「自己紹介草。」/毎週ショートショートnote

誰が見ても好青年。
もちろん見た目だけではなかった。
彼は今。
夢に見ていた職場で自己紹介を始めようとしていた。

「私は幼いころからこの仕事に憧れていました。。。」
彼の口から熱意と誠意に溢れている言葉がでている。

彼はどうしても夢見た職場での第一印象をベストにしておきたいと強く願った。
それで。

彼は自己紹介草を購入した。
この植物を一晩頭の上に置いて眠ると。
翌日どんな人間でもベストな自己紹介ができる。
その不思議な植物については都市伝説といわれていたが。
彼のところへ売っている者が訪れたのだ。

彼は喜んだ。
これで全てが順調に始まると。

彼の自己紹介は聞いていた職場の者全てに感動を与えた。
彼は自己紹介草を売ってくれた男の言葉を思い出していた。

「効果は一度のみ。自分の外側と内側が活性化されるから。絶妙な自己紹介になることは保証する。」

ただ。
彼は知らなかった。
彼の内側の闇が活性化してしまったことを。
売った男が「難でも屋」であることも。

ギリギリセーフで。
たらはかにさんの今週のお題に参加させていただきました。
いつもありがとうございます。

善き青年だったはずの彼の後日談です。↓