「君にしか見えない。」/#完成された物語 ショートショートストーリー
もうすぐ28歳になる私にだって趣味はある。理解されず、ただ面白がられてもね。
「で。あなたはどう思うの。私の趣味のことを。」
今の彼氏に聞いてみる。実は歴代の彼氏はことごとく、私の趣味を嫌がった。そんなに恋人として受け入れられない趣味なのだろうかと最近は考えてしまう。だから、今回は洗いざらい私の趣味を話してダメなら早々に別れようと思った。
「僕は面白いと思うよ。君の変装はプロ並みだよ。それで、今日は男装なんだね。コスプレにも見えないし、なかなか様になっている。」
「えっ。本当に。男二人でデートする感じになるけど。大丈夫。」
「ほかのひとがどう思うと気にしない。」
奇跡が舞い降りた。私の変装趣味を嫌がらない彼氏なんて。でも、今日はハードル下げて普通の男装だけれど、おばあさんとか高校生とかに変装しても大丈夫なのかしら。彼は考え込んでいる私に気が付いたのか、私の耳に囁く。
「どんなに変装したって大丈夫。君にしか見えないから。」