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日常にいた人。
それは、いつかは忘れたいと心から思った思い出で、今はふとしたら忘れてしまうような、儚い記憶に変わった。
switchが大流行りしてた時にふたりで夢中になったのはwii。
一緒にマリオカート、マリオパーティーを夜な夜なやる大学生のふたり。
ぼこぼこに負けるぷよぷよ。
飲み代をかけて2人でやる人生ゲーム。
指スマの言い方だけで、お腹痛くなるくらい笑った時間。
歯ブラシを持ってくるのも、お布団を引くのもじゃんけん。
布団の上で、2人で怖がりながら見たサスペンスドラマ。
興味のない競艇に連れてかれて、少し賭けた。
だいすきだったテレビ千鳥のDVDは買った。
UFOキャッチャーを、やるためだけにラウンドワン行ったり。
だいすきな人といられた2年半、幸せだった。
別れて1年、彼は結婚をした。
そして私ももうすぐ結婚する。
初めて心から大切に想った人との思い出は、もうたくさん忘れてて、でも日常の中でふと思い出す。
元気にしてるのかなぁとか、幸せに過ごしてるんだろうなぁとか。
日常にいたから、忘れるのはなかなか時間がかかったけど、思い返してみると確かにそれは記憶の中にあって、思い出がある。時が経っても。
時を経て、あの恋愛は、初恋みたいにまぶしくて、尊くて、すごく愛しい恋愛経験のひとつになった。
そんなふうに思える思い出があることが、今は何だか嬉しい。
わたしは、恋愛に限らず、人と人とが出会うのには何かしらの意味があると思っている。
生活の中にお互いがいて、大切に想いあう時間があること、そんなふうに人生が交わるって、それが生涯ずっとの繋がりではなくても、きっと出会うべくして出会った出会いだったのだと思う。
そう思いたい。
だから、わたしはこの思い出を、時々は思い出して、そして大切にしまっておきたいなって、そんなふうに思ってる。