工会社で、防腐剤不使用・人工香料不使用・化学色素不使用の3つを理念として掲げており、安心して食べられるものにこだわって作っている信頼のおける会社です。健康に配慮して作られた商品の中には、どことなく味が薄かったりする場合もありますが、「愛之味」の商品は外れなしで美味しいです。どのブランドの商品を買うか迷った時には、まずは「愛之味」の商品を選ぶことをオススメします。
いかがでしたでしょうか。気になる調味料はありましたでしょうか。台湾料理、そして台湾の調味料はどれも日本人の味覚に近いので、手軽に日本の家庭料理に使えるものばかりです。最近では日本でも、海外輸入品を取り扱うKALDIや成城石井やドンキホーテでも、台湾調味料の商品を多く見かけます。台湾在住の頃から愛用していた私のイチオシ調味料、また次の記事に続きますのでお楽しみに!