「おじいちゃん部」/ショートショートストーリー #完成された物語
最近、公民館の予約表に『おじいちゃん部』がよく登場する。
「何かしら、おじいちゃん部って。老人会の男性版?」
おばあちゃんは、ニコニコ笑っている。
「おばあちゃんは知っているの。」
「だって。うちのおじいちゃんも会員なの。」
「それでどんな集まりなの?」
「昔、会長とか社長だった人達がこっそり勉強しているのよ。」
確かにうちのおじいちゃんは誰も知っている会社の会長だった。今は引退して静かに暮らしている。おばあちゃんの方は海外旅行とかヨガとか、とにかく多忙で留守が多い。
「えらい人たちって自分では何もしなくても周りが勝手に動いてくれるの。だから、それが当たり前で普通だと思いこんでしまう人が多いわけ。」
「何の肩書もなくなって。1人では何もできないことに漸く気が付くのよ。」
「そういう人が集まって一から覚えているの。アプリの入れ方みたいなことから始まって若者言葉まで。」
「今更どうでもいいような。」
「自尊心と虚栄心だけは最強だから。」
このりみっとさんの企画に参加させていただきました。ありがとうございます。何もオチがない気がする。((;^_^A)